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Mission-15 『校舎と勘とサッカーボール』


「さーってと、いきなり問題発生だ」


 男の娘であるとばれずに伏見と友達になることに成功して、気分晴れやかに昇降口に到着した俺だったがすぐさま別の問題に直面していた。

 

 ――昇降口に着いた。しかし、下駄箱がわからない。

 

 つーか、今さらながら転校生だし最初は来賓者用入口的なところから入るべきだったか? 

 そりゃ自分の下駄箱もまだどこにあるのかわかんねぇわけだしな。


 どうすっか? すでに設置はされてるだろうし三年のエリアを虱潰しにあたれば見つかるかな。…でも、めんどっちいなぁ。

 いーや、ここは一先ずは、


「名前書いてないで空いてる適当なとこ使うか」


 そう深く考えずに決めて、靴を脱ぐ。

 ちなみに上履きは神様が用意していてくれたので、カバンの中に入っていた。そして、汚れ一つないそれを取出し素早く履く。

 うん、ぴったし。この辺りはキッチリしとるな。


「さーてと次は…」


 そして、誰もいない校舎内に初めて足を踏み入れた。

 ………のだが、


「職員室ってそもそもどこだ?」


 と即座にまた別の問題にぶつかった。

 いや、改めて考えるとホント何も知らんな俺。というかもっと俺に色々と教えろよ神。

 うーん、こんなこったら伏見に場所聞いとけばよかったな。


「まぁ考えてもしゃーねぇか」


 頭の中ではそうグチグチと言いつつも俺はすぐさま次の行動に移っていた。

 下駄箱もそうだし、これもそう。無駄にうじうじ考えてても時間の無駄だしな。そんならササッと決めて行動に移すが吉だ。その方が俺のしょうにも会ってる。


 そんなわけで「なんとかなるさ」の楽観理論で俺は校舎内を勘に従い歩き始めた。

 更に言うと、登校時間よりだいぶ早いため時間的な余裕はあるので捜索時間は十分あるし、仮に職員室に辿り着けずに登校時間が迫ってきてもその分生徒も先生も増えてきて直接場所を聞くことができるようになる。そんな無敵の二段階構えがすでに出来上がっているので焦る必要は全くないのだ。


「ふっふ~ん♪」


 家を出てからここまで非常に順調に進んでいるので地味に機嫌がいい。そのため鼻歌交じりに見慣れない新鮮な廊下を歩いていると、


「ん?」


 そんな俺の耳のトントンとどこかで聞いた覚えのある様な音が届いた。

 その音に誘われる様に少し早歩きで音の鳴る方へと進むと、段々とその音が大きくそして鮮明に聞こえ出す。

 これって…、あーなんだっけなぁ? …あっ、サッカーボールを蹴る音じゃね。


 頭の中で一つの結論が出たと同時に横の窓越しの景色が変わる。

 

 おそらく中庭というやつだろう。こんなでかい学校ならではだな、中庭と言っても小さめの校庭ぐらいはあるかな。

 そして、そんな中庭の中で一人のジャージ姿の男子生徒がリフティングを行っていた。

 

 ――ほらな、やっぱ色々と考え込んでるよか動いた方が何か結果が出るもんだ。


「おーい!」


「えっ!?」


 すぐに窓を開け、話しかける。

 その俺の声にサッカー少年は一瞬予想外の呼びかけにビクッと肩を震わせたかと思うと、宙に浮いたボールを手で掴むとこちらへと振り返った。


「おー」


 中々にイケメン。爽やかな感じだし、女子にモテそー顔だな。

 振り返った男子の顔を見ての第一印象はそれだった。その上、こんな朝からサッカーボール蹴ってるってことはサッカー部だろうし、こいつ多分えげつないくらいモテるな。


 そう勝手にその男子の背景を考察していると、ボールを片手で抱えその男子がこっちへと向かって走ってきてくれる。

 しかも、良いやつっぽい!


「どうしたの? …って、あれ誰だろ? 一応同学年の顔はみんな見たことある筈なんだけど?」


「ん、わりぃ。同学年は同学年だけど、今日からなんだ」


「あっ、ということは」


「今日からここに三年として転校する葦山蒼葦だ」


「ハハッ、なるほどね。どうりで見たことなかったわけだ。はじめまして、俺は同じく三年でなぎさ隼平しゅんぺいっていうんだ。よろしく」


「ああ、よろしくな」


 そして、早くも俺に二人目の友達ゲットのチャンスと職員室の場所情報ゲットのチャンスが訪れた。


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