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スキル【万能温泉】で、もふもふ聖獣達と始める異世界辺境村おこし。  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第11話 辺境の村


「こんにちは」


「おいおい、子供がひとりでこんな場所へ来るなんて、いったいどうしたんだ!?」


 木の柵で囲まれた村の入り口から村へ入る。入り口には村の人はいなかったから、普通に入って一番近くにいた40代くらいのおじさんに声を掛けてみた。


 金髪で青い目をしていて、まったく日本人には見えない。それにもかかわらず、このおじさんの話す言葉は日本語として聞こえてくる。クロウたちに聞いたけれど、クロウとシロガネが話している言葉は共通語といって、この付近の国で使われている言語らしい。


 どうしてその言葉が日本語として聞こえるのかはまったく分からないけれど、こちらの世界の人と普通に話すことができてほっとした。


「初めまして、ソラです。友達と一緒に旅をしています。魔物の素材があるので、服やお塩と交換してくれませんか?」


「おお、こいつはできた子供っこだ。友達ってそっちの犬っころと太った鳥か。こりゃまた変わったお客さんだな。とりあえず村長の家に案内してやるからついてきな」


「はい!」


 よかった、僕が子供ということもあって、警戒されている様子はないみたいだ。


 でもクロウとシロガネはちょっとだけムッとしている。聖獣は誇り高いらしいし、犬っころとか太った鳥とか言われるのは嫌だろうなあ。僕から見たらこの2人はとっても可愛いのに……




「これは小さなお客人であるな。儂はこのアゲク村の村長をしているエルダじゃ」


「初めまして、ソラです。一緒に旅をしているクロウとシロガネです」


「ほう、これは可愛らしいのう。魔物のようじゃが、随分と人懐っこいわい」


「はい、とっても頭も良くて、人を襲ったりはしないから大丈夫ですよ」


「ワォン」


「ピュイ」


「ははっ、可愛いじゃねえか」


 僕の言葉に応えるようにクロウとシロガネが鳴き声を上げる。


 村長さんは白髪でヒゲの生えたおじいちゃんで、この場にはもうひとり20代くらいのお兄さんがいる。腰には剣を差していて、筋肉もあってとっても強そうだ。でも家の様子や服を見ると、僕がいた世界よりも文明は進んでいない気がする。


「旅をしていると聞いたが、この辺りには大きな街や村もないし、こんな辺鄙な村まで大変じゃったのう。何もない村で大したもてなしもできぬが、ゆっくりと休んでいくといい」


「はい、ありがとうございます!」


 よかった、どうやら村での滞在は許可してもらえたようだ。背中に背負っていた荷物を下ろす。


「これはクロウとシロガネが狩ってくれたワイルドボアとホーンラビットの素材で――」


「ああ~よいよい。ソラくんはまだ幼いのにこれまで大変じゃったじゃろうて。それほど大した物はないが、いろいろと持っていくといい」


「えっ!? でもさすがに悪いです」


「なあに、子供が遠慮なんてするもんじゃねえよ。両親もいなくて本当に大変だったな。なんもねえ村だが、なんならこのままこの村で暮らしてもいいからな。おっと、俺はアリオだ。よろしくな、ソラ」


「う、うん。ありがとうございます、村長さん、アリオさん」


「……ほう、本当にできた子じゃな。こんな可愛らしい幼子を残して、ご両親もさぞ無念じゃったろうて……」


「くっ、娘を残したまま死ぬなんて俺には考えられん!」


 クロウとシロガネの3人で旅をしていると言ったからか、両親が亡くなってしまったと思われているみたいだ。




「ここが古着や使っていないものを入れてある倉庫だ。たぶんソラに合うくらいの大きさの服もあるだろう」


「うわあ~いっぱいあるね!」


 アリオさんに案内してもらった村の家の中にはいろんな物が入っていた。どうやらこの村では古着なんかを全員で着回したり、裁縫をして再利用しているらしい。改めて考えてみると、元の世界はだいぶ裕福な世界だったんだなあ。


 僕に近い大きさの服をいくつかアリオさんに見繕ってもらった。僕の服は今着ている服しかないから本当に助かる。さすがにこの服だけをずっと着ているわけにはいかないもんね。


「こんなもんか。そんじゃあこの村を案内してやるぜ」


 そのままアリオさんについていき、この村を案内してもらう。


「って言っても、畑くらいしかねえなんもねえ村だがな。ソラが見てもなんも面白くもねえだろ」


「ううん! 畑がいっぱいあるよ、それにいるんな野菜がいっぱいだ!」


「ワォン」


「ピュイ」


 この村には大きな畑があった。僕は本物の畑を見るのは初めてだからとっても興奮する。


 あれはキャベツでそっちはジャガイモかな? ここは異世界だけれど、僕がいた世界で見たことがある野菜もいっぱいあるみたいだ。


「この辺りで採れる野菜ばかりだが、ソラはよっぽど田舎から来たんだな。とはいえ、この辺りじゃあまり土質が良くなくて、作物もそれほど育たねえんだ。ほら、あっちの方は枯れちまっているだろ」


「そうなんだ……」


「さっきは勢いでこの村に暮らせなんて言ったが、ぶっちゃけ他の村や街の方が豊かだからな。ここから5日くらい歩けば、多少なりとも大きな街があるから、そっちの方がおすすめだぞ」


 どうやらクロウとシロガネが言っていたように、この村はそこまで豊かじゃないみたいだ。

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