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破滅の国の王子の未来を変えるために  作者: 第三者臨海


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前編



 不穏な予言がありつつも、マルスは育っていく。

 病に悩まされる事も、暗殺者などに命を狙われる事もなく、すくすくと育ったマルスは、5歳になる。

 マルスは同年代の子供に比べて、吸収の早い人間だった。

 そのため、次々に様々な事を学んでいくが、引き換えに増長しやすいのが大きな欠点だった。


 同年代の子供の中では自分が一番賢く、他の人間は自分の言う通りにするべきだと考えていた。


 そんなマルスがある日、同年代の友達と遊んでいる時に事件は起きた。


 その遊びは、男の子らしいものだ。


 木で作られた剣を振り回してのチャンバラ。


 数人の男の子達と共に木剣で遊ぶマルス達だが、そこで問題が起きてしまう。

 自分に勝った友達の力を信じられず、ズルをしたと言うのだ。


 マルスは飲み込みがよく、要領もよい。

 剣の指導も受けていて、指導者から筋がいいと褒められていた。

 それはお世辞などではなく本当の事で、そのためにマルスは自分の敗北を認められなかったのだ。


 敗北を認められないマルスに友達は怒ってしまい、彼らは喧嘩になってしまった。


 マルスの護衛として少し離れたところから見守っていた大人たちが止めるまで、その喧嘩は続いた。


 二人は仲直りする事なく、この日は分かれる。





 友人との喧嘩で憤っていたマルスは、その日の夜にちょっとした悪事を働く事にした。


 今まで品性方向で過ごしてきたが、他の子供達がするような悪戯などにも年相応の興味があったからだ。


 昼間の出来事で、マルスは少しだけやさぐれていた。

 その出来事が影響したのは、間違いがなかった。


 世闇の中、人目を気にするマルスは、時に巡回中の兵士の目を欺き、時に道なき道をすすみ、目的地にたどり着く。


 そこは、様々な貴重品が保管されている宝物庫だ。

 マルスが宝物庫に向かった理由。

 それは、人の心を暴く魔道具を手に入れるためだ。


 数日前に宝物子の手入れをしていた者が、そういった品物があると話していたのをマルスは耳にしていた。

 興味深い内容だったため、覚えていたのだ。


 マルスはその道具を盗み、友達の心を暴いて、ズルを見破ろうと考えていた。


 しかし、目当ての品物を見つける前に、別の物がマルスの興味を引いた。


 ここで目当ての宝物を手にしていた場合、マルスは人を信じられず疑心暗鬼になっていただろうが、そんな道筋は消え去ったのだ。


 未来が一つ消えた代わりに、別の道筋が彼の目の前に現れる。


 それは彼が助言者を得るという未来だ。


 マルスは宝物庫の一画で光る本を見つけて、開いた。

 その本から出てきたのは、サークルという名前の男性だった。

 体は透けていて、実体はない。

 年は30歳くらいで、見た目は王宮の片隅にあるーー獣舎で働く者の、制服を着ていた。




 サークルは未来からやってきた存在で、王宮勤めの獣のお世話係だという。

 理由はわからず、彼は戸惑う。


 未来でも、現在でも、王宮には財力や権力を示すために珍しい獣が飼育されていた。

 サークルは未来で、その獣たちをお世話していたのだ。


 しかし、未来で色々あってマルスは暴君として、国のトップに君臨。

 それから国は滅茶苦茶になり、国民たちは多く者達が困りはててて、餓死者が出たり、国外に脱出したりした。


 結果マルスは、国を混乱に貶めた悪として、民衆に討たれてしまったという。

 サークルからその話を聞かされたマルスは、当然信じなかった。


 しかし、サークルはそんなマルスに予言を一つ口にする。

 近いうちに王妃と王が馬車に乗っている時、事件にあって死亡すると。

 その事件がきっかけで、マルスに甘い言葉を吐くものだけが要人になり、国が腐敗していくのだと言う。


 たわごとだと思ったマルスだったが、サークルの言った通りの日に両親たちの予定が埋まる。

 二人が、馬車に乗る用事ができたのだ。

 マルスはまさかと思いながら、不安に思って一応の策を練った。


 そして当日、馬車で出かけた王と王妃が乗った馬車は、盗賊に襲われてしまう。

 しかし事前に、護衛の騎士の人数を増やした事により、未来も変わったのだった。

 マルスはサークルが本当に未来からきた人間だと理解した。






 破滅の始まりは様々な要因がある。

 二つの要因はすでに潰れていたが、まだ多くが残っていた。


 それは、マルスの婚約者ソディア姫との不和から始まるものもある。とサークルが言った。

 隣国、翡翠国のお姫様がマルスの婚約者になるが、彼女とすれ違い、国同士の関係も悪化。

 翡翠国は琥珀国の同盟国だったが、大変な時に助けてくれなくなるらしい。


 マルスは、サークルに婚約者とうまく関係を築くように言われる。

 しかし彼は女心が分からなかった。

 ソディア姫と顔を会わせた際、おめかししていても一言も褒める事なく、他の女の子とばかり話し始める始末だった。


 マルスは初めてあった婚約者という存在に緊張し、うまく話せなくなっていた。


 そんな態度を近くで見守っていたサークルに怒られたマルスは、緊張しなくなる特訓を行った。


 女性と話す事に慣れるようにして、女性が興味を持つような話題を仕入れ、相手の様子を気にかけるように心得た。


 それからのマルスは、ソディアのことをきちんと対応するようになり、関係はおおむね良好になった。





 ソディアと緊張せずに話せるようになってから数か月後。


 マルスと他愛ない話をしたソディアは、友達との関係がうまく行っていないという相談事をもちかけてきた。


 ソディアの友人が両親から虐待を受けていて、何か失敗するたびに家の中の薄暗い蔵に閉じ込められているのだという。


 憤ったマルスは、ソディアの友人の環境をなんとかするために、権力を使おうとした。


 王と王妃に無茶を言って困らせ、自室に戻ったところで、サークルが他の案を口にした。


 ソディアの友人に全寮制の学校へ入学するように言って、色々な価値観を学ばせ、特技を身に付けるようにと言う。


 本人が環境から抜け出すように仕向けさせ、家の力がなくても自立して生きていけるだけの力を身に付けさせることが大事だという。


 権力で無理やり解決することはできるが、それでは本人のためにはならず、生き抜く力も育たないと言った。


 マルスはその事をソディアに告げる。


 数週間後、ソディアからは良い話がもたらされた。


 虐げられていた友人は親元からそれとなく引き離され、自由な生活を送っているという。


 真正面から力を行使するだけでは解決しない事もあるのだと、マルスは学んだ。


 これは未来の破滅に直接つながる事柄ではないが、変えられてよかったとサークルはいう。


 本来の未来では、詳しい情報は表にでないもののソディアの友人は家の中で命を落としていたからだ。




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