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スキル【万能温泉】で、もふもふ聖獣達と始める異世界辺境村おこし。  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第84話 協力


「お元気そうで何よりです」


「皆様も遠いところをお疲れさまでした。どうぞごゆっくりお過ごしください」


 エルフの里のみんながやって来て、まずはお互い挨拶をしてから順番で温泉に入ってもらっている。


 まだ時間は早いけれど、疲れも取れる温泉に入って体力を回復してもらった。


「ふう~本当にソラ殿の温泉はすばらしいのう」


 順番に温泉へ入ってもらってから、いつも通り村長さんの家に集まっている。


「喜んでもらえてよかった~。あれっ、今日ミリアルさんはいないのかな?」


「ミリアルは前回このアゲク村に来ておったからのう。この村に来たい者は多いから、順番にお邪魔させてもらっておる」


「そうなんだ」


 そういえば長老さん以外はミリアルさん以外も前回この村に来た人たちじゃないみたいだ。エルフの里で生活している人はいっぱいいるから順番らしい。


「クロウ様、シロガネ様、皆様も相変わらず元気そうですね」


『うむ。そちらも息災なようであるな』


『ええ、元気そうね』


「セリシアも元気でなによりだ」


「……長老、実は相談したいことがあります!」


「ふむ?」


 挨拶をしている最中だけれど、早速この前の領主様のことを長老さんたちに相談した。




「……ふむ、なるほど。この短い間にいろいろとあったのじゃな」


「私が余計なことをしたばかりに、この村の皆さんに迷惑をかけてしまいました……」


「儂らは迷惑などとは思ってはおらぬよ。セリシア殿のおかげで幼子の命が助かったのだから、とても良いことだ」


 僕やみんなも村長さんと一緒の気持ちだ。フィオナちゃんの毒はセリシアさんが助けてあげなかったら治せなかったって領主様も言っていた。


「うむ、それについてはよくやったぞ、セリシア」


「は、はい!」


 よかった。長老さんもセリシアさんを責めるつもりはないみたいだ。


「もしかするとこの地域の領主と争いとなる可能性があるわけか」


「領主様の悪い噂はあまり聞かないので、大丈夫だとは思うのですが、万一何かあった時に備えようと思いましてな」


『最悪の場合は我らとソラがこの土地を離れることになる』


『できればそれは避けたいわね』


「うん、僕もこの村にいたいなあ……」


 村のみんなといろいろと相談をした結果、もしもの時はこの村を離れることになってしまいそうだ。温泉が突然枯れたと伝えても、村の誰かに詰め寄られてしまうかもしれない。僕の秘密がバレてしまった場合、僕たちがこの村にいた方がみんなに迷惑をかけてしまう。


 元々この村は豊かな土地じゃなかったし、万能温泉がなければこの村を攻めてくる理由がなくなるからね。


「ふむ、それはなんとかしたいところであるな。儂らとしてもソラ殿やアゲク村とはこの関係を続けていきたいからのう」


「長老、ソラくんたちは里の恩人です。里の者全員で協力しましょう!」


「そうね。里にいるみんなも同じ気持ちだと思うわ!」


「ああ、もちろんじゃ。じゃが、もしかするともっと簡単に話はすむかもしれぬ」


「本当ですか! さすが長老です」


「セリシア、落ち着くがよい。まだ話がすむと決まったわけではないぞ。ソラ殿の万能温泉の効力が短いことについては儂に考えがある。そして領主の者がこの村に何かをしてきた場合についてじゃが……。エルダ殿、先ほど聞いた今の領主の名はルーデンベルク=ハルグと言っておったか?」


「ええ、そうです」


 長老さんが腕を組んで考え込んでいる。領主様の名前になにか関係があるのかな?


「ふ~む……おそらくそうじゃと思うのじゃが。なにぶんあれからどれくらい時が経ったのか、あの者たちがそれを覚えているのか怪しいところじゃから確実にとは言えぬ」


「もしかして長老は領主様をご存知なのですか!?」


 確かにセリシアさんの言う通り、今の長老さんの話だと領主様を知っているように聞こえた。


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