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Mission-68 『二択とビンタとブレない男たち』


「はぁ!? よりをもどす!? そんなことするわけないだろ、こんな二股サイテー男と!」


「うん。まぁそうだね、普通はそうだよね」


 隼平の疑問に女学生Aの方がまず頷く。

 まぁ、そりゃそうだろ。逆により戻したい思えたらスゲーよ。


「じゃあ、そうだな。今日のところは俺たちに免じてビンタ一発くらいで勘弁してくれないかな。後は俺たちで二度とキミに近づけないように言っておくし、その上で厳罰を与えておくから」


「うっ、いや…でも」


「ごめんなさい。でもこの通り、よろしくお願いします」


 そして、そのまま隼平は凄まじく真摯な態度でペコリと女学生Aに頭を下げた。態度だけではない、その言葉や表情からも真剣に考えてそう言っているのが伝わってくる。

 相変わらずブレない男だ。

 未だに床に正座している真摯の対極みたいなやつを見た後だからその威力は中々だろう。


「いっ、いや、あなたが頭を下げる事なんて…」


 それが女学生Aにも伝わったのか、彼女の口調も敬語へと変化していた。

 そして、「…うっ、うう」と少し悩む素振りを見せた後、


「――わかりました。あなたに免じてそれで今回は帰ります」


 彼女は頷き、しぶしぶ引き下がった。

 うん、これマジで俺いらなかったじゃん。あの最初の心労は何だったんだ…。


「ありがとうございます!」


「~~!」


 そう一歩離れたところでやるせない気持ちになっている俺を余所に、ニコリと笑いお礼を言う隼平を前に女学生は頬を赤らめていた。

 うん、まぁさっきも言ったけどそれは仕方ない。でも本気で狙う場合茨の道だぞ、女学生Aさん。そいつ鬼のようにモテるぞ。


「で、キミはどうですか?」


 そして、流れる様な自然さで膝を折って目線を合わせると今度は椅子に座る女学生Bに対してそう問いかける。


「…わっ、わたしは、…その」


「うん」


「もし本当に反省してくれるんなら、もう二度としないって約束するなら、私は許していいと思ってます…!」


 対してこちらは別の意見。

 まさか許すとは…。まぁここで泣いてしまうくらいだ。きっと繊細で優しいタイプの女の子なんだろう。

 女学生Bのそんな言葉に「そっか」と短く言うと、「だってさ、どうするの?」と隼平は彰に問いかけた。当然後は当人同士の問題だからだ。


星奈せいなちゃん」


 正座したまま、女学生Bをまっすぐ見て彰が口を開く。

 どうやら女学生Bの名前は星奈というらしい。そんな星奈さんも「彰さん…」と小さな声で名前を呼んだ。


「ごめんね」


「ううん…、いいんです」


 うん、これは何だか丸く収まりそうだな。

 そんな二人のやり取りを見て俺はそう円満な終了の気配を感じ取っていた。

 …のだが、


「「はぁー…」」


 そこで二つ小さな溜め息が聞こえてきた。それは言うまでもない隼平と聖也のものだ。

 そして、


「本当にごめん、星奈ちゃん。――それは絶対に無理だ。俺は基本的に可愛い子みるとアタックかけちゃうから」


 そう絶対に胸を張って言うことではないことを真正面から堂々と言った彰を見て、俺はそのため息の意味を遅れて悟った。

 つまりまだ俺は御門彰という男のヤバさを甘く見ていたらしい。


 ――………まぁ、なんだ。こいつはこいつでブレないやつだな。


 部室を本日二度目の沈黙が満たす。

 そして、


 ――パン! 

 ――パン!


 と鮮やかなビンタの音が二回連続で響き、この人騒がせな二股騒動は一先ずの決着を迎えたのだった。


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