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大日本リーグ-大連戦記-  作者: 沼田政信
シーズン150試合
165/188

賽は投げられた 松浦完封大連先勝

[ホーム]大連

8星渡(4-1)

5大上(2-0)-ノーリー(1-0)

6棚橋(4-1)

9林(4-1)-水内

3パウロ(4-0)

7アンジェロ(4-2)

4近堂(4-1)

2清水(2-0)

1松浦(2-0)


[ビジター]奉天

5横山

4佐藤

2漢

8長谷川

7間口

9浜口

3蔡均森

6田辺

1王丈広


奉 000 000 000 0 ●王丈広-片倉-朴賢侍 77勝53敗12分

大 000 021 00- 3 ○松浦(9) 77勝53敗12分


 ついにこの日がやってきた。本日10月10日からの4日間は今季の総決算となる、奉天との直接対決が行われる。お互い負けられない試合の第1戦は大連が若い松浦心、奉天が経験豊富な33歳の王丈広を先発に起用した。こういったプレッシャーのかかる試合に実質1年目の松浦起用は危険に見えるが、劉監督は松浦の度胸にかけた。そして松浦は見事に、あるいは想像以上に大役を果たして見せた。


 心臓に毛が生えているとはこのような男のことを言うのだろう。プレッシャーのかかる第1戦でありながらストレートの威力はむしろ普段以上で、試合終盤になってもまったく衰えることはなかった。「プレッシャーはなかった。むしろ普段より楽しかった」と事もなげに言い放ったのは、まだ高校生どころか中学生にすら見える19歳の少年投手なのだから末恐ろしい。


 大連打線は王丈広の安定感の高いピッチングに苦戦したが、5回に突破口を開く。一死後、キャッチャー清水がサードのエラーで出塁し、松浦の送りバントで二塁へ進む。そしてトップに戻って星渡が王の内角へのストレートを弾き返した。ライナー性の打球は奉天のライト浜口がジャンプしたグラブの少し上を飛んでいき、ライトスタンドに陣取る大連ファンを歓喜させる2ランホームランとなった。


 さらに6回、この回の先頭打者林がライト前ヒットで出塁。パウロはセンターフライに倒れたが、アンジェロが左中間へのヒットで一三塁。そして近堂が王の秘球パームボールをセンター前に弾き返した。これで林が生還して3対0として、後は松浦に任せるだけでよかった。


 任された松浦は9回を被安打3四死球1に抑えてピンチらしいピンチもなかった。敢えて言えば、2回にヒットと進塁打でツーアウト二塁まで来た所だが、これも奉天が唯一得点圏にランナーを進めたというだけで、危ない雰囲気はまったくなかった。


 後は9回まで力強いストレートを基調としてスライダー、フォーク、カーブなどを織り交ぜた正統派のピッチングで奉天の打者を次々となぎ倒していくだけだった。最後は4番長谷川をセンターライナーに打ち取り10勝目を完封で決めた。夏場に4連敗したようにまだシーズンを通じたスタミナはないが、成長によってそういった欠点を潰していけばどれほどの選手になるか、あまりにも楽しみだ。


 重要な第1戦を制した大連。これで奉天とのゲーム差はなし。最高の形で決戦のスタートを切ることが出来た。この対決の残りは3試合。少なくとも目の前で奉天坂本監督の胴上げスタートという最悪の事態だけは避けられたことだしよりリラックスした精神状態で試合に臨めるようになるだろう。逆に奉天は追われる分プレッシャーもかかる。心理的にはもう逆転していると見てもいいだろう。明日からの第2戦以降も期待できそうだ。


その他の試合結果

68勝62敗12分 新京 3-5 開城 67勝67敗8分

76勝58敗8分 チチハル 4-1 ハルビン 61勝71敗10分

56勝76敗10分 平壌 1-5 光州 47勝85敗10分

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