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スキル【万能温泉】で、もふもふ聖獣達と始める異世界辺境村おこし。  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第44話 いろいろな収穫

「……すごいですね、乳やバターなどを加えたわけではないのにこれほどおいしいパンが焼き上がるとは驚きました。やはりこれもあの温泉の力でしょうか」


 セリシアさんも焼き立てのパンを食べて驚いている。


「乳やバターを入れた方がおいしくなるんだね」


「ええ。少し味が柔らかくてまろやかになりますよ。ですがそれがなくても、このパンはとてもおいしいです。焼き立てであることを除いても、十分に街のパン屋さんで販売している味以上であることは保証します」


「ふむ、いろんな街を旅してきたセリシア殿がそう言ってくれるのは嬉しいのう」


 やっぱり万能温泉のお湯を毎日作物にかけるのは効果があるみたいだ。広くなった畑へ毎日お湯をかけていくのは少し手間がかかるかもしれないけれど、その分効果はとってもすごいよね。


「昔作った窯だが、パンを焼くとしたらもっと大きな方がいいな。村長、新しい窯を作ってもいいだろうか?」


「うむ、もちろんじゃ。さすがにこの窯ではこれだけの人数分のパンを焼くのは難しいからのう」


 確かに1回で焼いたパンの量だと村の人全員の分までは足りないみたいだ。今も半分に割ったパンでは足りなくて、第二陣のパンを焼けるのを待っている。


「温泉のお湯のおかげで麦はすぐに成長するし、毎日パンを食べることができるなんて最高だな!」


「本当にありがたいわね!」


 みんな焼き立てのパンを食べることができてとても嬉しそうにしている。僕もパンを食べることができるようになって嬉しい。


 ……でも、これだけ長い間ご飯を食べていないとご飯が食べたくなってきちゃうなあ。街へ行った時に市場を見たり村長さんに聞いてみたけれど、お米は売っていなかった。


 クロウとシロガネもお米は知らないらしいし、どこかにお米があればいいんだけれど。久しぶりにパンを食べたからご飯を食べたくなっちゃうなんて、それもちょっとおかしいかな。


『ふむ、魔物の乳や卵があればこのパンはもっとうまくなるのか』


『そうね、この村で牧畜や酪農をするのなら、そういった魔物を見つけてこようかしら』


「私もお手伝いします!」


 この村で牛さんやニワトリさんみたいな魔物を飼うことができると、牛乳や卵なんかが手に入るのかあ。牛乳は好きだったから、もしもあったら嬉しいな。


 今は麦を脱穀したりする作業もいっぱい残っているし、他の新しい作物も育ち始めてきたから、それがもう少し進んでからになりそうかも。まだまだ新しいことがあって、とっても楽しみだ!






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 麦をいっぱい収穫することができて、村でパンを食べられるようになった。


 今はパンを焼くためのもっと大きな窯をグラルドさんが中心となって作っているところだ。今ある小さな窯でも何回も焼けば村のみんなが食べる分のパンを焼くことができるから、毎日たくさんのパンを村で焼くことになった。


 そして麦だけでなく、他の植えていた作物もいろいろと収穫できるようになってきた。


「ほお~こいつがコショウになるのか」


「ちっちゃくて可愛いね!」


 畑に差した棒へ絡まりながら伸びている緑色の1メートルくらいの植物からは緑色のとても小さな粒々が房みたいになってぶら下がっている。これは街で購入してきたコショウだ。


「ミア殿から教えてもらった育て方によると、この実が今の緑色の状態で収穫し、乾燥させて砕くと黒いコショウとなるらしい。そしてさらに成長すると赤い実になり、その赤い皮を剥いてから乾燥させて砕くと白いコショウになるらしいのう」


「コショウって2種類もあるんだ!?」


「他の種類もありますが、主に使われているのはその2種類ですね。微妙に風味が異なるのですよ」


 隣にいたセリシアさんが教えてくれた。コショウにそんな種類があるなんて知らなかったなあ。


「……本来ならばコショウが成長して実を成すにはかなりの時間や気候などの条件が必要となるのですが、これもあの温泉の力なのでしょうね」




「うわあ~サヴィードの方は高く伸びたね!」


『毎日すくすくと育っていくのを見るのは面白かったわね』


 サヴィードの方は添え木なんかは必要なく、今ではものすごく高い木にぐんぐんと成長した。高さはすごくあるけれど、木の幹はそこまで太くないみたいだ。


「この木の樹液はとても甘く、集めた樹液を煮詰めて乾燥させることによって砂糖ができるようですな」


『ならば今日からは温泉の湯をかけるのは止めておいた方がよさそうであるな。樹液を取り出す時に傷付けた箇所がすぐに塞がってしまうかもしれないし、これ以上伸びたら届かなくなってしまいそうだ』


「なるほど、さすがクロウ師匠ですね!」


「ええ、そのようにしましょう」


 そうか、樹液を取っている間はあんまり成長をさせちゃ駄目なのか。温泉のお湯をかける時はいろいろと考えなくちゃいけないことも多いのかもしれない。


 樹液を集める方法はシンプルで、サヴィードの木の幹に斜め方向へ穴をあけると勝手にそこから樹液が出てくる。その穴にグラルドさんが作ってくれた樹液を採取する管のような道具を入れて一か所に集めていく。


 樹液をいっぱい採取した後のサヴィードの木は材木や燃料用の木としても使えるらしいからとっても便利だ。


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