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第十一話


 一ヶ月後、僕はついに生まれ育った草原を旅立つ日を迎えた。今日まで出発が長引いてしまったのは、僕自身の怪我の具合と神の使いについて詳しく教えて貰っていたからだ。

 逗留していた場所は、僕が毎日夕日を眺めていた草原の一本木の近く。部族の者が来ることもないし、水場が遠過ぎることもなく、草原に慣れていない人が逗留場所を見失わないという3つの利点からここが選ばれた。

 “道・方向の力”を持つ道埜だけなら、別の拓けた場所でもよかったが、道標がないと時埜はフラフラとどこかへ行ってしまうそうだ。

 あれだけ盛大な旅立ちの儀をしたというのに、まだ部族の近くにいるなんて、と羞恥の気持ちもあったが、両肩の傷があまりにも痛かったとと、旅立ちの儀で少し傷跡が広がったこともあり、下手に動くことができなかった。

 その間、説明が下手な時埜に変わり、道埜が色々と補足説明をしてくれた。

 僕の身体は神の使いに選ばれたことによって不老にはなったが、不死ではないため怪我や病気は普通にするし、頭を破壊されたり心臓を破られれば死ぬこともあるそうだ。

 時埜の先代も落ちてきた瓦礫の下敷きによって死亡したため、時埜はとても幼いときに神の使いになることを余儀なくされたこと。幼い頃に力を継承されているのに何故、不老である彼が青年に成長しているのかと問えば、時埜の力が時間を使うものだから、らしい。

 また、旅立ちの儀で起こった不思議現象は、道埜が僕が迷いながら戦っていることに気付き、迷いを晴らすために”道・方向の力”を使ってくれたと教えてくれた。

 助けてくれたことにお礼を言おうとしたが、道埜は僕のことを気にすることなく、僕の言葉に自分の言葉を重ねて話を進めてしまいお礼は流されてしまった。

 助けてくれたことや説明はありがたいことなのだが、もう少し空気を読んで欲しいとつい思ってしまった。




 話しの続きを聞いていると、”天空と大地の力”を持つ先代はまだ存命のため、力を引き継ぐまでの間は時埜と道埜が僕をサポートをするため一緒に旅をしてくれるという。


(つまり、力を受け継いだ後は一人で使命を果たさなければいけないと言うことですね)


 ならば、先代の元へ行くまでの間に、神の使いについて覚えようではないか。

 僕は母と父から最後に贈られた一族の紋様が刻まれたバンダナを額に巻いた。


(さようなら、草原。僕は父なる空と母なる大地のしもべとなります)


 僕は部族が逗留していた方角へ、創造神レティアに最後の祈りを捧げた。短いお祈り後、振り返ると、一本木の向こうに僕を待つ時埜と道埜がいた。


「行こう、天埜」


「はい!」


 僕は二人に駆け寄った。

 部族の族長候補である八雲はこの日、ーー否、狼の群れに食い殺されて死んだ。



 僕は、”天空と大地の力”を持つ神の使いが一人ーー名を『天埜 陸孫』。

 


 僕の長い旅はここから始まった。



  


これにて天埜の物語は一旦幕を下ろします。

いつか、彼や時埜、道埜の旅を綴れたらなぁと思っております。

後ここまで読んで下さり、本当にありがとうございました!

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