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スキル【万能温泉】で、もふもふ聖獣達と始める異世界辺境村おこし。  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第27話 ヤークモの街


「うう~ん……」


 朝目が覚めると、なんだかとてもいい匂いがした。


 僕の周りにはいつも通り、大きくなってすごく柔らかくて気持ちがいいクロウとシロガネがいて、ぐっすりと眠ることができた。


「おう、起きたか、ソラ。ちょうど朝飯ができたところだぞ」


「おはよう、アリオさん、村長さん」


 身体を起こすと、目の前にはテントの前で料理をしているアリオさんがいた。


 昨日僕たちは外で寝て、2人はテントの中で寝ていたんだよね。おっと、村長さんも手伝っているし、僕も手伝わないと。




「うん、おいしい!」


 アリオさんが作ってくれた料理は野菜と干し肉を使ったスープだ。干し肉はこの前村で作っていたワイルドボアのものになる。


 干し肉と野菜を茹でて、そのまま塩で味付けをしているみたいだ。僕が村にいた時は見なかったけれど、アリオさんも料理ができるらしい。


「さすがにクリムゾンベアと比べるとだいぶ落ちるけれどな。まあ、身体が温まるからこれはこれでなかなかいけるか」


「昨日の夜のクリムゾンベアの肉もうまかったのう。もちろんこのスープも十分にうまいわい」


 昨日の晩ご飯は一昨日と同じで、野菜を炒めた料理とクリムゾンベアのお肉だった。村に置いてあるお肉は穴を掘って、そこにシロガネが作ってくれた氷を入れてある。こうすると普通にお肉を保存するよりも長い時間持つらしい。


 僕たちが持ってきているお肉もシロガネが出してくれた氷で冷やして運んでいる。本当に魔法って便利だよね。


『やはりクリムゾンベア並みの肉は定期的に欲しいところであるな。あの辺りではそれほど美味な魔物はほとんどいないから、少し遠くまで獲物を狩りに行っても良いかもしれん』


『そうね、私も少し離れたところに行ってみようかしら』


「……あんまり危険なことはしないでね」


 クロウとシロガネなら温泉のお湯を持っていってもらえれば大丈夫だと思うけれど、それでも万一のことがあるかもしれないからね。




『街が見えてきたわね』


「うわあ~とっても大きな街だね!」


 朝食を食べたあとはテントを片付けて昨日と同じように街を目指す。街からアゲク村までの道はほとんど人が通らないようで、誰もすれ違うことはなかった。魔物は何度か遭遇したけれど、シロガネは空を飛んでいるし、クロウのスピードに追い付ける魔物はいなくて、戦闘もなく道を進んできている。


 そしてついにシロガネに乗せてもらって空を飛んでいる僕たちの目の前に大きな街が見えた。


 下を走っているクロウたちと合流をして、街へ入る準備をする。


『よし、それでは予定通り我らは小さくなって行動するとしよう』


『ええ、了解よ』


 クロウとシロガネは小さくなった姿で、僕と一緒に旅をしているワンちゃんとトリさんとするつもりだ。


 僕みたいな子供が聖獣と一緒にいるはずがないから、たぶんバレないと言っている。村長さんとアリオさんと僕たちで、村から魔物の素材を売って必要な物を購入しに来たという設定だ。




「ふむ、犬と鳥か。街へ入る分には問題ないが、何か問題を起こした場合には飼い主もその責を負う。しっかりと面倒をみるんだぞ、坊主」


「はい。気をつけます!」


「ほう、まだ小さいのにできた子供だな。保護者の者も問題を起こさないように気を付けるように」


「はい、もちろんでございます」


 街へ入るため列に並んで、僕たちの順番が来た。村長さんは何度も街に来ているから、街への通行証があるらしい。


 アリオさんや僕たちは通行証がないから、門の衛兵の人たちからチェックを受けた。特に問題もなく、クロウとシロガネと一緒に街の中に入ることができた。


 街へ入るためにはひとり銀貨1枚を税金として徴収されるらしい。村長さんは通行証があるのと、クロウとシロガネの分は必要なかったから、アリオさんと僕で銀貨2枚を払って街の中に入った。


「うわあ~すっごいね!」


「ワオン!」


「ピィ!」


 街の中に入ると、そこには今までに見たことのない光景が広がっていた。大きな家に2階建ての家、たくさんの人にいろんな種族の人、馬車なんかも通っているし、元の世界とは全然違う。


 本当に物や人に溢れている感じだ。


「すげえだろ、ソラ。この辺りじゃあ一番大きなヤークモの街だ」


「儂らだけでなく、付近の村の者も集まって来ておるからのう」


「うん、びっくりしたよ!」


 こんなにいっぱいの人がいたんだね。それに格好もそれぞれ違うし、さっき街へ入るための列に並んでいる時に聞いた耳や尻尾が生えた獣人という種族もいる。背中から羽が生えた人もいるし、本当にここは僕がいた世界とは違うんだなあ。


「さて、まずは魔物の素材を売りに冒険者ギルドへ行くとしよう」


「うん!」


 この異世界には魔物を倒して、その報酬や素材を買い取ってもらうことで生計を立てている冒険者という職業があるらしい。あんなに大きなクリムゾンベアみたいな魔物と戦うなんてとってもすごいよね!


 大きな剣とか格好いい武器をもっていたりするんだろうなあ。すっごく楽しみだ。


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