表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
255/590

第239話 殲滅戦7 進化

激動の一年も今日で終わりですね。

皆さんは今年一年どんなお年だったでしょうか。

素敵な一年であったことを願っています!

 バワーアップするための手段は私の手の中にある。

 ずっと保留させていたもの。

 英人種への進化。

 けれどじゃあすぐにでも、とは行かない。

 今は戦闘中だ。

 進化するのにどれだけ時間がかかるかわからないし、すぐにその力を振るえるのかもわからない。

 それに。


「…動き出したで!」

「やるしかないな! 戦盾剣『アテーナ』!」


 アイカは魔力を集中して、クドーは銀色の剣と盾を装備して邪黒塊に備えた。

 私も二人に倣い剣を構え、相手の動きをじっと観察する。

 その直後、邪黒塊から生えた棘の魔物とリザードマンがそれぞれの手を振るう。

 その衝撃波は凄まじく、周辺部保護をされているegg同士の戦闘であるにも拘わらず地面を削り私達へと迫ってきた。


「二人とも俺の後ろへ!」


 私とアイカは盾を構えたクドーの影に隠れるように避難すると地魔法で巨大な壁を作り出した。

 少しでも防げたらラッキーくらいにしか思っていなかったけど、邪黒塊の放った衝撃波は岩の壁をあっさり打ち砕きクドーの盾へとぶつかってきた。


「ぐぅぅぅおおぉぉぉぉぉぉっ!!」


 攻撃を受け止めるクドーが大声で吼える。

 凄まじい圧力がかかっているからか、盾で守っているはずなのに体中から血が吹き出していく。

 やがて攻撃が過ぎ去るとクドーは盾を落として地面に膝をついた。


「はぁっはぁっはぁっ! …な、なんだアレは…。あんな攻撃何度も受け止められん」

「…だったらしゃあないわな。守るより攻めるしかあらへん」


 クドーの影から出たアイカはすかさず魔力を集中して自分の胸の前に光の球を作り出した。


「聖魔法は得意やないんやけど、なっ! ディバインパイル!」


 アイカの作り出した巨大な光の杭が邪黒塊へと向かっていく。

 私も手を翳して魔力を集中させていくと、同じく聖魔法を組み合わせた新奇魔法をそれに上乗せさせるように放った。


「剣魔法 聖剣墜閃(クラウソラス)!」


 邪黒塊の真上に金色に光る巨大な剣が現れる。

 アイカの魔法が炸裂するのと同時になるよう手を振り下ろすと金色の剣は邪黒塊へと突き刺さった。


ギュイィィィィィィッ


 凡そ攻撃をしているような音とは思えない何かを圧縮しているような音が響き周囲を光りで埋め尽くした。

 やがて光が収まっていくとクドーが真っ先に口を開いた。


「やったか?!」

「こんのどアホッ! いっちばん立てたらアカンフラグ立てんなあぁぁっ!」


 そこへアイカの的確なツッコミが入る。

 いや、さすがに今のは私も「言っちゃ駄目でしょ」って思ったもん。

 そして案の定少しばかり体が千切れたり体の上に開いた大穴から黒いドロドロとしたコールタールのような血、らしきものを流す邪黒塊の姿が現れた。

 ダメージは通ってると思うけど、このまま押し切れるとは思えない。感じ取れる魔力はちっとも衰えた感じがしないからだ。

 私の感じたものは正にその通りで、邪黒塊の至る所についているいろんな口から白い粘液のようなものが嘔吐するように出てきた。

 その白い粘液は傷ついた場所へ流れこんでいくとその色を真っ黒に染め上げて傷など最初から無かったかのように治療してしまった。

 もう少しまともな回復手段と光景にしてほしいものだね。見てるだけで気持ち悪くなってきた。


「…あんなに回復しちゃうんじゃ、回復出来ないくらいの攻撃を続けなきゃいけないけど…」


 気持ち悪いものを見せられたから、というだけでなく青い顔をしていることを自分でもよくわかっていた。

 私ならさっきの攻撃を続けることは出来ると思う。さっき使った剣魔法で必要になるMPは魔人化で強化されているため約一千万。なのでまだ百発以上は撃てることになる。

 けど強い魔法を撃つにはやっぱり()()に相当する魔力の集中は必要になる。

 三人で波状攻撃をすれば邪黒塊に攻撃の隙を与えることなく一方的に攻撃し続けられるだろうけど…。


「ウチかてもうそないにMP残ってへんよ…」

「俺は体力さえ回復すればなんとかなるが…二人のように広範囲に強力な攻撃を出来る術がな…」


 アイカのMPも一般的な魔法使いから比べたら数百倍はあるけど、さっきのと同じくらいの威力で魔法を使い続けるなら精々あと数発くらいしか撃てないと思う。

 クドーの攻撃は基本的に単体相手には絶大な威力があるけど、相手が大きすぎたり複数の場合は非常に効率が悪く相性が良くない。

 やっぱり何とか進化するしかないかな。

 それがどれだけ邪黒塊に通じるかはわからないけど、起死回生の一手になることは間違いないと思う。

 勘でしかないけどね。


「何とか、出来るかもしれない」

「ホンマか? …けど戦帝化にしてもあんなんどうにもならへんやろ」

「ううん。前にユアちゃんのダンジョンで話してた英人種に進化すれば…」

「そういえば、そんなことがあったな。しかし今の今までずっと放置してたのか」

「むぅ…だって、普通の人間とは子ども出来なくなるって聞いてたから…」


 私だって普通の幸せくらいほしい。

 けど今ここで死んだら普通の幸せも何もあったもんじゃない。

 それなら一か八か、賭けてみたい。例えそれで一生独身だったとしても、アイカ達やユーニャと楽しく過ごせればそれでいいよね?

 無理矢理自分を納得させると以前やったように自分のステータスから転生ポイントの横にある▼に意識を集中して何度目かになる条件の確認をしてみる。


 転生ポイントが基準値を超えました。

 以下の特性を得ることが出来ます。

 種族人間から英人種へと進化可能。

 種族特性としてユニークスキル闘技、並行思考が獲得されます。

 身体能力、魔力が向上します。

 注意。下位種族と子を為すことは不可能です。

 上位種族とは可能ですが、技能継承のためには同一種族に限定されます。

 進化しますか?


 うん、ここまでは前も見た。

 そしてこの進化に関することだけは何故か質問に答えてくれる機能がついてる。

 前に一人でそれを確認したことがあるけど、もう一度それを聞いてみる。


 問 進化した場合レベルやスキルはどうなるのか。

 解 進化した場合レベルはリセットされます。

   スキルレベルは半減します。

   種族特性に合わないスキル、タレントは消去されます。

   但し資格を有する場合は免除されます。


 問 資格とは。

 解 神の祝福。

   管理者。

   管理者代理。

   管理者代理代行。

   管理者の資格。

   以上の五つです。


 問 見た目は変わるのか。

 解 人間から英人種への進化ではほぼ変化しません。

   一部英人種へ最適化されますので、髪や瞳の色、体型が変わることがあります。


 問 私が進化したらどう変わるのか。

 解 確定していません。

   現時点での解答は不可能です。


 と、ここまでは前も見たことがある。

 ここから更に今必要なことを確認してみる。


 問 進化に必要な時間はどの程度か。

 解 進化に要する時間は通常三分程度です。

   資格や最適化の程度によって増減します。


 問 進化後、すぐに戦闘出来るくらい動けるのか。

 解 個人差があるため明確な解答は不可能です。


 三分か。

 問題は進化後、すぐに動けるかどうかだけどこればっかりはやってみないとわからないってことだよね。

 人物鑑定用の白いボードにも視線を向けながら、邪黒塊の攻撃を何とか凌いでいく。

 クドーの盾で受けてしまうと彼のHPがどんどん減ってしまうのであまりやってほしくないけど、アイカにあの攻撃が直撃したら恐らく一撃で戦闘不能、最悪死んでしまうかもしれない。

 …死…。

 自分で考えたことなのに、『死』という言葉を考えるだけで村で見てきた凄惨な光景が脳裏を過る。

 駄目だ。

 絶対に。

 もうこれ以上大切な人を失いたくない。

 私の中に残っているMPの大半を注ぎ込み、この場で新しい魔法を作り出す。

 レジェンドスキル新奇魔法生成を持っているからこそ出来ることだけど、他の人も使えるようにすることは出来る。だからこそ「剣魔法」とか「爆発魔法」「電撃魔法」とか付けてるんだけど…今のところ使用するMP量が莫大すぎて私かアイカくらいしか使えないと思う。

 ちなみに今作ろうとしてる魔法に関して言えばアイカでも不可能なくらいのMP量を消費する。


「新奇魔法 封神縛絶陣(セマンテリオン)!」


 急激に大量のMPを消費したせいで一瞬クラッとするが邪黒塊を取り囲む白い箱状の結界が作り出された。

 あれならちょっとやそっとのことじゃ壊れたりしないはずだ。

 それこそ隕石が直撃しても壊れないくらいの強度を想像したからね。

 例え邪黒塊がeggを六個持っていようがそこまでの攻撃力はない、と思いたい。

 だからこそこの結界はあまり長くはもたない。


「アイカ、あれで多分三分くらいは身動き出来ないと思う。今から進化してみるけどもし三分経っても私の進化が終わらなかったら…なんとか凌いで!」

「なんとかて…無茶苦茶言うなや…」

「大丈夫だ。必ず何としてでも耐えきってやる。セシルの進化が終わるまで守ってやる」

「クドーまで…。あぁっもうっ!」


 ぐしゃぐしゃと頭をかきむしったアイカは自分の両頬をパンっと小気味よく叩くと躑躅色の瞳になって私を真っ直ぐ見てきた。


「ほんならウチらが何とかしたるさかい、セシルはさっささと進化せぇっ!」

「うん。よろしくね!」


 私は二人に頭を下げるとその場から百メテルくらい後ろに下がった。

 このくらい離れていれば少しの攻撃で巻き添えを食らうこともないと思ったからだ。

 そして離れたところでもう一度自分に人物鑑定を使い白いボードを浮かび上がらせた。

 転生ポイントの横にある▼に意識を集中させ、さっき見た進化についての説明を読み流す。


 進化しますか?


 何度も問われたこの言葉。

 そして今回は躊躇いなく、はっきりと答えた。


「進化する!」


 口に出さなくても良かったのかもしれないけど、自分の意思ではっきりと決意したことを自分にも言い聞かせたかった。

 今までも十分強いつもりだったけど、これからはもっと強くなるかもしれない。

 もう普通じゃいられないと思う。

 だから今までの自分へさよならの意味も込めて、叫んだ。


「強くなりたい!! もう大切な人達をなくさないように、今よりもっと! 誰よりずっと! 強く、なりたい!」


 白いボードに浮かんだ文が、私の決意の顕れだった。


---種族進化が承認されました。英人種へと進化します---

今日もありがとうございました。

年末年始毎日投稿中です!


今年も一年間水咲晴真の拙い文章をお読みくださいましてありがとうございました。

そしてセシルにお付き合いいただいて本当に感謝しております。


それでは皆様良いお年をお過ごし、またお迎えくださいませ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ