プレーオフ もはや猶予はない
[ホーム]大連
8星渡(3-1)
5大上(3-0)
6棚橋(4-1)
9林(4-1)-水内
3パウロ(4-1)
7アンジェロ(3-1)
4近堂(3-0)-古池(1-0)
2清水(3-0)
1吉野(3-0)
[ビジター]チチハル
6万城原
8和泉
9吉住
3星野
7折口
5丸木
4楚明英
2李秀一
1渡辺
斉 000 000 100 1 ○渡辺-S通
大 000 000 000 0 ●吉野(9-1)
10月22日と23日に行われたプレーオフ第1ラウンドはチチハルが連勝して、このプレーオフ第2ラウンドまで駒を進めてきた。わずか1日の休養日をはさんですぐに新たな戦いが始まる。チチハルの先発投手は今季途中から覚醒を見せた渡辺清輝。対する大連は19日のシーズン最終戦から調整を進めてきた。今季17勝を上げて名実ともにエースとなった吉野が先発と、磐石の態勢でチチハルを迎え撃つ。
試合は投手戦となった。吉野は言うまでもないとして、渡辺も吉野に負けず劣らず素晴らしいピッチングを披露した。持ち前のストレートは切れ味抜群、独特の軌道を描いて大きく変化するカーブもバッターの目をくらませた。こんなにいい選手がなぜこれまで埋もれていたのだろうかという素晴らしさだった。ついに一皮剥けたか。この両投手の投げあいによってスコアボードにゼロが12個連続で灯った。
7回表、この回先頭の星野はセカンドゴロだったが近堂が弾いてしまい出塁。続いて打席に立つのは折口元文。ついこの間まで大連のユニフォームを身にまとっていた男である。しかし今年の夏、チチハルにトレードで移籍すると5番打者のポジションを掴み、勝負強いバッティングでチーム初のプレーオフ進出に大いなる貢献を果たした。折口とのトレードで大連に入団した池田も先発投手として7連勝を果たすなど大連優勝を猛烈に後押ししたのでまさに双方にとって利益のあるトレードだった。
その折口が古巣に恩返し。カウント1-2から吉野が投じた外角へのスライダーを引っ張って左中間のフェンス直撃、あわやホームランという当たりを飛ばす。これでファーストランナーだった星野がホームイン。チチハルに待望の先制点が入った。なおもノーアウト二塁だがここは吉野がエースの意地を見せた。丸木、楚明英を連続三振、李秀一をレフトライナーに打ち取ってこれ以上の失点を与えなかった。しかしこの1点が致命的だった。
渡辺は終盤になっても力は衰えを見せず8回まで被安打4四死球2のピッチング。4回に大上四球棚橋レフト前ヒットでノーアウト一二塁となったが、林のファーストライナーを星野がジャンプしてキャッチ、そのまま一塁ベースを踏んでダブルプレーに打ち取る。守備にも助けられたが、連打を許したのはこの回だけという渡辺の安定感も光った。
しかし9回に大連が反撃を開始。この回も続投の渡辺は先頭の棚橋をサードゴロに打ち取ってワンナウト。しかし林にはストレートをライト前に運ばれる。林に代走水内が送られる。パウロはゆるいサードゴロで一塁アウトとしてツーアウト二塁。ここでアンジェロに四球を与えたのでチチハル高鉄龍監督は渡辺を降板させる。非情とも言えるが、より確実に勝利を掴むためにはやむをえなかった。そして大連も近堂に代えて代打古池。両チーム勝負に出た。
9回ツーアウトから登板したのはベテランの通順平。この男は高監督に素質を見出されたので強く慕っており、3年前に高監督がチチハルに就任したと聞くと真っ先に駆けつけた。サイドスローに近いスリークォーターから切れ味鋭いストレートをコントロールよく投げ分ける。そして抑えにもっとも必要な、強心臓を持つ男でもある。一打同点、下手をすると逆転サヨナラというこの状況でもまったく動じていない。ストレートとスライダーであっさり追い込むと、1球外した後で低めに投げ込んだナックルカーブに古池のバットは空を切った。
わずか1点を守りきってチチハルが勝利。プレーオフ第1ラウンドでもチチハルは2試合とも1点差で勝利しており、土壇場での粘り強さが光る。チチハルが第2ラウンドを突破するにはさらに連勝が必要だが勢、今のチチハルには勢いもある。3年前の秋、高監督が就任会見で語った「3年で大日本シリーズ出場」というビジョンはもはや空想や夢物語ではない。現実はもうすぐそこまで来ている。
一方大連は渡辺を捕らえきれなかった。自責点0ながら敗戦投手になった吉野は「一番悪い失点の仕方。折口さんのことはよく知っている。(打たれた1球は)ボールが(ストライクゾーンに)入りすぎた失投だった」と悔やんだ。劉監督は開口一番「打線だよ」と、エース吉野の好投を無にした打撃陣に奮起を促した。また「ここまで来たら後は選手を信じるしかない。明日も正攻法で行きますよ」と語り、あくまでもチームの基本方針に変更はないと強調した。




