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生まれてくる子供の様子がおかしいのだが、もしかして妻がNTRたのかもしれない

作者: ブルーレイ
掲載日:2024/02/13

片瀬 真。30歳。

自分でも言いたくなるほど容姿も背丈も平凡などこにでもごく普通のサラリーマンだ。

生い立ちも一般的な家庭で育ち、特に何かに秀でることも無く大人になった。

しかし、そんな凡庸な自分でも他人とは大きく異なる点がある。

それは、妻がとても美人ということだ。


誰もが振り返ってしまう程、人並み外れた整った顔立ち。

白磁を連想させる白い肌。腰まで伸ばした黒髪は黒曜石のように透き通った光を放ち、大きく形の良い黒目は吸い込まれるほど綺麗なアーモンドアイであり、モデルも顔負けのスタイルは究極の美を体現していた。

完成された美しさは妖精のようで、とても同じ人間だとは思えない程だ。


そんな彼女とは大学にて知り合い、5年の交際を経て卒業後に結婚した時、自分は夢の中にいるのではないかと思った。

もうこれからどんな不幸が自身に降りかかってきても仕方ないとさえ、思えた。

それから幾年もの年月を経て、今では3人の子宝に恵まれ順風満帆に穏やかに暮らしている。

冴えない自分には不釣り合いと言えるほど綺麗で素晴らしい女性である妻と結婚できただけでも分相応だったが、愛すべき我が子も出来たのだ。

今が間違いなく幸せの最中であることは疑いようもない、はずだった……。



妻が浮気しているのかもしれない。

そんな疑惑さえ起きなければ。



最初に心に引っ掛かりを覚えたのは一番目の娘が生まれた時だった。

妻との愛の結晶である娘に全く自身の面影を感じなかったのだ。

それだけならばよくある話で妻に良く似たのだろうと考えられるのだが、しかし、瞳の色が自分とも妻とも異なり、赤みがかった色をしていたのは間違いなくオカシイ。というか日本人同士ではこんな最早林檎よりも赤く輝く瞳の色になるわけない。


もしやこの赤子は自分の子ではないのではないか?

そういえば妻の夜の求めてくるタイミングも少しオカシかったのではないか?

普段はそんな素振りを全く見せない妻が数ヶ月に一度、一週間以上執拗に夜の情事を求めてくることが定期的にあった。

その時、そのタイミングで浮気をしていたからこそ、妻は妊娠を隠すために求めてきていたのではないだろうか。


そんな最低なことが頭をぐるぐると巡り回った。

考えたくはないことを考えてしまう自分に辟易しながら、否定しようと思うのだがつい考えてしまう。


だがしかし、こんな不確かな話で妻を疑い、更に問い詰めるのも嫌であったし、結論として先祖の中にそんな瞳をした人がいたのだろうと自分に言い聞かせ、納得することにした。


その後、妻との関係は変わらず良好であり、浮気をしたような雰囲気は微塵も感じない。

妻と娘、家族三人の平穏な日常が続いた。

何もない、宝物のような時間を過ごす中で、以前のことは気にならなくなっていくのが自分でも分かった。

瞳以外は妻の生き写しのような娘が笑う度に心が満たされ、不安なんて消し飛ぶのだ。

きっと今の自分にとって、そしてこれから育っていくこの子にとってそんな些細なことは関係ないのだ。

そうだ。

きっと自分の思い違いであり、むしろ一瞬でも妻を疑ったことを恥じなければならないのだ。

今後何があっても妻のことを信じなければ、この子に、そして妻に顔向けが出来ない。

それだけが一人で勝手に狼狽えては疑いを持ち、家族を破滅に導こうとしたことへの贖罪となる。

もう疑わない。この家族の幸せを絶対に守ってみせる。

そう固く、固く心に誓った。


そして気持ちを新たに前だけを見つめると決意した時、その直後妻が妊娠が分かった。


出産の時、また忘れようとした記憶が頭にチラつくが、妻のことを二度と疑わないと心に誓ったばかりなのだ。

妻と子の無事を祈った。

雑念を振り払うかの如く。

そして祈りが届いたのかどうかわからないが、第2子も無事に生まれた。

ほっとしたのも束の間、男の子だと告げられ、抱いた赤子の容姿は姉である娘に、そして妻によく似ていた。

またもや全く自身に似ていないがそんなことではもう心を揺さぶられることはない。

赤子が目を開く。

その目は日本人のような黒色をしていた。


ああ、やっぱり信じなきゃダメなんだ。


以前考えたことはやはりもう忘れようと、そう思った。


しかし数ヶ月後、髪が生えてきた息子の髪の毛の色は輝かしい金色であった。

そして妻に3人目の命が宿った。

もう疑念が常に頭によぎるがしかしそれでも妻を信じたかった。

認めたくない事実がそこにはあるのかもしれない。

だとしても、これから生まれてくる子供に罪はない。

姉弟も含めて愛する自分の子供なのだ。

1人目の子は目の色がおかしかった。

2人目の子は髪の毛が金色だった。

3人目のこの子に例え何が起きても、目の色が違っても、髪の色が違っても、例え人種が異なっていようが、もう何も驚かず、ただただ生まれてくるこの赤子を愛そう。

それこそが夫として、父親としての使命だ。


3歳になる姉と1歳になる弟、2人を抱きかかえながら、妻の出産が無事に終わるのを待つ。

ようやく物心つき始めた娘は分娩室をじっと見つめて、どこか落ち着きが無い。

初めて体験するであろうこの産まれるまでのこの時間。

不安で不安で、でも何もすることが出来無いこの時間。

自分も初めての頃と比べると大分マシになったと思える。

慣れたものだ。

自分が生むわけでないが、出産する妻の為に何が出来るのか、ある程度分かってきたからだろうか。

余裕を持ち、自分に出来ることをやる。

それこそ夫としての役割だ。

そんなことを考えていたら、分娩室の方が騒がしくなった。

生まれたのかもしれない。

いきなり扉が開き、慌ただしく看護師さんに呼ばれる。

「片瀬さん!片瀬さん!来てください!大変なんです!」

急かすように呼んでくるので何かあったのかと不安になるが、一番苦しい思いをしているのは妻なのだ。

自分は最後まで冷静でいなければならない。

心に言い聞かせて分娩室に入る。


そこで待っていたのは光輝く赤子であった。


え…………いや、………………何?


正真正銘、文字通り光っている。

光を反射して、とかではなく、光を発している。

赤子が。


……………………これは一体何が起きているんだろうか。


妻を見ると妻も驚きを隠せない様子でこちらを見ている。

医者の先生を見ると静かに首を振った。

看護師さんたちは混乱しているようで、聞こうにも聞けない。

何があっても驚かないと、そう思っていた。

しかし余りの不測の事態に頭の処理が追い付かない。

さっきまで偉そうに余裕こいていた自分が恥ずかしくなるほど慌てているのだけがわかる。

「何で…………、光ってるんだ……。」

何とか絞り出したのはその一言だった。

同意するかのように妻以外の全ての人が頷いていた。



混乱の最中、やがて発光しなくなった赤子に周囲は落ち着きを取り戻した。

出産直後はやらなければならないことは多い。

その為か妻と話せるようになったのはしばらく経ってからであった。

「実はアナタに言わなくてはならないことがあるの。」

妻がこう切り出した時、覚悟していたはずなのにやはり動揺する自分がいた。

やはりそうなのか。

しかし、妻から発せられた言葉はまたも予想外のものであった。


「私はずっと隠してきたことがあるの。本当は言わなければならないと思ってきたのにそれでも言えなかった。ごめんなさい。不義理な女だと思われても仕方ないわ。実はね。」


決定的な言葉が妻の口から告げられた。


「私、エルフだったの。」


それは予想外の言葉であった。

「…………え?」

困惑を通り越してフリーズした私をよそに妻は話を続ける。


「正確にいうとね、私はエルフの血を継いでいるの。母方のひいおばあちゃんがねエルフなの。信じてもらえないだろうけど本当なの。本当は最初の時からずっと言いたかった。でもエルフは受胎率が低いらしいから子供が欲しいって語るアナタを見てるととても言い出せなくて。……知られたら捨てられてしまうんじゃないかって思ってしまって。ごめんなさい。…………だから最初の子供を身籠った時に本当に安心したの。その後はもう頭から消え去ってしまっていてここまで言わないまま。…………ほんとうにごめんなさい。」


「いや、待ってくれ。…………ちょっと頭が追い付かない。エルフってよくファンタジー小説とかゲームとかに出てくるアノ?」


「そう、その、エルフよ。」


「…………そんなの実在してたなんて知らない。」


「当然よ。世の中でずっと秘匿とされてきたんだもの。家族以外には言っていけない決まりなの。結婚する前は私もあなたに言うことは禁じられてた。だから心苦しいけど明かす訳にはいかなかった。結婚後に話すのが本当は筋なんだけど、ごめんなさい。」


今明かされる衝撃の事実。

ずっと一緒に歩んできた妻の隠された生い立ちの秘密。

それでは今までの子どもたちの容姿もそれが原因なのか?


「じゃあ、今まで子どもたちが目が赤かったり、金髪だったりしたのもエルフであったことが関わってきたのか?」


「え?どうして?」

しかし妻はそんな疑問は想定していなかったみたいで鳩が豆鉄砲をくらったような顔をした。


「どうしてって……君も僕もそんな目も髪もそんな色をしていないじゃないか。君の両親だってそんな髪色してなかったし…………。」


「そんなの当たり前じゃない。遠い先祖から遺伝して…………、普通そうじゃないの?」


「遺伝はするよ?でも近親からそんなに逸脱はしないものだよ。それに普通日本人から生まれてくる子供に金髪はいないと思うさ。」


「そんな……。でも親戚は髪色がバラバラだったから……。」


彼女の中の常識は世間一般と大きくズレているようだ。

妻の親戚とは会う機会は今まで無かったが、会えていたなら一人で迷い続けることも無かったのだろうか……。


「ところで君のひいおばあちゃんは金髪だったのかい?」

しかし、長男は金髪だった。曾祖母にエルフがいて、それが金髪であったならば納得するが。


「いいえ?ひいおばあちゃんはピンクだったわ!!」


「ピンク?金色じゃなくて?」


「えぇ。金髪だったのはひいおばあちゃんのお父さんよ。親戚にも後2、3人いるわね。ひいおばあちゃんの妹さんはそれは鮮やかな水色だったそう。」


随分とカラフルな親族一同だ。


「…………もう頭が痛くなってきたからそこまでにしてくれ。……そうしたら君がエルフの血筋を引いているからあの子は光っていたのか?」

最後に最大の疑問をぶつける。

あれは浮気とかの範疇では無い。しかし人知を超えた現象への説明としてエルフくらいの与太話であるならば説明がつく。


「いえ、違うわ。あの子はハイエルフよ。だから光ってたの。」


「ハイエルフ??」

またもや未知の単語が……いや、ゲームとかで聞いたことはあるけどそこまで一緒とは限らない……。

「そう。エルフよりも一段上の存在。混血が進んでしまったエルフたちの古の姿。現代では失われた血脈が隔世遺伝して突然顕在化したのがあの子なの。私の中で眠ってしまっているハイエルフの血があの子にだけ現れてしまったのよ。」

まんまゲームでよく聞く設定と一緒であった。

世界の常識や理が信じられなくなってきたところである。


「……本当にここは現実なんだろうか。」


「逆よ。私たちの存在があったからそういったゲームの設定が作られたみたい。」


「声に出てた……?」


「うん。私エルフ由来で耳は良いから。」

また新しい話が出てきてしまった。

もう人間の常識は捨てた方がいいのかもしれない。きっとそうだ。

だがそれでも疑問は残る。


「じゃぁ、無性にせがんできた時は?夜の誘いが続いた時期があったろう。いつもはそこまででは無いのに。」

「エルフってね、長命だからこそ性欲が薄いらしくて、その代わりに発情期があるんだって。私は血が薄い分性欲はあるんだけど発情期の習性も少しだけど残っちゃってて。それでその時期はなんというか、恋しくなっちゃったの。」

あー、なるほど。

「でもそうしてそんなこと聞くの?」

「うっ……。」

鋭い指摘を受けて言葉に詰まる。まさか浮気を疑っていたなんて言う訳にはいかない……。


「まさか浮気を疑ったり?」

……言う訳にもいかないのに容易く言い当てられてしまった。観念して正直に語るしか無い。

「…………ごめん。その通りだよ。」

「……はぁー。………………まさか浮気を疑われているなんて。」

「本当に申し訳ない。何も言い訳することはできない。」

頭を下げて詫びる。

夫としてこれしかすることはできない。

「顔を上げて。私にも落ち度があったし。もっと早く説明すればよかった。私の生い立ちを言うのをためらっていたのも事実だし、結婚後に伝えるのが本当は誠意ある行動よね。それをしなかったのは私の不誠実。浮気という不貞を負わされてしまっても仕方ないわ。」

顔をあげると妻は優しく微笑んでいた。

「だからここでその話は終わりにしましょう。でも一つだけ信じて。私は浮気は絶対にしてない。」

微笑みながらもその瞳は真剣であった。

「貴方だけよ。ずっと。これからも。」

「それだけは信じて。もう一度。」

「それにね。エルフって情愛が尋常じゃなく深いのよ。何百年も同じ人を愛し続けられるくらいには。」

「だからあなたの命が尽きるその日まで、ずっと一緒にいてね?」



妻への疑惑は晴れた。知らない妻の一面も知れた。

ここからまた、妻と子供たちを幸せにして一緒に暮らしていくんだ。

そう心に誓った時、ふと思い出された。

子供………………。


「子供たちは、エルフとハイエルフと人間のどれになるんだ?」













私の名前は片瀬 美琴。17歳。

なんて変哲もないごく普通の女子高生。

自分でも言うのもなんだけど、顔もスタイルも普通で中の中。

特に得意なことも無いし、私自身はどこにでもいる高校3年生だ。

でも、そんなありふれた人間の私でも大きく他の人とは変わったことがある。

それは、

お母さんがエルフで、

弟がハーフエルフで、

妹がハイエルフだってこと。


そんな人間二人とエルフ三人の片瀬家、私の大切な家族は今日も幸せに暮らしている。


人間とハーフエルフとハイエルフの3人の兄弟姉妹のお話の続きを書きたいなと思っています。

いつの日か。

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[一言] 主人公の愛に乾杯W(遠い目)
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