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2.異世界神との一番勝負

 空太郎が目を覚ますと、そこは白い空間でありました。

「自ら転生を望む人、それもあれだけ大暴れしてトラック転生をする人なんて初めてだよ」

 そこには白い貫頭衣を着た若い男がいます。

 全てを見通しているかのような口ぶりに、空太郎はむかっ腹が立ちますが、こちらから先約もなくいきなり訪問したのだからと、我慢します。

「俺は、この後、異世界とやらに行けるんだろうな」

「なんで、たかが人間如きの分際で、そんなにも偉そうで、自信たっぷりなのですか」

 空太郎は、お天道様に後ろめたいことをした覚えはありませんので、上位存在にも威風堂々と対応します。

「異世界には、転移できますよ。ただし、条件があります。私の管轄する異世界では、スキルを与える代わりに魔王討伐をしてもらいます。おや、不満そうですね?」

「当然だろう。なんで良い奴か、悪い奴かも分かってない魔王とやらを俺が、殺さなくちゃならない。そもそも、スキルを与えてやるからこちらの言うことを聞けなんて、そんな押し売りみたいな契約を飲めるか!」

「……はあ。たまにいるんですよね、あなたみたいな身の程をわきまえない人間が。考え直しませんか?付与するスキルは、どれも向こうの世界の人間では、到底、獲得できないSSレアのスキルですよ」

「なめるなっ、この青瓢箪あおびょうたん!俺が、そんな目の前に人参をぶら下げられて従うような、腰砕けに見えるかっ!黙って、俺を転移させてくれりゃ、それでいい。余計なことを抜かすなっ!」

 空太郎の一喝に、上位存在は憐れむ目線を向けると、一言。

「愚かな、消えろ」

 上位存在が空太郎に手をかざすと、これは不思議、空太郎の体が薄くなっていく。

これには、空太郎も面食らったが、落ち着いて上位存在の傍まで歩くと、ポカリ、ポカリと2、3発、ぶん殴ってやる。上位存在は、鼻っ面をひっぱたかれて、むぎゃっ、と猫が尻尾を踏んづけられたような声を出すと、鼻血を出して、後ろに下がる。

 恨めしいというよりも、呆然として驚いている様子だ。

「どうして、私に許可なく触れることができるんだ」

「俺は天下御免のバンカラ主義者だぞ。上位存在なんてハイカラなもんにはめっぽうやたらに強いんだ。偉そうなふりして、そんなことも知らんのか」

 空太郎は上位存在との距離を縮めると、また、ぽかり、ぽかり。

「ハハ、愉快だ。愉快だ。俺は、自分一人を偉いと思っている奴の鼻っ面を折ってやるのが好きなんだ。どうだ、参ったか、参ったか。今すぐ、自分の非を認めれば許してやらんこともない」

 上位存在は、その綺麗な顔を鼻血と涙でぐしゃぐしゃにしている。流石に、空太郎も哀れに思い、ここらで殴るのをやめてやる。

「参った、参ったから。好きに異世界で過ごしてくれ。何も干渉しない」

「オオッ、分かればよいのだ。分かれば。ほら、大丈夫か」

 空太郎はカバンから、軟膏なんこうを取り出し、上位存在の顔へ塗りつけてやる。

「新手の拷問か?許してっ、とにかく異世界へ行ってくれ!」

 空太郎の足元に、不思議な円い文様が浮かぶ。

 あまりにきれいなので空太郎が見とれていると、ふっと体が浮いて、どこかに飛んだ。


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