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スキル【万能温泉】で、もふもふ聖獣達と始める異世界辺境村おこし。  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第45話 コショウの実

「本当に黒くなっちゃったね」


『それに水分がなくなって皮がふやけて固くなったようだ』


『あとはこれを砕けばいいのね』


 早速緑色の状態で収穫したコショウの実の一部をクロウが魔法で乾燥してくれると、緑色だったコショウはだんだんと黒くなっていき、表面の皮はしわしわになっていった。


 シロガネの言う通り、この黒い実をすり鉢ですりつぶして野菜やお肉にかけて食べるらしい。


「あの温泉のお湯があるとはいえ、赤い実に育つまでにはもう少し時間がかかりそうですね。あとは実を収穫したコショウが再び実を成すのかも気になるところです」


「何回も収穫できたら嬉しいよね!」


 今回コショウの実は畑にある分の半分を収穫した。残りは実がもっと熟して赤くなったら収穫してから表面の皮を剥いて乾燥させて白いコショウにする。


 本来ならコショウの実は麦のように一度収穫したらそれで終わりという訳じゃなくて、そこから毎年実をつけるらしいけれど、万能温泉のお湯をかけて普通よりも早く成長させたこのコショウが再び実をつけるかはまだわからない。


 とりあえず、このコショウの実が成長したのと同じくらいの期間以上は様子を見るつもりだ。もしも何回も実をつけてくれるのならとても助かる。




「おおっ、これはうまいですな! 味付けが塩だけよりも味が深くなり、強い芳香に加えてピリッとした辛味と刺激がたまりません!」


「こりゃうめえじゃねえか! こっちのスープもコショウの香りがたまらねえな!」


「それに味が濃くなったから、パンともよく合うわね!」


 晩ご飯はお肉と野菜を炒めたものに塩とコショウをかけたもの、魔物の骨を使った出汁で野菜を茹でて塩コショウをかけたスープにパンだった。


 村長さんや村の人はいつも以上においしそうに晩ご飯を食べている。


「うん。いつものご飯もおいしいけれど、今日のご飯もおいしいね!」


『そうね、ずっと同じ味だと飽きてしまうわ。このコショウを使った料理は新鮮に感じるわね』


 焼いたお肉やスープは塩だけよりもコショウがあった方がおいしく感じる。街から戻ってきて新しい種類の野菜も成長してきたし、だんだんと日々の食卓が豊かになってきた。


 それに今では焼き立てのパンを食べることができる。最初にこの村へ来た時よりもいろいろと豊かになってきたのかもしれない。


「皆さん、セリシアさんから教えてもらった今日の特別料理です。味見をしましたけれど、本当においしかったですよ!」


 エマさんが持ってきてくれたお皿の上には厚さが1センチくらいで10センチメートルくらいの丸い料理がいっぱいに積まれていた。


「ありがとう、エマさん。いただきます! ……うん、甘くてとってもおいしい!」


『ほう、これはなかなかの味であるな!』


 その丸い料理を手で取って口元に運ぶ。サクッとした歯ごたえで、この世界に来てからまったく味わうことのできなかった甘い味が口の中に広がった。


「小麦粉にサヴィードの樹液を加えてこねたものを焼いた料理です。料理というよりも軽く食べるお菓子といった方がよいかもしれませんね」


 うん、元の世界のクッキーみたいな味だ。お昼にサヴィードの樹液を少しだけなめさせてもらったけれど、ハチミツみたいにトロッとしていて、本当に甘かった。


 あの樹液を煮詰めて乾かしたものが砂糖になるらしいけれど、樹液をそのまま生地に加えるとこんな味になるんだね。


「本当は卵やバターなどがあればさらにおいしくなると思います。とはいえ、元々の小麦粉とこのサヴィードの樹液がとてもおいしいので、十分にこのままでもおいしいですね」


「甘くてとってもおいしいね!」


「俺、こんなに甘いものを食べたのは初めてだ!」


 ローナちゃんや村のみんなもすっごく驚いている。


 僕も甘いものを食べるのは本当に久しぶりだ。本当においしいなあ。


『……これはおいしいわ。魔物の乳と卵があればもっとおいしくなるのね、今度探してこようかしら』


 シロガネはとってもおいしそうにこの料理を食べている。よっぽど気に入ったのかな。


 コショウとサヴィードの樹液や砂糖みたいな香辛料や調味料が増えると本当に料理にも幅が増えるらしい。それにどちらも街に持っていけば売れるらしいから、一部を売ってまた新しい作物や調味料に使えそうな植物を手に入れてもいいかもね。


 もう少ししたらコショウの実も赤く成長して白コショウもできるらしいからそっちも楽しみだ。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


『ふむ、黒コショウよりも優しくまろやかな味であるな。いろいろと使い分けられそうだ』


『ええ。それにしても同じ実から色も味も異なるコショウができるなんて面白いわね』


「本当だね!」


 黒コショウとサヴィードの樹液を収穫することができた次の日、夕方頃になってコショウの実が赤く成熟したので、それらを収穫して先に一部だけを白コショウにした。


 赤くなったコショウの実を少し水に漬けると皮を剥きやすくなるらしい。皮を剥き終わったら、魔法で乾燥をさせて、それを細かく砕いたら白コショウの完成だ。


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