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スキル【万能温泉】で、もふもふ聖獣達と始める異世界辺境村おこし。  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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最終話 楽しみな毎日


「……ふむ、それでは領主殿を信用して、まずはひとり部位を欠損してしまった者を連れて来てもらうとしよう。その際は口の堅い者を優先してもらい、必要があればしばらくこの村に滞在してもらうということでよろしいかな?」


『ええ、妥当なところじゃないかしら』


『うむ。我もそれでよいと思うぞ』


 しばらくの間みんなと相談をして、そういう結論になった。


「うん、僕も大丈夫だよ。わがままを言ってごめんね」


「ソラが気にする必要はねえぜ。みんなもそういうことはしたくねえからな」


 領主様へそう伝える前に一度魔物で試してみるという案も出てきたんだけれど、僕が止めてもらった。もちろんみんなが僕のことを心配してそう言ってくれるのはわかっているんだけれど、万能温泉の効果を確かめるために実験をするのは嫌だった。


 結局魔物の肉を食べている僕が言うことではないかもしれないけれど、それでも生きている魔物でそういう実験はしたくない。アリオさんの言う通り、きっとみんなも同じ気持ちだったんだけれど、僕の秘密を守るためにそう言ってくれた。


 長老さんは領主様の恩人でもあったし、エルフの里のみんなの力も知っているから、領主様を信じてみることになった。この世界ではそういった大きな怪我を治すことができないのは常識みたいだけれど、もしも温泉でそんな怪我を治すことができたらいいんだけれどなあ。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「承知しました。そうしましたら、ひとり心当たりのある者がいます」


 翌日、村長さんの家にまた集まって、領主様に昨日みんなで相談したことを話した。


「正直に申し上げますと、昨日この提案をしたのは彼のことが真っ先に頭に浮かんだためです」


「ふむ。そうなると相応の実力者か実績がある者ということであるな?」


「はい。その者は冒険者でありますが、数年前に魔物との戦闘によって腕を失ってしまい冒険者を引退しています。街や民に多大な貢献を与えてくれた者でありまして、私としてもなんとか彼に報いたいとも思っておりました。口の堅さについても問題ないと思いますが、念のため腕を治せるかもしれないことは伝えずに傷跡の療養という名目で彼を招待しようと思っております」


 冒険者――前に街へ行った時に聞いた話だけれど、この世界には冒険者というお仕事があるみたいだ。魔物を狩ったり、お薬に使う素材を集めたり、お店の臨時店員をしたりいろんな作業をするお仕事みたいだ。


「ええ、それがいいでしょう。期待を持たせてがっかりさせるよりも、純粋に温泉を楽しんでもらう気持ちのほうがいいかもしれませんね」


「エルダ殿の言う通りであるな。無断で実験のような扱いをしてしまうのは申し訳ないが、温泉やこの村の料理だけでも十分にここまで来る価値があることは私も十分に保証できる」


「うむ、そちらの方がよいであろう」


 領主様たちと話をして、次に領主様たちが来る時にはその冒険者の人を連れてくることになった。その腕が治るといいんだけれどなあ。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「それではお世話になりました。また2週間後にお邪魔させていただきます」


 昨日は領主様たちもアゲク村でゆっくりと過ごして、今日の朝にまた街へ帰っていく。


 今度来る時は今日馬車で持っていくこの村で収穫した野菜の代わりに金属や布などのこの村では手に入らない物を持ってきてくれる。それに昨日話していた大怪我をしている冒険者の人を連れてくるみたいだ。


「ソラ様、クロウちゃん、シロガネちゃん、また参りますね!」


「うん。またね、フィオナちゃん!」


「ワオン」


「ピィ」


 昨日はフィオナちゃんと一緒に村の野菜を収穫したり、クロウとシロガネと一緒に遊んだりした。一緒に野菜を収穫している時に護衛のミローネさんはあんまりいい顔はしていなかったけれど、フィオナちゃんは楽しそうにしていたなあ。


 僕もフィオナちゃんがこの村に来てくれると嬉しいから、領主様と一緒に来てくれるのはすごく楽しみだ。




『領主たちは戻っていったようだな』


「みんなまた来てほしいよね」


『ふふっ、あの女の子はとっても可愛らしかったから、ソラも楽しみなのね』


「ま、まあそうかな!」


 みんなを見送ったあとにクロウとシロガネと一緒にのんびりと過ごしている。


『それにしてもあの小さき村がよくここまで大きくなったものだな』


『ええ、それに関わる人も本当に増えたわ』


「うん、本当だね」


 僕たちがこの村に来た時から広い畑ができて村の周りには大きな壁ができて、今ではどんどん村が大きくなっている。


 僕がこの世界に来てからクロウとシロガネと出会って、村のみんな、セリシアさんやエルフの里のみんな、領主様たちに出会ってたくさんの人たちと関わることになった。この世界にやって来てから最初は僕ひとりで何もなかったけれど、今ではみんながいてくれて、おいしいご飯を食べることができて毎日温泉に入ることができている。


「クロウ、シロガネ、明日も楽しみだね」


『ああ、ソラと出会ってから毎日が楽しみであるな』


『ええ。本当に毎日が楽しみね』


 僕は病気で死んでしまったけれど、今はこの世界のこの村でみんなと一緒に生きていくことができて本当に幸せだ。いつも予想していなかったことが起きて毎日が楽しい。また新しい人がこの村へやってくるみたいだし、エルフの里のみんなも交代でこの村へ滞在することになって、ますますいろんなことが起こるかもしれない。


 どんなことが起こってもみんながいてくれれば大丈夫だ。これまでみたいにみんなと一緒に乗り越えるてみせる。



 ここまでこの作品を読んでいただきましてありがとうございます。


 まだ先がある内容ですが、こちらの物語は一旦ここまでとなります。


 最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございましたm(_ _)m


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