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大日本リーグ-大連戦記-  作者: 沼田政信
シーズン150試合
142/188

激戦の行方は勝敗お預け

[ホーム]奉天

5横山

4佐藤

8長谷川

7間口

2漢

9市松

3蔡均森

6田辺

1サンタナ


[ビジター]大連

8星渡(4-1)

4大上(2-0)-立石(1-1)-森茂

6棚橋(5-3)

9林(5-2)

5パウロ(4-2)

3ドラグノフ(2-0)-古池(1-0)

7アンジェロ(3-1)

2清水(3-1)-金重男(1-0)

1張尊(3-0)-伊東-野藤-小松原-宮畑(1-0)-比山


大 000 210 001 4 張尊(5 1/3-4)-伊東(2/3)-野藤(1)-小松原(1)-比山(1) 63勝45敗11分

奉 010 003 000 4 サンタナ-片倉-乙部-丸茂-ファン 65勝43敗11分


 奉天決戦第3戦。ここまで1勝1敗となっているので今日の結果によって1ゲーム差になるか3ゲーム差になるか、勝利と敗北の差は天国と地獄よりも大きくなる。そんな重要な試合における大連の先発はベテランの張尊、奉天は長年手塩にかけて育成してきた秘蔵っ子サンタナである。


 先制したのは奉天であった。2回、4番間口と5番漢が連打で一二塁とする。6番市松がセカンドゴロでダブルプレーとなってしまったが間口は三塁に到達する。そして7番の蔡均森はスライダーを当てただけの打球だったがセカンドとライトの間にうまく落ちた。これで1点を加える。


 本来今季のファーストを期待されていたベンソンは先日怪我を名目に帰国しており、今季限りでの退団は決定的である。打率は1割台、期待されたホームランも3本に終わるなどその実力はまったく発揮できなかった。しかし蔡の堅実なプレーはその穴を埋める以上のものがある。


 大連の逆襲は4回であった。この回先頭の4番林がライト線に落ちるポテンヒットで出塁すると、パウロがレフト前にヒットを打ち一二塁とする。そしてドラグノフはセカンドゴロを名手佐藤がまさかのファンブルで満塁に。ここでアンジェロがサンタナのストレートを振りぬいて左中間げ強烈な打球を飛ばす。抜ければ走者一掃だったがセンター長谷川がダイビングキャッチ。大連はタッチアップで1点を加えて同点に追いついた。続く清水がスライダーをうまく振りぬき三遊間を抜けるタイムリーヒットで2対1と逆転に成功する。


 続く5回も大連の攻勢が続く。先頭の星渡がセンター前ヒット、大上が四球でチャンスを作ると、棚橋のレフト前ヒットで星渡が生還して3対1とさらに差を広げる。なおも一三塁の場面で奉天はサンタナを降板させる。そしてベテラン片倉千比呂を投入。片倉は林をピッチャーライナー、パウロを三振、ドラグノフをライトフライに打ち取って大連の攻撃をシャットアウト。そしてここから奉天が反撃する流れとなる。


 6回裏、先頭の横山が四球で出塁。佐藤はサードゴロでアウトになるもランナーは二塁へ。そして迎えた3番長谷川はスライダーを叩いてレフトフェンス直撃のタイムリー2ベースヒット。間口四球一二塁とすると、漢が右中間にタイムリーヒットを放ち同点に追いつく。ワンナウト一三塁の局面でピッチャーを伊東に交代。市松はファーストゴロ。ファーストドラグノフは素早くホームへ送球したものの間口のスタートがよく判定はセーフ。3対4と、奉天が試合をひっくり返した。なおもワンナウト一二塁だったがここは伊東が踏ん張り、蔡均森をファーストフライ、田辺を三振としてこれ以上の失点は防ぐ。


 7回と8回は両チームのリリーフ陣が奮闘した結果、スコアボードには0が4つ並んだ。そして9回、奉天は抑えの切り札ケリー・ファンをマウンドに送った。大連は先頭のピッチャー小松原に代打宮畑を繰り出すが三振。トップに戻って星渡も球威に押されてセカンドフライ。もはや万事休すか、という場面で大上の代打として立石が登場する。このベテランの粘りがドラマを生んだ。立石は2球で追い込まれたがそれ以降ストレートをカット、ボール球を見極めてフルカウントまでこぎつける。そして11球目、低めに来たストレートを見送る。判定はボール。見事な選球眼で一塁に生きた。


 立石に代走森茂が送られて次の打者は棚橋。カウント2-1からの3球目、ストレートを打ちあぐねたようなフライだったがショート、レフト、センターの間に落ちる幸運なヒットとなる。そして4番林である。初球のストレートは若干外に外れてボール。そして2球目、内角に攻めてきたストレートを捕らえる。痛烈なライナーはジャンプしたセカンド佐藤のグラブを掠めてライト前へ。森茂が生還して、ツーアウトツーストライクから4対4の同点となった。9回裏は比山がランナー2人を出したものの肝心な部分はきっちり抑えた。ラストバッター佐藤のバットがフォークの前に空を切った瞬間、引き分けが決まった。


 結局1勝1敗1分けとまったくの五分五分に終わった。大連にとっては差を詰めることが出来ず、奉天にとっても大連を突き放すことに失敗した。次の直接対決は10月10日からの4連戦。そしてそれが終わると残りの試合数は5しか残っていないという、まさに最終決戦が控えている。それまでに奉天は差を広げられるか、大連は奉天についていけるかが重要になる。優勝の行方は最後の最後まで決まりそうもない。


その他の試合結果

42勝68敗9分 光州 6-3 平壌 51勝61敗7分

52勝59敗8分 ハルビン 4-7 開城 52勝60敗7分

62勝51敗6分 チチハル 11-5 新京 58勝52敗9分

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