chapter0-1:普通を望む世界
初めて――を壊したのは、幽閉されてから1ヶ月後。
ターゲットは、産まれたばかりの赤ん坊だった。
あの子も、私の仲間だったのに……。
なのに、あの子は私のせいで、小さな冷たい塵と化した。
それからの17年間で、私はいくつの塵を作り出したのだろう。彼らは私の色を流しながら、憐れむ様に朽ちてくのだ。
カリーナ暦67年。
物語はここから始まる。
この世界は、正常を望んでいた。私からしてみたら、何が正常で何が異端なのだろう。
世界は3つの大陸から成り、それを一つに纏めているのが、セントラル-カリーナ-だ。
全ての理がここから成り立ち、そして思うがままの国。
私はそこに居る。
誰にも知られず、誰にも認められず、暗い塔で存在している。
唯一世界を覗けるのは、塵を作り出す時のみ。体を清め、この時だけ衣を纏い、そして言われるがまま、塵を作り出す為だけに赴く。
逃げる事はしない。私が逃亡する事は、――を奪われるから。
………―――とは、何だっただろう。
まぁ良いや。どうせ私は、化け物だから。
彼等が固執する、平凡からは欠け離れた化け物。
この眼も、この体も、流れる血も、全てが化け物だから―――