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 あれ、何だか息苦しい。今度は煙だらけで周りが見えない。何処かでバチバチって火が燃え盛る音がする。アレ? ココ、ドコだっけ? カントクゥ~、カントクゥ~。マネージャー、よしこセンパイ? 耳に入るのは火の音だけ。まだ意識がモウロウとしていて、思考が上手く働かないんだけど……何がどうなってるの。今度こそ撮影? だとしたらカントクゥ、もうガチで死にそうだから止めろやゴルァ。


「……ぃ……」


 誰かの声がした気がする。どっかで聞いたことある声。誰だっけ、誰だったっけな。思い出せないけど、この声は不思議と私を強気に、そして自然体にさせてくれるそんな声。


 ……けなくっちゃ。重たいまぶたを半分開けて、咳こんで余計に煙を吸いながら、私は立ち上がっていた。体が全体的に重力に押しつぶされそうな感覚で、体を曲げながらおばあさんの様に歩いていた。ドコに向かってるんだろう。


 何かにつまづいてハデに転んだ。アゴが地面に直撃、超痛い。何とか起き上がって手探りで足を引っ掛けたモノを探す。この柔らかい感触……人だ。あの声、そしてこの感触。手で煙を少しでもはける。真っ白な煙に隠されていた素顔。それは。


――ガンッ。


 鈍い音がした。と、同時に動けなくなる。痛みも衝撃も強い。


 重力以上に重たいソレは、多分ソコらにあった家具かな。なんて、考えてる場合じゃないんだっけな。ヤバい。頭、何かあったかいのが流れてる。彼の上に重なった状態で、私は……。

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