第442話 増える……の?(チェリーツィアステータス)
ちょっと間が空きましたm(__)m
なんとか年末年始の休み中にストック作れるくらい書きたいです。
チェリーツィアとの格付け試験が終わってから五日。
私達は王がいる町……タンベルハイムに拘束されていた。
いかに格付け試験と言っても相手は一国の姫だからっていう理由で私とラメル、ラーヴァは大人しく捕まっている。
しかしながらチェリーツィアというこの国で一番強い人を倒したせいか、扱いは罪人のように牢へ繋がれるようなものではなく、城の一室に軟禁されているだけなんだけどね。
ついでに言えば私に軟禁なんてほとんど意味はないので、夜には一度屋敷に戻ってユーニャやミルル達と入浴し、ソフィアとも話してから部屋に戻っていた。
寝る時はしっかりラメルとラーヴァを侍らせて。
そして六日目の朝。
「セシル、ごめんなさいなの。それと止めてくれてありがとうなの」
目を覚ましたチェリーツィアはすぐに私が軟禁されている部屋に来るとぺこりと頭を下げた。
「私じゃなかったらたくさんの人が死んで、タンベルハイムも瓦礫の山になってたんだからね? しっかり反省した?」
「もちろんなの! 町中では強い力をあんまり使わない方が良いの!」
はい、伝わってませんでした。
「使ったら駄目なの。この国の人達はみんな強いけど、みんながみんなチェリーツィアほど強いわけじゃないんだから。例えばこの部屋の外にいた女性とか……」
「あの者は私の側近の一人だから脅威度Sの魔物でも倒せるの」
……どう反応しろと?
てか普通のメイドっぽいのに随分強いね。
我が家も負けてられない、よね?
「とにかく、あぁいうのは魔物とかチェリーツィアの敵にしかやっちゃ駄目だよ?」
「わかったなの! でもセシルにはやったからセシルは私の敵なの?」
「……また、私に殴られたいの?」
少しばかりの殺気を込めた視線をチェリーツィアに送ると、彼女はブルブルと頭を振った。
「良かった。私もチェリーツィアとはもう戦いたくないよ」
どんな被害が出るかわかったもんじゃないし。
ついでに言えばちょっと幼い感じが妹みたいで可愛いしね。
「そういえばチェリーツィアは『限界突破』を使ってたけど、貴女は『勇者』のタレントを持ってるの?」
「『勇者』? 私が持ってるのは『魔王』なの」
「……『魔王』?」
……ということは、まさか『勇者』と『魔王』はそれぞれ同じスキルを持ってる、ってこと? そうとは限らないけど、非常に似たスキルなのかもしれない。
どうやら彼女も今は鑑定阻害のアーティファクトを身に着けていないようだし、鑑定させてもらおうかな。
チェリーツィア・ガットセント
年齢:317歳
種族:金虎族/女
LV:4201
HP:1,092M
MP:8,711k
スキル
言語理解 4
気配察知 MAX
投擲 MAX
弓 MAX
戦斧 MAX
スキル鑑定 4
威圧 MAX
算術 3
野草知識 5
鉱物知識 2
道具知識 1
解体 MAX
ユニークスキル
武具操作 MAX
戦闘マニア MAX
獣王の怒気 6
氷魔法 4
天魔法 2
上級闇魔法 4
魔人化 3
吸収攻撃耐性 4
異常無効 3
統帥 5
レジェンドスキル
絶闘 2
絶剣 1
絶槍 2
破軍 2
限界突破 -
心砕ク者 -
タレント
武闘マスタリー
遠距離武器マスタリー
司令官
蛮勇
立チ上ガル者
魔王
心砕ク者:心から恐怖させた者からわずかに力を奪う。
心を砕いた者から得た力は譲渡者の生死問わず有効。譲受者の死亡により元に戻る。
破軍:敵対する相手が自分より遥かに多い時に効果が発動。自身の能力をスキルレベル×2倍にする。
……本当に魔王だった。
タレントが記載されている場所から察するに、あのよくわからないタレントはそれぞれ『勇者』と『魔王』になるために必要なタレントのはずだから、チェリーツィアもあれらを全部集めたということなんだと思う。
かく言う私も『魔王』のタレントの獲得まであと少しな気がする。
まぁ一番驚いたのは彼女の年齢だったけど、こんな綺麗な黒髪なのに金虎族という煌びやかそうな種族名にも疑問を覚えた。
ちょっと幼い言動からは想像出来ないくらいずっと年上であることに驚きを隠しつつ、チェリーツィアに笑いかける。
「『魔王』って凄いんだね」
「でもセシルには負けたの……。セシルも『魔王』を持ってるの?」
「うぅん、私が持ってるのは『勇者』だよ」
けど『勇者』と『魔王』を持ってる者同士は仲が悪くなるとか、そういう効果が無くて良かった。
もしそうなら私はまたこの子と戦わなてはならなくなる。
「『勇者』っ! 初めて会ったの! 他の魔王に自慢出来るのっ!」
「……他の、魔王?」
「そうなのっ! 何年かに一回集まるのっ! みんなすごく強いのっ! あー……でもセシルくらい強い人は二人くらいしかいないの」
チェリーツィアは頭に両手の人差し指を当てながらそんなことを呟いた。
先日の彼女との戦いでは確かに出力制限をかなり解除させられたけど、じゃああれば全力だったかと言えばそういうわけではない。
ゼレディールとの決闘時ほどの力は出していないのだし。
「その私と同じくらい強い魔王とチェリーツィアは戦ったことがあるの?」
「あるのっ! 全然相手にならなかったの。セシルと同じくらいあっさり負けたの…」
「へぇ……どこにいるかは知ってる?」
「勿論なの! &"#%は第四大陸で、*`+((は第五大陸にいるの!」
あれ? 名前が、聞こえない?
「あ、ご、ゴメンねチェリーツィア。名前もう一回言ってみてくれる?」
「&"#%と*`+((なの」
やっぱり、聞こえない。
(メル)
(うむ。恐らく何かしらの制約が掛かっているのだ。お互いの素性を明かさないなど、そういう類のものだと思うのだ。破ったらペナルティがあるようなものでは無さそうなのだ)
(場所だけは言っちゃってるけどね……)
(とりあえず場所がわかっただけでも良いのだ。君子危うきに近寄らず、なのだ)
それもそうか、とメルの言葉に心の中で相槌を打つ。
「とりあえず私はあんまり強い人と戦おうとは思わないから、第四大陸と第五大陸に行くときは注意するよ」
「……セシルはどこかに行くの? もうこの国からいなくなるの?」
「私は第三大陸から来てるんだよ。ここでやることがあって来てるだけだから、用事が済んだら帰るよ」
「……残念なの。セシルと戦っていれば私はもっと強くなれると思ったの」
チェリーツィアだって魔王なんだし、普通に考えれば十分すぎるほど強いんだけどね?
これ以上強くなってどうしようっていうんだろうか。
ガチャ
チェリーツィアが少し落ち込んでしまい、どうしようかと思っていたら突然部屋のドアが開いた。
この国で王女の部屋にノック無しで入れるのは二人しかいない。
「チェリーツィア、起きていたか」
「父上! ……ごめんなさいなの、負けちゃったの……」
入ってきたのはチェリーツィアの父でもある、この国の王。
私はチェリーツィアの目が覚める前に何度か会って話をさせてもらっている。
「儂も試験は見ていた。あれは大公殿が強すぎただけのことよ」
「大公?」
「……まだ話しておられませんでしたか」
少し顔を顰めた国王様からチラリと視線を向けられた。
他のことを話すだけで、私の素性を話しそびれていたよ。
「申し訳ありません。彼女もつい先ほど目が覚めたばかりでしたので。改めて、チェリーツィアに名乗らせてもらうね」
私は椅子から立ち上がり、佇まいを正した。
「第三大陸にあるアルマリノ王国、ジュエルエース大公家当主、セシーリア・ジュエルエース。ガットセント国第一王女、チェリーツィア・ガットセント殿下と拝謁出来、心より感謝致します」
「セシルが……貴族?」
「ただの貴族ではないぞ。大公となれば現国王とかなり近しい立場ということだ」
「それについては詳しくお話は出来ませんが、その通りです。現在は個人的な目的のために世界中を回っております」
『階の鍵』を手に入れて、ヴォルガロンデの研究所や住処を訪ねて回るのが今の目的。
確かここ第一大陸にはスキル関係の研究をした資料があるとゼレディールから聞いている。
まずは階の鍵を見つけて、それから研究所を目指そうと思う。そしてその階の鍵はというと。
「個人的な目的、の一つが……お前の身に着けているブローチだそうだ」
「っ! ……この、ブローチ、なの?」
チェリーツィアが身に着けている服のブローチ。
メルに聞いたから間違いはない。あの戦闘で壊してしまわなくて本当に良かった。
「そんなわけでそのブローチを譲ってほしいんだけど、駄目かな?」
「……この、ブローチは……先代の、私の前に国で一番強かった母上から貰ったものなの……」
「……そう。大切なものなんだね」
チェリーツィアは私の言葉にコクリと首を縦に振った。
そんなに大切なものならさすがにただ譲ってと言っても認めてはもらえないだろうと思っていた。
勿論、このことは先に国王様から聞いていたので何とかうまく説得出来ないかと考えているのだけど……うまい方法が思いつかずに今日までやって来てしまった。
「セシルはこのブローチをどうするの?」
「……あるところに行くために必要って聞いてる。目的を済ませた後にどうなるかはわからないけど、ひょっとしたら無くなったり壊れたりするかもしれない」
嘘をついても意味がないので、正直に答えるとチェリーツィアは少しだけ考える素振りを見せた後国王様へと向き直った。
「父上、母上が言っていたの。『自分より強い人がこのブローチを欲しがったら渡してあげて』って。まさにセシルがそうなの」
「そうだな。……だが、確かお前の母は『女なら自分より強い人に守ってもらいなさい』とも言っていなかったか?」
「言ってたけど、父上は母上より弱かったの。今も私より弱いの」
そんなはっきり言わなくてもいいだろうに、国王様は弱い弱いと言われたせいで顔が引きつり今にも泣きそうだ。
「チェリーツィア。強い人は敵や脅威から国や民を守れるけど、国を治めるのは戦うだけじゃ駄目でしょ? 貴女のお父様はとても立派に国を治めてらっしゃる素晴らしい人だと思うよ」
「大公殿……感謝致す」
まぁちょっと娘に弱いところがあるみたいだけど、そんなのどこのお父さんも一緒だし、私だってソフィアには甘いからね。
「わかったの。セシルの言うことは正しいの。……でも、このブローチをあげることは出来ないの」
国王様のことは擁護出来たものの、ブローチは渡してくれないらしい。
ちょっと困ったなと思っていると、チェリーツィアは私に向かって満面の笑みを浮かべた。
「だからセシルがそこに行くときに一緒についていくの。というか、セシルと一緒に行くの」
「は? え、一緒にって……そのブローチが必要な時ってことじゃなくて……?」
「そうなの! 今日から私もセシルと一緒なの!」
どうやら、またパートナー達への言い訳が必要になりそうだ。
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