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スキル【万能温泉】で、もふもふ聖獣達と始める異世界辺境村おこし。  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第17話 成長促進


「ふあ~あ」


 今日の朝はとても柔らかい黒い毛並みと白銀色の羽毛に包まれた最高の目覚めだった。本当に2人に挟まれて眠ると気持ちが良い。


 でも温泉に入っている時みたいにこのままもうひと眠りしたいという誘惑がすごいんだよね。今日からはこの村に滞在させてもらうお礼に、僕もいろいろとお手伝いをするつもりだから、頑張って起きないと。


『おはよう、ソラ』


『よく寝られたかしら?』


「うん! おはよう、クロウ、シロガネ!」


 僕と一緒にクロウとシロガネも起きたみたいだ。




『むっ、また外が騒がしいようであるな』


『本当ね。なにかあったのかしら?』


「えっ!?」


 昨日とまったく同じだ。


 一応村には夜通し見張りを置いていたのと、強い魔物が近付いてきたらクロウとシロガネにはわかるっていっていたけれど、森で何かあったのかな……


「おお、ソラ! 昨日言っていた()がとんでもないことになっているぞ!」


「えっ!?」


 村の人たちが集まっている方向へ行くと、そこにはアリオさんたちがいた。その視線の先にはこの村の畑がある。


「たった一日でこんなに成長したんだ……」


 そしてその畑の3分の1は昨日よりも遥かに大きく成長していた。


『ほう、これはすごいな』


『怪我を癒して呪いを解除するだけじゃなくて、こんな効果もあるなんて本当にすごいわね』


 畑の様子を見て、クロウとシロガネが驚いている。僕もこんなに効果があるなんて思わなかった。


 実は昨日の夜、村長さんたちに許可を取って万能温泉のお湯をこの村の畑の3分の1にかけてみた。この万能温泉には作物の成長を促進する効果があるんだけれど、まさかたったの1日でここまで成長するなんて……


「育った作物や実の大きさも普通の物よりも遥かに大きいようじゃ。これは驚いたわい」


 村長さんの言う通り、隣の温泉のお湯を掛けていない畑と比べると一目瞭然だ。トマトなんかの野菜は大きくなっていて、地面に埋まっているジャガイモも土がこんもりしている。


 葉っぱも立派に生い茂っているし、ほっそりとしていた茎も太くなっているみたいだ。


「成長のスピードが上がって、植物全体が大きくなっているな。あとは味がどうなっているかだが……」


「あっ、アリオさん! ちょっとずつ試してみないと!」


 アリオさんが真っ赤に実っていたトマトをひとつもぎ取って、それをがぶりと食べてしまった。


 ないとは思うけれど、植物が成長した代償に不味くなっていたり、身体に悪くなっていたりするかも。僕は万能温泉の使い方はわかるけれど、どれくらいの効果で、どんな効果があるのかまではわからない。


「うっ、うめええええ! なんじゃこりゃ! こんなうめえトマトは初めて食ったぜ!」


 僕の心配をよそにアリオさんが驚きの声を上げる。よっぽど衝撃的だったのか、とっても大きな声と反応だった。


「お、俺も。……おおっ、これは昨日まで食べていたトマトとは別物だ!」


「みずみずしさが全然違うわ! それにずっしりと旨みが詰まっているのよ!」


 アリオさんに続いて村のみんなが野菜を次々と口へ運ぶ。


 よかった、どうやら不味くなってはいないみたいだ。


『我も気になるな。ソラ、すまぬが我の分もひとつ取ってくれ!』


『ソラ、私の分もお願い!』


「うん」


 アリオさんからトマトを受け取って、ひとつずつクロウとシロガネの口へ運ぶ。僕の分ももらって、2人と一緒にトマトを口へ運んだ。


『ほう、爽やかな酸味と濃厚な味が口の中に広がっていくぞ!』


『これはおいしいわね! 昨日まで食べていた野菜とはみずみずしさが全然違うわ!』


「うわあ~すっごくおいしくなってる!」


 正直に言うと、僕はちょっとだけトマトが苦手だったんだけれど、このトマトはとってもおいしい。僕の苦手な青臭さがまったくなくて、トマトのおいしさだけが味わえる。


 万能温泉の力もあるのかもしれないけれど、これは元々の野菜自体が元の世界のトマトよりもおいしいかもしれない。形もまんまるじゃなくて少し角ばっているから、少し違うトマトなのかも。


 それにしても、採れたてのトマトを生で食べるとこんなにおいしいんだね。




「他の作物もすべて普通のものより大きく育っておりました。それに味も非常に美味でしたな」


「温泉っていうもんはあんなすげえ効果もあるんだな、びっくりしたぜ……」


 村長さんとアリオさん、それと村の人の数名で集まって、今後のことを話し合っている。


 あのあとトマト以外の作物も確認してみたけれど、すべて昨日から一気に成長しておいしく育っていた。


『普通の温泉には作物を成長させる力など聞いたことはない。ソラの温泉が特別なのであろうな』


「そうなんだ」


 どうやら異世界の温泉が特別というわけじゃなくて、僕の万能温泉が特別みたいだ。僕も元の世界の温泉のお湯が植物を成長させる効果があるなんてことは聞いたことがないかも。


『明日以降がどうなるのかも楽しみね』


「ええ。もしもソラ殿の温泉の湯が種を植えてからすぐに成長させるようだったら、とても忙しくなりそうですよ!」


 収穫した野菜を回収して、新しく種を土に植えてから万能温泉のお湯をかけた。もし万能温泉が種の頃から成長させる速度を早くしてくれるなら、これからいっぱいの作物が回収できることになるからね。


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