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スキル【万能温泉】で、もふもふ聖獣達と始める異世界辺境村おこし。  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第29話 特別な作物


「おお、これはコショウの苗か。なるほど、もしかするとコショウを育てることができるかもしれんのう」


「コショウ?」


 コショウっていうと、あの黒くてピリッとした香辛料のことかな?


「コショウが成長すると小さな実がたくさん実る。そいつを乾燥させて砕くといい風味と味のする香辛料になるんだが、なにせ収穫までかなりの時間がかかるんだ。だけど、あの温泉ってやつがあれば、簡単に育てることができるかもしれねえ」


「なるほど!」


 やっぱり元の世界にあったコショウみたいだ。


 万能温泉のお湯があれば、収穫に時間がかかる作物も早く収穫することができる。


 今のアゲク村だと調味料は塩しかないから、別の調味料が増えるのはとても助かるよね。


「うむ。少し高価であるが、購入していくとしよう」


 いろいろな野菜、小麦、コショウ。たくさんの種や苗をかごに入れて、レジの方へ持っていく。


「おや、アゲク村の村長さんではないですか。こんなにたくさんお買い上げありがとうございます」


 女性の店員さんは村長さんのことを知っているみたいだ。


「あら、可愛らしい子供とワンちゃんとトリさんがいるのね」


「ソラです、はじめまして。こっちはクロウとシロガネです」


「ワォン」


「ピィ」


「わあ~とっても賢い男の子ね。それにこっちの子たちも可愛らしいわ! はじめまして、ミアよ。このお店の店長をしているわ」


「ミア殿にはいろいろと世話になっていてのう。あの村で育てた作物の大半は最初この店で購入したものなのじゃ」


「へえ~」


 あの作物はこの店で購入したものらしい。そういえばアリオさんはあそこではあまり作物が育たないって言っていたから、何度か種や苗を買いに来ていたのかも。


「……こっちのクロウくんはとっても可愛らしいわね。ソラくん、少しだけクロウくんの頭を撫でてもいいかな?」


「クロウ、触っても大丈夫かな?」


「ワォン!」


 ミアさんはクロウに触りたいみたいだ。クロウに聞いてみると、頷いてくれた。


「大丈夫だって」


「あらあら、とっても賢いのね。それじゃあちょっとだけ……はあ~柔らかくてもふもふしていて本当に癒されるわあ~」


 ミアさんは優しくクロウの頭を撫でて、なんだかとても幸せそうな顔をしている。クロウも少しだけ気持ちが良さそうだ。


「それにしても今回は子供や魔物の子供が一緒なんて初めてね。新しい種や苗をいっぱい買ってくれるみたいだし、あの村を大きくするのかな?」


「……まあそんなところじゃな」


「なるほどね。あの場所にある村を大きくするのはなかなか険しい道だと思うけれど応援していますよ」


 やっぱりアゲク村は厳しい土地にあるみたいだ。だけどミアさんみたいに応援してくれる人もいるみたいだし頑張ろう!


「……もしかしてあれも売れそうかな。そんな村長さんたちにとってもいいものがあるよ!」


 突然なにかを思い出したように手を挙げるミアさん。これまで会話をしながらずっと撫でていたクロウからようやく離れて、店の奥へ行ったと思ったら、すぐに何かの黒い種を持ってきた。


 そして僕たちに向かって手招きをして小声で話し始めた。


「実はここだけの話、これはサヴィードという植物の種なんだけれど、なんとこれが成長すると砂糖が採れるんだよ!」


「なにっ、砂糖だと!」


 アリオさんが驚く。というのも、この異世界では砂糖はかなり高価なものらしいんだよね。


 さっき市場で香辛料や調味料を取り扱っているお店ではほんの少しの量なのに金貨1枚で売っていたからそれも納得だ。


「そう、この植物の樹液はとても甘くて、樹液を煮詰めて乾燥させると甘い砂糖ができるんだよ。もしも村で砂糖が採れるようになったら、村の名産になること間違いなし! 商人の人もアゲク村まで足を運んで、村が大きくなること間違いなしだね!」


「うわあ~すごい!」


 ミアさんの言うことが本当なら、アゲク村にも商人さんがいっぱい来てくれるかもしれない。確かに元の世界でもその土地の名物や名産品なんかを求めて旅行に行ったりする人が多いもんね。


「「「………………」」」


 そんなすごい植物の種なのに僕以外の反応はあんまりだった。


「……そんな種があるのなら、店でもっと大々的に売っているであろう?」


「それにこの辺りで砂糖の採れるような植物があるなんて聞いたことがねえな。なにか訳ありなんだろ?」


「も、もちろんちゃんと話すつもりでしたよ!」


 どうやらこのサヴィードという植物にはなにかあるらしい。なるほど、それで店の奥にしまってあったのか。


「実はサヴィードの種はこの辺りの気候だとなぜか全然発芽しないらしいんだ。種が発芽する遠くにある場所で砂糖を作っているから、この辺りに運ぶまでにすごくお金が掛かって高価な値段で販売されているんだよね……」


「なんだ、そういうことかよ」


「だけど、もしもアゲク村でサヴィードを育てることができれば、間違いなく村の特産品になると思うよ。こっちも結構な高値で仕入れてみたんだけれど、どこの村でも全然育たなくてさあ……。くじでも買うと思って試してみてください、お願いします!」


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