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大日本リーグ-大連戦記-  作者: 沼田政信
シーズン150試合
136/188

流れ流れてドローゲーム 不確実性の極み

[ホーム]ハルビン

7ボルト

9鈴木壮

6井沢

2田坂

3助川

7田中

5南吉展

4竹原

1李正明


[ビジター]大連

8星渡(4-1)

4大上(4-1)

6棚橋(5-1)

9林(3-1)

5パウロ(5-1)

7アンジェロ(4-0)-宮畑(1-1)

3柳中平(3-3)

2清水(2-0)-金重男(1-1)-南(1-0)

1瑞穂-斎場(2-0)-河剛紀(1-0)-石風呂-平野-古池(1-1)-野藤


大 000 210 020 5 瑞穂(1 2/3-1)-斎場(3 1/3)-石風呂(1-3)-平野(1-1)-野藤(1) 60勝43敗10分

哈 010 003 100 5 李正明-鈴木真-名々見-堀 50勝56敗7分


 今日の先発は大連が瑞穂、ハルビンが李正明。なぜか勝ち星には恵まれないものの好投が続いていて常に計算できるピッチングをする瑞穂に対して李正明は調子にムラがあり、投げてみないとわからないところがある。よって戦前は大連有利と予想されていたが、思わぬハプニングが起こるなどしてどう展開するかまったく読めない試合となった。


 それは2回裏に起こった。大連先発の瑞穂はいつも通り優れたコントロールを駆使したピッチングを見せてこの回先頭の4番田坂をライトフライに打ち取った。そして5番の助川を迎えての1球目、小さく曲がるシュートを強引に打ち返した打球が瑞穂の右肩付近に直撃。これはすぐさま一塁に送球してアウトにしたが、これ以降瑞穂は肩をしきりに気にするようになる。


 球威は落ちていないようなので続投させたがコントロールはおかしくなっており続く田中には瑞穂らしからぬ明らかなボール球を4球続けてむざむざ歩かせてしまう。南吉展にはストレートを捕らえられてレフト線を破られる2ベース。竹原にもレフト前に打たれて失点。李正明に四球としたところでようやく劉監督が動いてピッチャー交代。斎場がマウンドに向かう。


 斎場は安定したピッチングを見せた。その間に大連打線が李正明を攻略にかかる。4回、先頭の林が初球のストレートを叩いてライトスタンドに同点ホームランを叩き込む。さらに二死後、柳中平にも一発が飛び出して逆転に成功する。さらに5回にはツーアウトながら四球で出た星渡を一塁に置いた場面で棚橋が三塁線を破るタイムリーを放ち3点目とする。この5回までで斎場は降板。


 大連の3番手は石風呂だったがこれが誤算。先頭の田坂にいきなり右中間に2ベースを打たれると、続く助川には四球を与えてしまう。そして打席に立つのは6番レフト田中海。シーズン当初は鈴木壮介とポジションを争ったが敗れて控えに定着しかけていたが、レギュラーだった篠原が不調で二軍落ちしたことでまたチャンスが巡ってきた。その田中がカウント2-1から投じられた石風呂のパームボールを完全に捕らえた。打球はフェンスのすぐ上を飛んでいきレフトスタンドへ突入。逆転の3ランホームランで一気に形勢逆転した。


 ハルビンの李正明は6回限りで降板。ハルビンはリリーフ攻勢をかける。7回の鈴木真之に対してはランナー2人を出すものの無得点。その裏には4番手の平野が田坂にタイムリーを浴びて点差が2に開いてしまう。しかしこのままでは終われない。8回にハルビンはセットアッパー名々見忠志を投入したが、この実力者が大連猛反撃のターゲットとなる。


 先頭のアンジェロは得意のシンカーで三振を奪ったが、柳中平がストレートを逆らわずにレフト前に流す。柳は今日3安打目。ここで清水に代えて代打金重男を起用。金は期待通りのライト前ヒットでチャンスを拡大する。そして代打古池吉郎がスライダーを捕らえてレフト前に。これで柳がホームイン。なおもチャンスでトップに戻って星渡はショートゴロで古池は二塁封殺もダブルプレーはならずツーアウト一三塁。続く大上はあっさり追い込まれたが、決め球のシンカーが暴投となって金重男がホームイン。まさかの形で同点となった。大上は次に投じたスライダーであっさり三振に倒れた。全然対応できていなかった大上に不要な失点を与えてしまった名々見、まさに痛恨の一球であった。


 8回裏、マウンドには野藤。一死後に助川の代打蘇陽長に対してカウント1-2から勝負球としたフォークボールを蘇が辛うじて当てたファウルチップが金の股間を直撃。男性特有の悶絶の末にグラウンドから退場してしまった。あまりにも痛ましい事件の後に登場したのは高卒2年目で公式戦初出場の南翔介。南は野藤の尽力もあり無難なリードで急場をしのいだ。


 そして9回。逆転を目指す大連はハルビンのストッパー堀を攻め立てる。二死後、パウロと代打宮畑の連打に柳敬遠で打席には南が。ベンチには立石や近堂も残っていたが代わりの捕手がいないので代打は事実上不可能。南は堀のストレートにまったくタイミングが合わず三球三振に倒れて得点ならず。二軍成績を見るに打撃が下手というわけでもないはずだが公式戦初打席には酷な場面だったか。9回は比山がハルビンの下位打線を抑えて試合終了。5対5の引き分けとなった。


その他の試合結果

62勝41敗10分 奉天 1-6 新京 56勝49敗8分

49勝57敗7分 平壌 5-0 開城 49勝59敗5分

59勝48敗6分 チチハル 3-3 光州 39勝65敗9分

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