刑務所205号室にて
就寝前の会話の一幕
「吉田、まだ、起きてるか?」
斉藤は、吉田に声をかけた。
すると吉田は、少し眠そうな声で答えた。
「起きてますよ、斉藤さん」
それを聞くと斉藤はつぶやく様に話を始めた。
「俺な、シャバに出たら、新興宗教を開いて神様になって、
信者を集めて、金をかき集めては、法人税を誤魔化して、金儲けしようと思うんだ。」
吉田はそれを聞いて啞然とした。
そして続け様に答えた。
「それって危険じゃないですか?
下手したらまたここへ逆戻りですよ?」
斉藤はそれを聞いて、冷静に答えた。
「俺たちみたいな犯罪者に帰る場所なんてここぐらいしか無いじゃないか?
それまでの間好きな様に生きていたいんだ」
吉田はそれを聞くとやるせない気持ちになった。
「斉藤さん、俺にはここを出たら帰りを待っている妻と子供が居るんですよ。
今度こそは真面になって堅気の生活を送ろうと思っているんですよ、
分かりますか?斉藤さん」
吉田の言葉を聞くと斉藤は複雑な気持ちになった。
そして、吉田にこう答えた。
「お前は良いよな?帰れる場所があって、俺には無いんだよ。
帰れる場所がよ、帰れる場所がよ
じゃぁな吉田、おやすみ」
そして斉藤は、布団をたぐり寄せと眠りに就いた。
そんな、ある日の夜の205室の会話
この二人には外に出れたら幸せが本当に待っているのかな?
どう思います?