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スキル【万能温泉】で、もふもふ聖獣達と始める異世界辺境村おこし。  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第41話 これからのこと

「やっぱり大きなおうちはいいね」


『うむ、随分と快適となったものだな』


『前までは寝返りするのも少し怖かったものね』


 いつも通り晩ご飯を食べて、温泉で疲れを癒したあとは家に帰って クロウとシロガネと横になっている。


 新しいおうちはとても広々としているから、2人ともいつもよりのびのびとしている。


「セリシアさんやグラルドさんの魔法はすごかったなあ。もちろん村のみんなやクロウとシロガネも本当にすごかったよ」


『ふっ、確かにあの者たちの能力や技術もなかなかであったな』


『ええ。こんな立派な家を建てたり、細かな道具を作ったりするのは私たちでは難しいわね』


 身体が大きくてとっても強いクロウやシロガネでも難しいことはあるみたいだ。


「新しいおうちまで作ってくれたし、このアゲク村の人たちは本当に良い人ばかりだね」


『うむ、辺境の地にある村であるゆえかはわからぬが、ここには善人しかおらぬようだ。穏やかに過ごすにはこれ以上快適な場所もないであろう』


『ええ、これまで生活が苦しいながらも必死で生きてきたからでしょうね。他の場所でもここにいる人たちみたいな人ばかりならいいのだけれど』


 ここにいるみんながそれぞれできることをして過ごす毎日はとっても充実感がある。僕にできる範囲の畑仕事や料理やグラルドさんのお手伝いをしていると、本当に一日一日が一瞬で過ぎていくように感じる。


『街で購入してきた作物もいくつかは収穫できているようだし順調であるな』


『そうね。毎日の食卓が豊かになるのは良いことよ』


 麦、コショウ、サヴィードはまだもう少し時間がかかるみたいだけれど、他の野菜は早くも村の食卓に並び始めている。


 元の世界にはなかった野菜を初めて食べたけれど、食べたことがある村の人たちからすると、万能温泉のお湯を最初からかけて育てると、やっぱりおいしさが全然違うらしい。


 育てている種類の野菜が増えて、エマさんたちが作ってくれる日々のご飯がどんどんおいしくなっていく。


「お肉がお腹いっぱい食べられるのは2人のおかげだね!」


 野菜だけでなく、お肉もお腹いっぱい食べることができる。村の壁ができたことと、畑の拡張がある程度終わったこともあって森での狩りも再開した。アリオさんたち村の人たち、セリシアさん、クロウとシロガネが交代で森へ狩りに出かけている。


 村の外に出ていく時は万一の時に備えて、治癒効果のある万能温泉のお湯を携帯することにより、狩りが以前よりも安全になったみたいだ。まあ、クロウとシロガネが一緒にいる時点で安心なんだけれどね。


『もう少ししたらセリシアにもソラのことを話してもいいかもしれないわね』


『そうであるな。彼女の家も建て始めたことだし、それが出来上がった頃には話してもよいと思うぞ』


「うん、そうしようよ!」


 今この村の中ではセリシアさんだけがあの万能温泉が僕の能力によって出されたことを知らない。基本的にはずっとあの場所に固定しているから、それを伝えたところで何かが変わることはないと思うけれど、セリシアさんだけ知らないというのは仲間はずれみたいでちょっと嫌だった。


 今ではセリシアさんも立派なこの村の一員だし、隠し事はない方がいい。


「あとは村のみんなに僕が迷い人であることも一緒に伝えたいかな」


『ふむ、あえて話すようなことではない気もするが、ソラがそうしたいと言うのならそれも良いと思うぞ』


『そうね。少なくともこの村の人やセリシアたちが、ソラが迷い人だから何かするということもないでしょう』


「うん!」


 万能温泉のことはすでに話していたけれど、迷い人であることはクロウとシロガネしか知らない。


 僕が元の世界のことを話したとしても、クロウやシロガネが言っていたようなすごい知識なんかは持っていないからあんまり役に立つことはないと思うけれど、みんなにそのことをずっと秘密にしているのは少しだけ後ろめたかった。


 迷い人であることを話せば僕がみんなに隠していることはもうなくなる。これで僕も本当の意味でこのアゲク村の一員になれる気がする。


 クロウやシロガネたちと相談して、もう少ししてセリシアさんの家ができていろんな作物が成長したタイミングでこのことを打ち明けることになった。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 僕たちの家ができてから5日が経った。


 その間大きな問題は起きず、無事にセリシアさんの家が完成した。今では僕たちの家の隣にセリシアさんが生活できるようになった。僕たちやセリシアさんがお世話になっていた家は倉庫に改造されて、たくさんの収穫した作物を保管している。


「ソラお兄ちゃん、見て見て~!」


「うわあ~大きいね、ローナちゃん」


 ローナちゃんが畑で丸々育って収穫したナスを僕に見せてくれた。野菜の収穫は子供の僕やローナちゃんでも手伝えるから積極的に手伝っている。


 ナスだけでなく、いろんな野菜が新しく収穫できるようになった。昨日食べた大根みたいな野菜は瑞々しくてとってもおいしかったなあ。


『ソラ、ローナ。あっちで麦の収穫が始まったわよ』


「本当!」


「ローナも行く!」


 いよいよ村の畑で育てていた麦の収穫が始まるみたいだ。


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