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大日本リーグ-大連戦記-  作者: 沼田政信
シーズン150試合
113/188

勝利を引き寄せた逆転満塁ホームラン

[ホーム]安東

8江篤順

7高友朋

4江田上

3マンドルフ

D李公勝

9菅原

5ウェッジ

6和徳

2年本

1マティングリー


[ビジター]大連

8星渡(3-0)

7アンジェロ(4-1)

6棚橋(4-1)

9林(3-1)-岩下

5パウロ(4-3)

3古池(3-0)-ドラグノフ(1-0)

D立石(3-2)-大上

2清水(3-1)

4本郷(4-1)

1張尊-趙雅憲-野藤-伊東-比山


大 000 024 100 7 張尊(3-4)-○趙雅憲(3)-野藤(1)-伊東(1-1)-S比山(1)

安 202 000 010 5 マティングリー-●藤山-程建昌-吉林-樺島


 昨日に引き続いて安東との対戦。先発も張尊とマティングリーなのは先週とまったく同じ。違うのは試合会場が大連から安東に移ったこと、そしてそれと同じくして指名打者制も採用されるようになったことである。野手は、ファーストに柳中平ではなく古池を起用して指名打者にはベテランの立石の名前が。そして柳の定位置である2番打者にはアンジェロの名前が。アンジェロ2番は交流戦の頃に数試合あったが久々の起用はどう出るか。


 前の試合では大連が安東を圧倒したが今回はマティングリーも大連を研究したのだろう。なかなかうまく抑えていた。試合序盤に優勢だったのは安東であった。初回、江篤順がいきなり左中間への2ベースと江田上の四球でワンナウト一二塁のチャンスを作ると、4番マンドルフがカーブを捕らえてフェンス直撃の2点タイムリーで先制点を奪う。さらに3回には江田上の2ランホームランも飛び出して早々と4点のビハインド。ここで大連の劉監督は張を下げて2番手に趙雅憲を投入する。思い切った采配だったが、趙は期待に応えて3回を無失点に抑えた。ここから流れは大連に傾いてくる。


 大連打線が火を噴いたのは5回。火付け役は指名打者に入った立石だった。この回の先頭打者だった立石はマティングリーのチェンジアップが高めに浮いたのを見逃さず左中間を破る2ベースを打つ。続く清水は右打ちでランナーを三塁に進める。そして本郷のライト前ヒットでホームイン。下位打線といえども打撃でもきっちり仕事ができる面々である。トップに戻って星渡は四球を選んだ。そして2番のアンジェロがレフト前に落とすタイムリーヒットで1点差に追いつく。しかし三塁を欲張った星渡が挟まれてアウトになるなどしてこの回はここまで。


 6回、安東はそろそろ捕まりそうだったマティングリーを下げて2番手に藤山をマウンドに送り込む。しかしこれが誤算だった。先頭の林は初球打ちがセンターに抜けるヒット。パウロは2-0からストライクを取りに行くストレートを狙われてレフト前ヒット。古池は三振も立石四球で満塁となる。


 ここで打席に立つのはキャッチャーの清水。ストライク、ボール、ボールでカウント2-1からの4球目、外角へのストレートが真ん中に入った失投を振りぬいた打球はビジターの大連ファンが集うレフトスタンドに一直線。打撃よりも守備を買われてレギュラーを掴んでいるタイプの伏兵清水が逆転満塁ホームランという大仕事をやってのけ、2対4が一気に6対4と試合が完全にひっくり返った。


 以降は大連のペース。7回にはレフト前ヒットで出た棚橋をパウロが返して7点目とする。8回には年本のホームランが飛び出したものの反撃はここまで。9回には抑えの切り札比山の前に打線は沈黙。7対5で大連の連勝となった。これで大連の通算成績は48勝34敗8分となった。勝利投手となった趙は今季初勝利。再昇格以降はロングリリーフもこなせる使い勝手のいい中継ぎとしてよくやっている。


 殊勲打の清水は開口一番「あーびっくりした。まるでプロ野球選手みたいな打球だったでしょ」とおどけ「打ったのはストレート。僕はそういう(本塁打の多い)バッターではないので、犠牲フライを狙うくらいの軽い気持ちでバッターボックスに立ったのがかえって良かった」と声を弾ませた。一方打たれた藤山は沈痛な面持ちで「ストレートが甘く入ってしまった。あの場面で絶対やってはいけないこと。ただ申し訳ない」としぼり出すのが精一杯だった。まさしく試合を決める一振りだっただけに対照的な両者であった。

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