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大日本リーグ-大連戦記-  作者: 沼田政信
シーズン150試合
152/188

エース不覚 禁断の敗北劇

[ホーム]チチハル

6万城原

8和泉

9吉住

3星野

7折口

5丸木

4楚明英

2李秀一

1寺沼


[ビジター]大連

8星渡(4-1)

4大上(3-1)

6棚橋(3-0)-フェリックス(1-0)

9林(2-0)

5パウロ(4-2)

7アンジェロ(4-0)

3古池(3-0)-ドラグノフ(1-0)

2清水(3-1)-金重男(1-0)

1吉野(3-1)-野藤-立石(1-0)


大 000 100 000 1 ●吉野(7-2)-野藤(1) 69勝48敗12分

斉 101 000 00- 2 ○寺沼-長谷部-高麗-S通 68勝55敗6分


 第3戦、そしてチチハルとの今季レギュラーシーズンにおける最終戦である。大連の先発は月曜日に登板したエース吉野。劉監督はこれからは吉野中心のローテーションを組むと明言しており、今日もその一環である。一方チチハルの先発は、なんと18歳高卒ルーキーの寺沼芳之。エース吉野相手なので高監督は勝負を捨てたのかとさえ思ったが何の何の、この寺沼が素晴らしいピッチングを披露して、挙句の果てには吉野に投げ勝って見せたのだから分からない。


 寺沼の最高球速は147キロだった。まだ体つきは華奢だが腕の振りが柔らかく、スーッと糸を引くような綺麗なストレートを投げる。変化球はスライダーとチェンジアップを主に使用して、他にはフォークやカーブも投げるらしい。コントロールは多少荒れる部分はあったものの試合を壊すほどではなく、適度な荒れ球となって打者にとっては打ちづらくなっている。


 大連打線を6回を被安打5四死球3の失点1に抑えた。その失点シーンは4回、先頭の林を四球で歩かせ、パウロにストレートを引っ張られてレフト前ヒットで一二塁とされる。アンジェロはストレートを打ち損じさせてのファーストゴロで二塁封殺もダブルプレーはならず。古池はサードフライでツーアウトとしたものの、キャッチャー清水に外角へのスライダーを読まれてライト前に流し打ちされて林がホームイン。しかしそれ以外の場面は危なげなく抑えていた。偶然が重なった結果抑えられたという雰囲気ではなく、見ていて安心できるピッチングだった。


 チチハルは初回、一死後に和泉康之が吉野のスライダーをレフトスタンドに運んだ。これは本来もっと外角に投げるはずが中央に寄ってしまったもので明らかに吉野のコントロールミスだった。さらに3回、この回先頭の李秀一が左中間を破りフェンスに直撃する爆発的なライナーを放ち早速二塁へ。寺沼は送りバントを試みたが失敗も、トップに戻って万城原のファーストゴロで三塁まで進める。そしてまたも和泉が吉野を打つ。初球のストレートをいきなり強振して打球は一二塁間を破るタイムリーヒットとなった。この2点を守りきった。


 大連としては、まさかエースが高卒ルーキー相手に試合を落とすとは思わなかっただろう。奉天は今日引き分けたため69勝48敗12分で並んだ。この場合昨年の順位が適用されて奉天が首位となる。地域ごとに行われるシリーズにおいては下位が優先されるがこれはあくまで例外。年間順位が並んだ場合は前年の順位が高いほうが上となる。昨年の順位が4位の大連が奉天の連覇を止めるには並んだだけでは駄目で、明確な差をつける必要がある。やはり直接対決で叩くしかないのか。


 また本日、大連市内の球団事務所でスカウト会議が開かれ、シーズン終了後に開催されるドラフト会議の上位指名候補が約60人に絞られた。鹿取奉善ゼネラルマネージャーによると、今年は即戦力となりうるバッテリーの補強をメインに行う方針という。投手では糸松高・関内将希、堀井自動車・中村平ら、捕手では吉林産業大・周海健、大都大・丸本公淳らがリストアップされた。


その他の試合結果

63勝54敗12分 新京 4-4 奉天 69勝48敗12分

43勝76敗10分 光州 1-6 開城 59勝63敗7分

53勝67敗9分 平壌 5-4 ハルビン 56勝63敗10分

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