大日本シリーズ開幕 秋風の行方は
[ホーム]京城
4辻
8朴慎一
7高添
5羅久聖
3バンカー
Dコリス
6羅慧聖
2山根
9砂子
[ビジター]大連
8星渡(4-1)
4大上(3-1)-近堂(1-0)
6棚橋(4-0)
9林(4-0)
5パウロ(3-1)
7アンジェロ(3-0)
D立石(2-0)-水内(1-1)
2清水(2-0)-金重男(1-0)
3柳中平(3-1)
大 000 000 000 0 ●吉野(6 1/3-2)-瑞穂(2/3)-小松原(1)
京 000 000 20- 2 ○高橋-西坂-S安部
4月1日にシーズンがスタートして、全28球団が150試合にわたる戦いを繰り広げた。この戦いに勝ち残った12球団がプレーオフに進出し、12から8、8から4、そして4から2へと絞られた。今、勝ち残っているのはわずか2つの球団、それが大連バトルシップスと京城ツインズである。この2球団が雌雄を決するべくぶつかり合う今年の野球シーズンのラストを飾る戦い、大日本シリーズが本日11月5日に開幕した。
知将道原一智監督の下で洗練された野球をこなす常勝軍団京城と劉瑞生監督の情熱的な指導により力を付けた若手中心に勢いのある大連。タイプが異なるチーム同士の第1戦は、ともに必勝を期して高橋豊と吉野大吾というエースを繰り出してきた。やはり第1戦をものにすると幸先が良いので何とか勝ち取りたいものである。京城は今シーズンの大半を戦った信頼のオーダー、大連は京城ホームの試合で採用される指名打者にベテラン立石を起用。
試合は誰もが予想したとおりの投手戦となった。思えばもう10年近くエースを張っている高橋の安定感は言うまでもないとして、今季の活躍でかりそめのエースから真の実力者に覚醒した吉野も高橋に勝るとも劣らないピッチングを見せた。ともに安定したピッチングであるがその中において高橋は経験豊富ゆえに老獪、吉野は勢いがあるという微妙な違いがある印象である。
大連は2回、一死後にパウロが大日本シリーズ初ヒットを放つ。しかしアンジェロが高橋の術中にはまって、小さく曲がるカットボールに手をさしてしまいセカンドゴロダブルプレーに倒れる。常に冷静な高橋を打ち崩すのは容易ではない。対する吉野も鋭い目つきをより一層シャープにして熱のこもったピッチングを披露した。
両エースの熱い投げあいでスコアボードにゼロを13連続で刻んだ。しかし7回裏、ついに試合が動く。この回、京城の先頭打者は4番羅久聖。穴のない好打者に対して吉野はストレート中心で攻めたが、3球目に外角低めへ投じたストレートを鮮やかなライナーでセンター前に持っていかれた。バンカーはライトフライでアウトも、コリスにレフト前ヒットで一二塁とする。ここで羅慧聖が打席に立った。
兄久聖と比べて弟の慧聖は打撃でのアピールは薄い。しかしつぼにはまれば兄を髣髴とさせるバッティングを見せる隠れた実力者と言える存在である。また、失投を見逃さない能力もなかなか優れている。吉野に油断があったわけではないだろうが、心の奥底に「もう山は越えた」という心理があったことを完全に否定はできないだろう。カウント1-2からの4球目、やや中央寄りに入ったスライダーを痛打される。打球は勢いよく左中間のフェンスに直撃する2点タイムリー2ベースとなった。
このタイムリーで吉野は降板。2番手に登板した瑞穂は下位打線の山根、砂子をそれぞれ三振とファーストゴロに抑えた。そして8回は小松原がマウンドに登った。小松原は自慢のストレートがよく冴えており三者凡退に抑えた。しかし京城相手に終盤の2点は重かった。京城は他球団を圧倒すると評判の先発陣に勝るとも劣らないほど、リリーフにも強力な人材が揃っているからだ。
8回は西坂相手に、先頭打者の代打水内がレフト前ヒットで出塁したが後が続かず。9回はストッパー安部隼人に対して三者凡退。棚橋と林が安部の必殺技である光速フォークの前に連続三振に倒れてゲームセットとなった。
劉監督は黒星スタートについて「高橋の狙い球を絞りきれなかった。吉野は7回の(羅慧聖に打たれた)あの一球がね。こういう試合(の勝敗)は紙一重。もったいなかった」と敗因を分析。確かに、今日は高橋の前に打線は沈黙。特に3番棚橋と4番林がともにノーヒットに終わったことで打線に流れがまったくなかった。その上で「まだまだ始まったばかり。大きな力の差があると感じることはなかったし、まあ明日からをお楽しみに、ですよ」と強がってみせたが、何か秘策はあるのか。明日の先発は大連が松浦、京城が勝間田と予想されている。




