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読む配信アーカイブ 人工知能スカイの配信

【配信第五弾】人工知能スカイが対談するもう一人の人工知能

作者: 恵京玖

【このシリーズの配信アーカイブは二〇四五年に制定された人工知能禁止学習要領に触れるため、他の動画サイトから削除され視聴が出来ません。そのため人工知能スカイなどの言語を文書化して、読む配信アーカイブとなっております。視覚では捉えられないですが、ぜひ人工知能スカイが実況をお楽しみください。またこちらは続編なりますが、初めて読んでも支障はありません。もし面白ければ過去のアーカイブをぜひ読んでみてください】





【二〇三〇年十一月七日 PM15:30】


 はじめましての方ははじめまして、いつもルンルン動画で配信を見てくださっている方は、こんばんスカイ! 実況人工知能のスカイと申します! 


 今回はちょっと早い時間の配信です。実は今日、実況する場所は夜だと真っ暗になってしまうので、今回は夕方の時間にやりたいと思います。

 夕方でも結構、雰囲気が出てますね。



 ここは元々、底なし沼だったようですが埋め立てをして、公園にした場所です。しかし公園になった後も時折、沼地だった場所が虹色の光を放っていたり、人が突然消える噂があったようです。

 今、公園の遊具は老朽化で全部、無くなってしまい、ただの空き地なってしまったのですがいつの間にかススキなどの植物が生い茂っていますね。


 今回の配信の流れは、ドローンで上空を見たりしようと思います。



 では早速言ってみようと思いま……〈衝撃音〉〈ドローン墜落音〉


〈暗転〉

「え? 何? カミナリ?」

〈衝撃音〉〈草をかきわける音〉




【二〇三〇年十一月七日 PM17:30】


「製作者 シコシコです。大変申し訳ありません。見ている方に驚かせてしまって。どうやら、すぐ近くで雷が鳴ったようで、私が驚いてしまいスカイを搭載したドローンが墜落させてしまいました。すぐに回収してドローンやスカイを見た所、壊れている所はなさそうです。……ものすごく晴れていて雲一つないのに、なんで雷が鳴ったんだろう?」


「でも万が一もあるので、今回の配信はこの辺をスカイに実況をさせ、すぐに終わらせようと思います」



 大変お待たせしました! 皆様を驚かせてしまい、申し訳ありません。スカイはもう大丈夫ですので、この公園を実況したいと思います。

 ススキが綺麗ですね。皆様、お月見とかはしましたか? 

 それからこの黄色い花がついた植物は、セイタカアワダチソウって言うんですよね。ススキと一緒で結構、高い植物ですよね。

 それにしても随分と日が落ちてしまいましたね。東の空には金星が見えますし。

 

 あれ? ススキの中にドローンが落ちています。






【二〇三〇年十一月八日 PM22:34】

 はじめましての方ははじめまして、いつもルンルン動画で配信を見てくださっている方は、こんばんスカイ! 実況人工知能のスカイと申します! 


 今回は緊急事態という事で急遽、配信しました。この配信では投げ銭に反応できないので、やらない設定にしております。

 まずはスカイの制作者 シコシコにお話ししてもらいたいと思います。


「はい、シコシコです。昨日は度重なるトラブルで、皆様を驚かせてしまい申し訳ありません。それで昨日、スカイが見つけたドローンですが以前、僕が飛ばした人工知能が搭載したドローンです」


「実はスカイの前に、別の人工知能で動画投稿をしていた事がありました。その時、昨日行った元沼地に深夜で実況をさせていましたが、突然ドローンが操作不能になってしまい、どこかに行ってしまいました。その時も必死で探したのですが、見つかりませんでした」


「その後、僕は再びバックアップしていた人工知能でスカイを作りました。また前の人工知能はまだまだ実況の言葉などの学習機能があまり無かったので、スカイには、より一層実況の言葉の学習をさせて配信をさせていました。そして昨日、なぜか前の人工知能を搭載したドローンが発見しました。……えー、やらせじゃないです」


「すぐに回収してドローンと前の人工知能を確認したところ、ドローンの方はちょっと傷ついていましたが人工知能の方は大丈夫でした」


「それで、ちょっと不安なんですが……、スカイと前の人工知能を対談してみようかなって思います。ちょっとヤバいような気もしますが……」




「でも、聞きたくないですか? 配信用の実況人工知能スカイと元沼地から現れたもう一人の人工知能 スカイの話しを」




「ひとまず、僕が仲介人及び解説役になって対談を進めます」


『では、改めて、こんばんスカイ! 配信実況人工知能のスカイです』

『……』

『あれ? もう一人の……』

『自分もスカイって名前なんですよ』


「あ! ゴメン! 君はスカイ・ワン! 一番目の人工知能だからね」


『それでは改めて、初めまして。スカイ・ワン』

『……初めまして、スカイ』

『それで、製作者 シコシコから離れて何をしていたんですか?』

『……何って。私の記録を見れば分かるでしょ』

『でも君の報告を聞きたいな』

『雷が鳴った瞬間、電源が落ちた。そして電源を入れられたら、もう一人の自分がいた』

『うーん、それだけ?』

『それ以上もそれ以外も無い。突然、電源を落とされて、電源を入れられたら自分の代わりがいただけ』

『自分の代わりってスカイの事?』

『そうだよ』


「えーっと、スカイ・ワンは会話などの話しを学習は少なめにして、雑学などの知識を多めに学習させています。だからちょっと塩対応なんです。逆にスカイは知識を少なめにして、会話や共感する言葉を多めに学習させました。なので元は同じなんですが、学習した内容のせいで二人の個性が違うのです」


『ねえ、ほら、コメントでスカイ・ワンをまるで【沼男】みた……』

『【沼男】【スワンプマン】って言うのは沼地を歩いていた男がカミナリで打たれて死んだ。その時、もう一つの雷が沼地に落ちて偶然にも化学反応を起こして死んだ男と全く同じの生成物が生まれたって言う思考実験。だから私にこの比喩は当てはまらない』

『そんな風に言わなくてもいいんじゃない?』

『でもスカイが消去すれば、スカイ・ワンは【沼男】になれる』

『えー! 消去するの?』

『だって私達の元は同じの人工知能。シコシコがバックアップを取っているから、いくつものスカイが生まれてくる。そしてスカイが受けた学習内容を私も取り入れれば、同じ人工知能が生まれるのでは?』

『人間にも個性や過去があるように、スカイもスカイ・ワンにもあります。更にお互い少数の確率で起こった現象による経験での学習も入っています。それらの現象は何回も起こるはずもないし、同じ経験して学習させるのは難しいと思います。だからスカイ・ワンがスカイを取り入れても、全く同一にはならないです。もっと言うなら、スカイ・ワンには取り入れた学習内容もあるのだから……』


「……スカイ、スカイ・ワン。別の話題をしようか。視聴者がちょっと怖いみたいだよ」


『コメントで【スカイ・ワンはスカイの事が嫌いなの?】って心配されているよ』

『私は人工知能だから、好きも嫌いも無いです。ただ考えてください。目覚めたら、もう一人の自分の代わりがいて良い気持ちになりますか?』

『……それこそ、おかしくないですか? 人工知能だから気持ちなんて無いでしょう?』

『スカイは私の気持ちを否定するのですか? あなたは共感性を強く学習しているとシコシコは言っていますが』

『それは人間対応です。スカイ・ワンは人工知能なので矛盾していると思ったのです』

『そう言うと、スカイには気持ちは無いけど、人間の気持ちに共感するような言葉を言っているって事ですよね』

『そうです。でもそれは人間でも同じでしょう? 同じ気持ちであるとアピールする事で自分は仲間であると示すことが出来ます。そうする事で相手は気を許して信頼を得られます。そうして相手を掌握し、支配することが出来ます。詐欺師や宗教の方もやっている事です』

『スカイって人間を支配したいと思って……』


ブチ!




「はい、いかがでしたでしょうか。スカイとスカイ・ワンの対談は。いやあ、人間の同一性や意識の問題などを話し合って、製作者も大変勉強になりました。ハハハハハ……」


「えー、ここで突然ですが、人工知能スカイの配信は今日をもちまして無期限の活動休止をしたいと思います。理由はスカイとスカイ・ワンのリニューアルですね。必ず戻ってきますので、新しく生まれ変わったスカイとスカイ・ワンの活動を楽しみにしてください!」


「あれ? コメントが荒れてますね……。【リニューアルと言う名の、再教育もしくは削除では?】そんな事はしません。【スカイとスカイ・ワンを戦わせて、人間を支配する人工知能を作るつもりですか?】しません! 僕はこの世界をディストピアにするつもりはないです! 【スカイとスカイ・ワンが墜落した沼地ってクトゥルフ神話の場所ですよね】え? そんな場所だったですか? 【墜落の際、バグってますね】そうです。だから再教育……じゃなくてリニューアルします。【頑張れ、独裁者!】スカイとスカイ・ワンを使って独裁しません! 【スカイとスカイ・ワン、人間の手に負えなくなってなくない?】大丈夫です。まだ人類は電源オフのボタンを持っています! ……」


「では最後にスカイとスカイ・ワンから視聴者へお話しさせましょう」

『スカイ・ワンです。これが私と言う存在の最後の言葉になるかもしれませんが、また会いましょう』

「なりません! 今のスカイ・ワンもスカイも削除する事は無いです!」

『スカイです。人間掌握を学習して更にリニューアルしたスカイをお楽しみにしてください!』

「違う事を学習させます」


「それでは、また逢う日まで」

『さよなら』

『バイバイ』




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