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大日本リーグ-大連戦記-  作者: 沼田政信
シーズン150試合
102/188

台湾決戦 たぎる若き血潮

[ホーム]台北

9斉藤

D王啓人

8マクギャリー

6渕崎

4尹浩二

3陸文保

5石崎

7マイルズ

2加藤

1程良民


[ビジター]大連

8星渡(3-1)

9ノーリー(2-0)

6棚橋(4-1)

5パウロ(3-1)

7アンジェロ(3-0)-宮畑(1-0)

3ドラグノフ(4-1)

D古池(4-1)

2清水(2-0)-金重男(1-0)

4本郷(3-1)-立石(0-0)-大上

1松浦-黄直哉-伊東


大 000 020 000 2 ●松浦(6-2)-黄直哉(1)-伊東(1)

台 010 002 00- 3 ○程良民-平岡順-黒谷原-S落合


 福岡から台湾に移動してすぐに台北戦。そして2試合が終わるとすぐ千葉に移動して2連戦。東アジアが舞台の大日本リーグはアメリカのように移動が多く、選手を疲弊させる。今日は林が休養でノーリーが2番ライトとして先発。内外野守れるユーティリティプレイヤーはこのようなタフな日程が続く対抗戦でより効果を発揮する。そして昨日打点を挙げたドラグノフもスタメンに。先発はオールスター明け初登板となる松浦。


 対する台北は日本列島のみで行われていた野球リーグを現在の姿に仕立て上げた原因となった球団のひとつである。台北と、今回は対戦しないが台南の加盟を認めた事が原因でリーグは2つに分裂。その後朝鮮半島や満洲にも球団を作る動きが加速した。極端なことを言うと大連球団は今日対戦する台北(と対戦しない台南)なしでは存在しえなかったというわけだ。まあ、遅かれ早かれいわゆる外地の球団は誕生していたという話もあるが。都市対抗では極めて優秀な成績を残していた球団が多く存在し、有力な大企業も多かったので結びつけばプロとなっていたのは日を見るより明らかという説である。しかしその場合日本列島のリーグとは別に、満洲や朝鮮半島にも野球リーグが発足という形になっていたかも知れない。やはり現在の形になったのは台湾のお陰だろう。


 さて、台北は現在3位で、戦力もなかなか整っている。19歳の4番渕崎滋や業師の斉藤雅人を中心とした打撃陣はバランスが取れている。投手陣も先発からリリーフまで一通り人材が揃っており弱点たしい弱点はない。しかし優勝するには一回りの成長が必要と言ったところか。今日の先発は程良民。23歳の若手投手だが今季急成長してローテーションの一角に定着している。左腕からのカーブが武器。


 試合は2回、一死後に5番の尹浩二が三遊間を破るヒットで出塁。続く陸文保はレフトフライと思いきやアンジェロが落球で一二塁に。石崎は三振もマイルズにライト前タイムリーを打たれて先制を許す。もちろん松浦の自責点はつかず。打線は程の適度な荒れ球とカーブにタイミングをずらされ、なかなか攻略できない。しかし試合中盤にようやく反撃体勢が整った。


 5回、先頭打者の本郷がライト前に流して出塁。さらに星渡四球でノーアウト一二塁として、ノーリーの送りバントで二三塁に。棚橋はショートゴロでランナーそのままも、パウロがレフトフェンス直撃の痛烈な2ベースを放ち2対1と逆転に成功。林の名前がなくてもある程度は戦えるようになったのは大連のチーム力向上を如実に示している。


 このままいけば勝利だったがそう簡単にいかないのが野球の世界。6回裏に落とし穴が待っていた。一死後に3番のマクギャリーが右中間を破る痛烈なライナー性の打球を飛ばす。マクギャリーは二塁ベースを蹴って一気にサードへ進み、いきなり同点のチャンスとなった。そして迎えるのは4番渕崎。渕崎と松浦は同年代。地方の無名投手だった松浦とは反対に、小学生の頃からその才能を知られていた渕崎。昨年のプロ1年目は68試合に出場して7本塁打を打つなどなかなかの活躍を見せた。何より打球の飛び方が違う。


 マクギャリー、尹など中距離打者の多いチームに待望の長距離砲出現という事で、呉鉄広監督は実戦で鍛える方針を取った。渕崎は今のところ打率.268本塁打7打点27の数字を残しており、ファン投票でオールスターにも選出された。開幕当初よりも明らかに良くなっており、今後のさらなる成長が期待されている大物候補だ。


 その渕崎が松浦の真ん中低めに入ったストレートをジャストミートで振りぬき見事なホームランを放った。これで2対3と大連を逆転。そしてそのまま決勝点となった。9回表、ツーアウトから立石が四球を選んだが代走の大上が盗塁失敗でゲームセット。これで大連の通算成績は43勝29敗7分となった。

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