表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキル【万能温泉】で、もふもふ聖獣達と始める異世界辺境村おこし。  作者: タジリユウ@6作品書籍化


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/93

第57話 万能温泉の力


「ま、まさかこんな幼子があの瘴気を!?」


「そんなことがありえるのか!?」


 村長さん以外の周りにいた人たちもすごく驚いている。


 ここに来るまでにみんなと相談をして、エルフの里の人たちには僕が迷い人であることと、万能温泉というスキルが使えることを話すことに決めた。秘密にしておいた方が僕の身が安全ということはわかっているけれど、もしかするとしばらくエルフの里へ滞在することになるかもしれないし、協力をしてもらわないといけなくなるかもしれないからね。


 それにエルフという種族は高潔な種族でかつ、この里にいる人は滅多に里の外に出ることはないから、僕の秘密がバレることはほとんどないらしい。


「ソラくん、力を見せてもらってもよろしいですか?」


「うん!」


 いろいろと説明するよりも早速見てもらった方が早そうだ。


 一応家の中にも温泉を出すことができそうだけれど、この家は木の上に建てられている。ここで万能温泉を出すと床が抜けてしまうかもしれないから、念のため村長さんの家を出て、下にまで降りてきた。


「いくよ、『万能温泉』!」


「おおっ、何もなかった場所に突然お湯が!?」


「なっ、なんじゃこれは!? 魔力を一切感じぬ! 魔法ではないのか!?」


 いきなり地面へ現れた温泉にみんな驚いている。


 セリシアさんも言っていたけれど、エルフの里の人も万能温泉の力が魔法じゃないとわかるみたいだ。


「ありがとうございます、ソラくん。長老、みなさん、見ていてください」


 そう言いながらセリシアさんは持っていた小型のナイフで自分の指を切った。


 セリシアさんの指先から赤い血が滴り落ちる。一瞬びっくりしたけれど、万能温泉の力をわかりやすくみんなに見せるためだと気付いた。


「おおっ、傷が塞がったぞ!?」


「むむっ、相変わらず魔力はまったく感じないぞ!」


 セリシアさんが万能温泉のお湯に傷口をつけると、すぐに傷口が塞がっていく。


「ふむ、これは不思議な力じゃ……。迷い人に出会ったのは初めてじゃが、特別な力を持っているという話は本当であったか」


 長老さんも驚きながら座り込んで温泉のお湯をじっくり見ている。


「ソラくんのこの温泉は傷を癒すだけでなく、強力な呪いなどを解き、穢れなどを浄化することもできるそうです。もしかするとですが、聖天の樹の瘴気も浄化することができるかもしれません」


「長老、これはもしかすると……」


「うむ。ソラくん、先ほどは大変失礼をいたしました。どうか我々にそのお力を貸していただけないでしょうか?」


「どうか、お願いいたします!」


「うん、もちろんだよ」


 長老さんが先ほどクロウとシロガネに対してしていたように、僕に向かって片膝を突いて跪く。他のエルフのみんなも長老さんと同じようにする。


 失礼なことなんてされていないと思うけれど、もしかするとさっきクロウとシロガネにだけ挨拶したことかな? 全然気にしていないのに。




「うわあ~おっきいね!」


 場所を移動して、みんなで聖天の樹の真下までやってきた。


 遠くから見ても本当に大きかったけれど、間近で見るとなおさら大きい。何十メートル以上もある太い幹と、上に至ってはどれだけ高いのかまったくわからないくらいだ。


 元の世界だとこんな大きな木なんてないだろうなあ。


「この聖天の樹は儂がこの村に生まれた頃からあったものなのじゃ」


「へえ~本当にすごいね!」


 セリシアさんよりも長生きしている長老さんが生まれた頃からあるということはいったいどれくらい前からあったのかな?


「ここからでは見えにくいですが、上の部分が瘴気によって茶色くなっています」


 樹が大きすぎて上の方までは見えないけれど、さっき遠くから見た感じだと、上の部分の葉っぱが緑色から茶色に変色していた。あれが瘴気の影響みたいだ。


「村の作物と同じで地面に温泉のお湯をかけてみようかな?」


『うむ、それがよいだろう』


『あとは変色した葉の部分にもかけてみましょうか』


 もちろんこんな大きな木を温泉に入れることなんてできやしないので、作物と同じように地面の方へ万能温泉のお湯をかけてみる。少しだけ聖天の樹が一気に成長するかもと思ったけれど、話を聞いたら聖天の樹がこれ以上伸びる可能性は低いみたいだ。


 シロガネの言う通り、直接葉っぱにも温泉のお湯をかけておこう。


 みんなで手分けをして大きな聖天の樹の根っこの部分に万能温泉のお湯をかけていく。ものすごく太いから大変だけれど、長老さんたちだけでなく、エルフの里にいる他のみんなも手伝ってくれた。




『ふむ、これくらいで大丈夫であろう』


『上の方は私に任せておいて』


「シロガネ様、私も手伝います」


「ありがとう、ミリアル」


 みんなで手分けをして、地面の方は終わった。


 上の方の葉っぱは僕たちだと全然届かないのでシロガネが空を飛んで温泉のお湯をかけてくれる。


「すごい、ミリアルさんは空を飛べるんだね!」


「空を飛んでいるわけではないのですが、風魔法で足場を作っています。ミリアルはああいったことが得意なんですよ」


 ミリアルさんだけでなく、他のエルフの人も何人かが空に浮かんでいる。魔法って本当にすごいなあ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ