大連優勝 劉監督歓喜の空に舞う
[ホーム]大連
8星渡(4-2)
5大上(2-1)-ノーリー(2-1)
6棚橋(4-1)
9林(3-1)
3パウロ(4-2)-1平野-比山
7アンジェロ(2-0)-水内(1-0)
4近堂(4-2)
2清水(4-1)
1池田(1-0)-李健太郎(1-0)-野藤-黄直哉-3ドラグノフ(1-1)
[ビジター]開城
6竹端
4笠原
8西平
5肥後
3ハイロー
9曹真永
7行元
2浜野
1田中
開 000 100 000 1 ●田中-車智文-正田-王祐大-森-タチトナ 67勝73敗8分
大 230 010 30- 9 ○池田(6-1)-野藤(2/3)-黄直哉(1/3)-平野(1)-比山(1) 82勝54敗12分
9回表、ツーアウトランナーなし、点差は8点。奇妙な静寂がスタジアム全体を包む。誰もがその次の瞬間を待ちわびているからだ。バッターボックスに向かうのは代打のベテラン高弘美。カウント1-1からの第3球、外角低めへのストレートを引っ掛けて力なく転がった打球を、ショート棚橋が慎重に処理してファーストへ送球。ボールがドラグノフのミットに収まり一塁塁審の鄭章基がアウトを宣告した瞬間、球場に充満した歓喜が一気に爆発した。
マウンドの中央で両腕を夜空に突き上げて叫ぶ比山の元に駆けつけて熱い抱擁を交わすキャッチャー清水。そこにドラグノフ、近堂、ノーリー、棚橋の内野陣が、ベンチから飛び出した宮畑、李健太郎、金重男らが次々と集まって瞬く間に人間の輪が出来た。間もなく大連劉瑞生監督の胴上げが始まり、痩身は五回大連の宙に舞った。
さて、今日の試合は大連の先発が池田武治、開城の先発は田中清史で始まった。初回、星渡にライト前ヒット、大上に四球で早くも大連に得点チャンスが訪れる。しかし棚橋は三振に倒れた上に、星渡が牽制で刺されてツーアウト一塁とチャンスをしぼませてしまう。若い選手は優勝を眼前にして気負いすぎていた。ここで躍動したのが4番林であった。田中の外角へ投じたカーブを捕らえてライトスタンドに先制の2ランホームランを叩き込んだ。大連で優勝経験もあるベテランの一振りでチームの固さが取れた。
2回一死後、近堂がセンター前ヒットで出塁。清水もレフト前に転がして続く。池田送りバントで二三塁に進めると、トップに戻っての星渡がライト線へタイムリー3ベースを放ち4点目。さらに大上がショートへ極めて高いバウンドのゴロを打ちタイムリー内野安打とする。2回終了時点で早くも5対0と大差が付いた。開城の田中はこの回で降板。目の前で胴上げを見たくない開城はベテランの意地に賭けたが応えられず。今季の田中はピリッとしないまま終わってしまった。後は奉天の結果次第だが、この時点ではまだ0対0であった。
大連先発の池田は初回こそ気合が入りすぎてコントロールが定まらず、いきなりワンナウト満塁のピンチを背負ったが、開城の5番ハイローがほとんどド真ん中の平凡なストレートを打ち損じてセカンドゴロダブルプレーとなる。これと初回の得点で正気を取り戻したか、以降は本来の意味で力のこもったピッチングが出来るようにった。池田の良さはテンポにある。投球の間合いが短くポンポンとボールを投じるので自然に池田ペースが出来上がる。初回は慎重すぎてテンポが遅れていたが2回以降はいつものテンポになった。
4回、快調なペースで飛ばしていた池田がこの回も素早くツーアウトまで取ったものの、曹真永にシュートを狙われレフトスタンドへホームランを打たれる。しかし5回裏、一死後から棚橋が左中間を破る2ベースヒットで出塁。林のセカンドゴロで三塁に進み、パウロが開城の二番手車智文の威力あるストレートに詰まりながらもショートとレフトの真ん中に落ちるポテンヒットを打った間にホームイン。これで6対1と突き放す。ここでスクリーンに映し出された他球場の途中経過における平壌4-2奉天(6回表終了)というスコアに観客が沸いた。
もはや大連の勝利は決定的と考えた劉監督は、慎重を期してサード大上に代えてノーリー、レフトアンジェロに代えて水内という守備固めを行った。そして7回、先頭の星渡が死球で出塁、ノーリーがライト前ヒットで一三塁とする。棚橋がセンターへ犠牲フライで1点。林は四球でまたチャンスを作ると、代わってマウンドに立った森からパウロがセンター前に痛烈なゴロを打って1点。さらに二死後、近堂がレフト前ヒットで駄目押しとなるこの回3点目が入った。
8回終了時点で9対1と圧倒的有利の中、奉天が平壌に敗北という情報が入った。残る9回表の攻撃を抑えきればここで優勝決定となる。そこで、セーブが付かない状況でありながら9回には比山をマウンドに送った。去年までストッパーだった西坂を穴を埋めて余りある活躍を見せた男に対するご褒美である。比山は期待に応えて開城打線を力強いピッチングで三者凡退に抑えた。
劉監督は「本当に嬉しいです。途中苦しい時期もあったけど、選手たちが奮闘してくれたおかげで乗り切ることが出来た」と笑顔で話した。しかしすぐに表情を戻して「まだ終わりではありません。シーズン残り2試合とプレーオフも全力で戦う。まだ全てを手にしたわけではない」と気を引き締めた。来週の火曜日と水曜日に沖縄でシーズン最後の2試合が行われ、22日からプレーオフが始まる。
その他の試合結果
61勝77敗10分 平壌 5-4 奉天 79勝57敗12分
49勝89敗10分 光州 1-0 ハルビン 64勝74敗10分
73勝63敗12分 新京 4-2 チチハル 78勝62敗8分




