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スキル【万能温泉】で、もふもふ聖獣達と始める異世界辺境村おこし。  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第60話 温泉の効果


「ソラくん、おはようございます! 見てください、ソラくんのおかげで聖天の樹が!」


「わわっ」


 おうちから出ると、そこにはエルフの里の人が集まっていた。そしてセリシアさんがこちらに来て僕を抱きしめてくる。


「おはよう、セリシアさん。僕はここからだとあんまり見えないけれど、効果があったみたいだね」


「はい! これまで里の者が何をしても戻すことができなかったのに……。本当にソラくんのおかげです、ありがとうございます!」


 セリシアさんの僕を抱きしめる力が強くなった。やっぱりあの樹はそれくらい大切な樹なんだなあ。


「ソラくんのおかげで聖天の樹が元の姿に戻ってまいりました。どうか、そのお力をもう少しだけ我々にお貸しください!」


「「「お願いします!」」」


「うん、もちろんだよ」




「うわあ~朝ごはんもとってもおいしい!」


『本当ね。このジャムが甘くてとってもおいしいわ』


『ふむ、こちらの卵もうまいものだな』


 場所を移して長老さんのおうちで朝食をいただいている。


 今日の朝ご飯は真っ白なパンにジャム、サラダ、目玉焼き、ベーコンといった献立だ。


「この里の中で小麦や野菜などを育てているのですよ。それにしても、この野菜の味は普通の物よりおいしくなっておりますな」


「これがソラくんの温泉の力ですよ。昨日畑の一部の作物にお湯をかけただけで、これほどおいしく育ったのです」


 野菜は温泉のおかげでいつもよりおいしくなっているらしい。


 それを別にしてもこのパンやジャムはとてもおいしい。ジャムは昨日食べたルミエオレンの味がした。


「この目玉焼きはすっごく大きいね」


「これはクルックスという魔物の卵で、村で飼育しているのですよ」


 目玉焼きは元の世界で食べた目玉焼きの倍以上に大きい。ニワトリさんに似たような魔物がいるのかもしれない。


 アゲク村でも似たようなことができればいいなあ。


 朝食をいただきながら、僕がまだ寝ている間に他のみんなが調べてくれた聖天の樹の詳しい状況を教えてもらう。


「瘴気の影響を受けて変色していた聖天の樹の上部が本来の色に戻ってまいりました。間違いなくソラくんのおかげです。ただ、まだ完全に戻ってはいないので、引き続きソラくんのお力をお貸しください」


「うん、もちろんだよ」


 詳しい話を聞いたところ、聖天の樹の変色した部分は下の方から本来の緑色に戻ってきているみたいだ。単純に昨日から色が戻った割合的に考えると、明日か明後日くらいには完全に元の色に戻りそうだ。あんまり長くならなそうで本当によかった。


 僕にはわからないけれど、魔力的なものも色と同じくらい回復してきているらしい。


 そして他の作物のように一気に成長するなんてことはないみたいだ。さすがにないとは思っていたけれど、あのまま聖天の樹が倍以上に成長したらどうしようかとちょっとだけ思っていた。


「今日も昨日と同じように地面と葉に温泉のお湯をかけておきましょう。お湯をかける回数や量などは関係ないのですよね」


「回数は関係なくて、一定量以上かけても効果は変わらなかったね」


 以前にアゲク村で万能温泉の力をいろいろと検証してみた。回数や量を変えて作物にお湯をかけてみたけれど、かけた回数は一日に一回かければそれ以上の効果はなく、量は少しだけだとその分しか効果がないけれど、かければかけるだけ効果が上がるなんてことはなかった。


「なるほどのう。それではソラくんのお力を貸してもらいます。他にも温泉に入ったり、いろいろと検証をさせていただいてもよいかな?」


「うん。このまま同じ場所に置いておくね」


 万能温泉は昨日と同じ場所に設置をしたままにしている。普通に温泉として入っても気持ちが良いし、魔法とは違う力でいろいろと確認したいこともあるみたいだ。


 お湯は勝手に満たされていくし、自動で綺麗になっていくからそのまま出しっぱなしにしている。


「ありがとうございます。ご飯を食べ終わったら里の中を案内しますね」


「うん。楽しみだなあ~」


『ふむ、我も楽しみだ』


『綺麗な里らしいから楽しみね』




「ミリアルさん、今日はよろしくお願いします」


 ご飯を食べたあとはセリシアさんとミリアルさんにクロウとシロガネと一緒にこの里を案内してもらうことになった。


「ああ、任せてくれ。ソラくんやクロウ様とシロガネ様にも楽しんでもらえるよう頑張ります!」


 ミリアルさんはまずはこの里の畑に案内してくれた。


「うわあ、とっても広いね! アゲク村の何倍もあるよ!」


 案内してもらったエルフの里の畑はものすごく広くて、一番先が見えないくらいだ。アゲク村の畑の何倍、もしかすると何十倍もあるかもしれない。


 それにいろんな種類の野菜が植えられていて、見たことがない種類もいっぱいあった。


「この里には大きな魔物が入ってこられないのと、小動物などは魔道具によって近寄らせないので、作物はのびのびと育ってくれますからね」


「へえ~。でもこんなに畑が大きいと収穫が大変じゃないのかな?」


 僕もアゲク村の畑を手伝ったから分かるけれど、野菜の収穫はとても大変だ。アゲク村よりも住人が多いこのエルフの里だけれど、これだけ畑が広いと収穫がとても大変そうだ。


「そこは魔法があるからな。ちょっと見ていてくれ」


 そう言うとミリアルさんは目の前の畑の前に立ち、右手を前に突き出した。


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