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第39話 お風呂でのチート

少しずつPVとユニークPV、ブックマークが増えてきて嬉しい限りです!

これからもセシルにお付き合いお願いしますm(_ _)m


8/5 題名追加

 私はファムさんと湯船に浸かっている。

 他の使用人は今はいないので二人で貸し切り状態。

 あぁ…ゆっくりお風呂に浸かるなんて前世振りだよ。しいて言えばもう少しお湯が熱いと言うことないんだけどなぁ。

 私の四則魔法を使えばお湯の温度調整は簡単にできるけど、その前に一緒に入っているファムさんに聞いてみないといけないよね。


「ねぇファムさん、お湯少し温くない?」

「いつもこのくらいですよ。私達使用人のためにそこまで温かくはできませんので」

「ということはファムさんももう少し熱い方がいいんだよね?」

「えぇ、それはそうですが…」

「じゃあちょっと熱くするよ?」


 お湯の温度だけを調整する上に自分が浸かっているのでいきなり高温にならないように湯船の空いたスペースの温度を上げて更にお湯に流れを作ってかき混ぜていく。


「あ、温かくなってきました!」


 ファムさんが驚いて湯船の中で不自然に流れる水流に手を翳している。それも徐々に温かくなっていくはずだ。

 ゆっくりと熱操作をおこなっていたので時間はかかったもののちょうど私好みの43℃くらいの温度になったはず。もちろん自分の周りの温度調整は解除してあるのでお湯の温度が直に感じられる。


「ファムさん熱くない?」

「えぇ、大丈夫です。あぁ…温かくて気持ちいい…」

「やっぱりお風呂はこのくらい温かくないとね。村にいたときはお湯で体を拭くだけで、たまに水浴びするくらいだったんだよ」

「そうなんですか…冬は寒そうですね」

「いやいや、流石に冬に水浴びとか死んじゃうよ!」

「ですよねぇ。でもセシル様はよくお風呂を知ってらっしゃいましたね?」

「あー…私の友だちで他の町から来た子がいたからその子に教えてもらったんだよ」

「そうなんですね。でしたら今こうして温かいお風呂に入れるのはその子のお陰ですね」


 そう言うとファムさんは手でお湯を掬っては肩に掛けていく。そしてその度に腕が胸を擦ってたゆんと揺れる。

 というか、胸ってあそこまで大きいとお湯に浮くんだね。聞いたことはあったけど初めて見たよ。


「セシル様?先ほどからどうなさったのですか?」

「え?あ!いや…なんでも…」

「どう見ても先ほどから私の胸ばかり見ていらっしゃいますよ?」


 ファムさんはクスクスと笑いながら自分の胸の上に手を置いた。胸の上に手って置けるんだね?!


「セシル様も大きくなれば胸も膨らんできますよ。ただ…あまり大きいと邪魔になるし肩も凝ってしまって…」


 それって胸が大きい人ならではの悩みだろうけど私にとっては自慢にしか聞こえないからっ!

 私の心の叫びなどつゆ知らず、彼女は右手で左肩を揉みほぐしている。自身の腕に圧迫された胸が歪んでぷるんと弾ける。


「むーーーっ!何そのけしからんおっぱいはーーーっ」

「ひゃっ?!せ、セシル様?な、なにを…」

「くそぉ…羨ましくなんかないもん!うらやま…羨ましいよぉっ!」


 心の叫びが本当の叫びになって浴場に木霊していたが、久し振りのお湯に浸かって湯だった頭では抑制が利かずそのままファムさんの胸も揉み尽くしていく。


「あんっ、せ、セシル様?も、もう少し優しく…ひぁっ」

「何を食べたらこんなに育つの?ねぇ?どうして私のおっぱいは小っちゃいままなの?」

「や、せ、セシル様?そ、それはわかり、んぅっ、ませんけど、そろそろ…あぁぅっ」


 なんだか艶っぽい声が混じってきたところで私も冷静になってやっと手を止めた。

 その後湯船から出て暴走したことを土下座で謝ることになったのは言うまでもない。

 尤も彼女は「セシル様、同じ女性同士ですので触ってはいけないとは言いませんがあまり強くなさらないでくださいね」と軽い注意しかしなかった。

 この人マジ天使です。また一緒にお風呂入ったら揉ませてもらおう。…だって自分にはないんだもん。


「それでは体を洗って出ましょうか」


 ファムさんが洗い場で白い粒のようなものを取って手で擦り合わせていくと少しずつ泡立ってきてそれを全身に塗って洗っていく。どうやら石鹸のようなので私も手にとってみる。

 匂いはほぼしない。固形石鹸のようなものだけど泡の手触りも良くない。領主様の家だからと言っても所詮は使用人ということか。


「これ、あんまりいい匂いしないね?」

「石鹸のことですか?ですが、領主様も同じ物を使ってらっしゃいますよ?わざわざ王都の王家御用商人から購入しているみたいですから、王族や上位貴族の方は皆さん同じだと思います」


 それが本当なら領主様はそれを使用人にまで使わせているのだからかなり太っ腹ということになる。ケチな感じはしたことはないから使用人を大事にする人なんだろう。もちろん、オスカーロみたいなのは例外としても。

 しかし現代日本にいた私としてはいくら余裕のない生活を送り続けていたとは言え、この石鹸は流石にいただけない。

 ファムさんを見ると髪も同じ石鹸で洗っている。しかもリンスがないから髪がキシキシしちゃうんじゃないかな?そんなことしたら髪がどんどん傷んじゃうし、お湯だけで洗う方がまだマシかもしれない。

 結局私も置いてある石鹸を使って体を洗うことにした。今すぐどうこうできる物でもないので仕方ない。それでも髪だけはお湯で洗うだけにしたけどね。

 洗い終わって体を流そうとするが当然シャワーなんてない。手桶で湯船のお湯を掛けることになる。

 そこで魔法で頭上に水の塊を作り出して温度を上げていく。湯船の温度より少し低め。そこからシャワーのようにお湯を吹き出させて自分に当てる。魔法疑似シャワーとでも言おうか。温度調整を熱操作ではなく炎魔法にして吹き出すお湯の発射口を少な目にすれば特異魔法として登録しておいてもいいかな?

 折角なのでその思い付きのまままだ登録数にかなり余裕がある特異魔法として残しておくことにした。登録名は「湯雨(シャワー)」。


「セシル様は本当に何でもできるのですね」

「ファムさんも使う?」


 自分の体を流さずにこちらを見ていた彼女にも登録したばかりの湯雨(シャワー)を使ってあげる。いきなり頭の上からお湯の雨が降り注いできた彼女は最初こそ驚いたもののシャワーの心地良い刺激にうっとりした後慌てて泡を流した。お湯の量は調整できるけど今のところは5分ほど浴びたら無くなる仕様にしてある。足りなければまた出せばいいのだしね。

 湯船でしっかり温まった私達はシャワーを浴びた後すぐに脱衣所で体を拭く。

 温風で乾かすこともできるけど、全部魔法で済ませてしまうのも味気ないからね。

 チラリと隣に視線を投げるとファムさんも体を拭いているわけだけど、いろんな意味で私より表面積が広いので時間がかかりそうだ。しっかり石鹸で洗ったからか肌はさっきより張りがあるように見える。当然あの二つの山脈も垂れ下がることもなく重力に逆らって頂がツンと上を向いている。

 ねぇ、物理法則さん?ちゃんと仕事しようよ?

 ファムさんよりも早く服を着た私は髪を手拭いで拭きながら彼女が支度を終えるのを待っていた。湯冷めすることはないけど、さすがに髪が濡れたままなのは寒いので魔法の温風を使って手櫛で梳きながら乾かしていく。さっきは魔法で済ませないと言ったものの、ドライヤーもないこの世界じゃ魔法に頼らないと髪を乾かすのも時間が掛かってしまう。


「セシル様?今度は何をされてるのですか?」

「うん?ファムさんが着替え終わるのを待つ間に髪を乾かしちゃおうと思って」

「はぁ…それは?」

「魔法で温かい風を出して髪に当てると早く乾くんだよ。ファムさんにもしてあげるね」


 自分に当てる分にはいろんな方向が風を当てることができるけど、他の人にも同時にやろうとなると流石にコントロールが難しいので彼女には一方向からの風だけで済まさせてもらう。その代わり少し熱めの風にする。

 ファムさんは斜め上から吹き下ろしてくる温風に驚きながらも私と同じように手櫛で梳きながら髪を乾かしていく。ショートボブの私と違ってふわっとしたボブディのファムさんの髪が乾くのは時間がかかりそう。早々に乾いた自分の髪に当てる風を無くして彼女には調整をかけながら風を当てて乾かしていく。ドライヤーと違うのは私が魔法で操作しているから髪の中まで風が通ってより早く乾くことだ。

 しかし柔らかくてふわふわした髪なのにさっきの石鹸で洗ったせいかやっぱり髪が少し傷んでいるし、何よりこのふわっとした感じを出すのは毎朝大変な苦労がありそうだ。

 その後髪を乾かした私達は来たときと同じように二人並んで私の部屋に戻ってきた。


「はぁ」

「どうしたのファムさん?疲れた?」

「いえ、そういうわけではありません。ただセシル様の魔法を知ってしまうと今までの生活に戻れなくなりそうで…」

「あはは…いきなりやりすぎちゃったかな」


 自分が便利であればいいと思ってやっていたけど、初日からファムさんには未体験なことばかり起きたわけだし気疲れさせてしまったかな?

 それでも自分の生活を向上させるためだしね。

 当然自重しなければならないのだろうけど…無理だねぇ。


 その後ファムさんも休むというので部屋でそのまま「おやすみなさい」と挨拶してようやく私は一人になれた。

 ここ数年は家族とギクシャクしていたせいもあって一人でいることが多く、ずっと誰かが側にいる生活を少し窮屈に感じているところがある。もちろんファムさんに悪いところなんか何もないので私のワガママでしかないけど。

 部屋で一人になるといろいろ考えてしまいそうになる。両親を思い出したり前世を思い出したりだけど、それ以上にようやくスタートできるかもしれない冒険者としての生活だ。リードの家庭教師という仕事もあるからそこまで傾注することはできないかもしれないけど、どういうものか知っておくのは大事だと思う。

 初日からオスカーロの相手をしたせいもあり波乱の予感もあるけど私の町での生活はこうして幕を上げ、緊張と疲れからかベッドに横になるとすぐに眠りに落ちていった。

今日もありがとうございました。

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