その1
基本会話のみで進行します。
俺には一つ、日課になっている事がある。
そして今日も、黙々と本を読んでいる少女に話しかけた。
「『おもしろき こともなき世を おもしろく』って知ってるか?」
「……いきなり意味が分からない。今日は……なに?」
「高杉晋作だよ。知ってるだろ?」
「……それは知ってる」
「でだ。下の句ってないのかね?」
「……質問の意味が分からない。……けど……『すみなすものは 心なりけり』と、続くとも言われている」
「へぇ……それって、どういう意味なんだ?」
「……つまり『おもしろいかどうかは、人の心の持ち方しだい』ということ」
「ああ、そういうことなのか」
「…………で、どうしていきなりそんな事?」
「……いや、お前は今『おもしろく』生きてるのかって思ってな。いつ来ても黙り込んで本ばっか読んでるし」
「……そう」
「で、どうなんだ?」
「…………今は、少しだけ……おもしろい」
一度短編で出したのですが、続きを書きたい欲求が増してきたので、連載登録に直しました。
短編の方は同じものなので、2~3日したら消します。
……掌編集(?)といっても、毎度オチが一緒になりそうですが(笑)