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 やだ~外より暗いしぶっきみぃ。なんかコウモリとか出て来そう。守って、私のナイト様っ。なんて言っておじ様の手を掴む。あ、息が上がってる。音が無いからバレバレなんだゾっ。


「……本当に、何か出て来そうですね。気晴らしに、何か話しでもしませんか?」


 お話し? まぁ良いけど~。そうだね、ずっと黙って歩くのはやだし、何か話そっか。で? 面白い話持ってるの?


「あ、いや。話すのは得意な方ではないので。ただ、貴方のことをお聞きしたいと思って」


 あらまぁ。もう私のトリコになったの? でも、私はみんなのアイドルだからなぁ。


「アイドル? そうか。この異常な光景に驚かなかったのと言い、さっきの発言と言い。何かあるとは思いましたが。芸能関係者の方でしたか」


 嘘でしょ知らなかったの!? だって結構最近巷でブイブイ言わせてるあのユニットの一人なのに! 貴方テレビ見てる!?


「ああいや……実は私、此処に来てからと言うものの、若干の記憶が欠如しているもので。何だか、貴方はとても見覚えがある気もしてたのです。だから、恐らくテレビくらいは見てたかと」


 ああ、そう言われれば私も記憶が途切れ途切れだな。どうしてココにいたかも、その前後の記憶も無いし。気持ち悪い感じ。


「そこで、記憶の何処か片隅にある……気がする、貴方の話を聞きたいのです。何か、大事なことを思い出せそうな気がするから」


 うん。私もずっとモヤモヤしたのがあるのは嫌だし、お互い話すのは悪くないかも。


「有難う御座います。では早速、貴方の名前、アイドル名など教えていただけますか?」


 えっとね~……アレ? うーん、ごめんっ思い出せないや。他に無い?


「ほぉう。では、年齢は?」


 思い出せないなぁ。


「……本当ですか?」


 教えたいのになぁ~なんでかな~思い出せないんだなぁ~ごめん、本当にごめんね~。


 実は覚えてたけど、教えたくないから全力で流す。


「では、好きな男性のタイプは?」


 おおっ、流れるままに本当に自分が聞きたいことを聞いて来たなぁ。このこのぉ。好きな男性のタイプは、優しい人ですっ!


「優しければ、容姿や経済力は必要ありませんか?」


 もちろん! お互いの愛さえあればそんなもの、乗り越えられるよ!! 両手を合わせ、天に祈る様に宙を見上げる。ああ、絶望的に真っ暗。


「そうですかぁ? では、イケメンで財閥の坊ちゃんだけど人を物の様に扱う人と、頭皮が薄い上に、糖尿病予備軍で借金三昧だけど、貴方を真剣に愛してくれる人。選ぶとしたら?」


 うわっ、隣のお腹も真っ暗だ。そんな極端な質問されたら、フツーにイケメン坊ちゃん選ぶに決まってるじゃない。


「じゃあ、顔や権力は大事だと」


 ……えーっと、それもちがうかなーっ。


「何を躊躇っているのです? 此処には私と貴方、二人だけなのですよ」


 顔はイケメンであればあるだけ良いし! お金は億くらいは欲しいよね!! 性格はぶっちゃけ二の次だけど、やっぱり馬鹿にされたりいじめられるのだけは許すまじだから、やっぱ全部無いとダメだと思う。


「素敵な笑顔です」


 真っ暗で顔なんて見えないはずなのに。何だか見透かされてるみたいで、チクッと胸に刺さった。


「まぁそんな感じで答えて下さい。普段はマニュアル程度のことしか言えなくって歯がゆいことでしょう?」


 だね。トンネル出たらそこそこの金やるから、このことは誰にも言うなよコノヤロウっ。


「アイドルとのことですが、やっぱり結構コスプレとかしました? したとしたら、どんなのしました?」


 うんしたよ。制服系が多かったけど、きぐるみとかも着たなぁ。水着とかヘソ出し系も多かったけどさ、正直お腹壊しやすいからほんとやめてほしいんだよね。カウガールとか何考えてんだよ、今時牛の世話してる人ヘソ出してねーだろって。何ならオーバーオール着せろバカヤロウ。


「お腹弱かったんですか? じゃあ結構体調管理大変じゃありませんでした?」


 トウゼン! 収録直前にトイレ行ったこととか何度もあるし、ライブの途中、なにげな~くみんなの前からいなくなることも結構やったな。天使のきまぐれって設定でファンは喜んでくれるけど、お腹を壊した時の私なんて悪魔……いや、鬼神でしか。


「それ以上は水に流しておきましょう、天使。アイドルと言うだけやっぱり可愛いフォルムですが、肌にはやっぱり気遣っていらっしゃる?」


 貴方記者みたいなこと聞くのね。ソレ何回も答えたんだけどな~。ま、よく答える方は、じ・つ・はぁ~、何にもやってないんですよぉ~!! とかだけど、本当に何にもやってないんですよ? ってか、他の子とか結構体に気遣っててうわ~まじかわいそ~って感じ。私本当に何もしなくてもこの美貌なの!


「しかし、トイレには頻繁に駆け込むと」


 一つくらい欠点があった方が萌えるでしょっ!


「自分を花にたとえると?」


 バラはちょっとファンが近づけ無さ過ぎてアレだしな~。でも、たんぽぽはちょっと近すぎて無いわ。程良い距離感の花なら何でもなれるんだゾっ!


「では、屁糞(へくそ)かずらで」


 良いワケねーだろ! 何だよその名前、ってかそんな名前の花初めて聞いたわっ!! あたしゃチューリップなんだよ!!!


「花言葉は失われた愛ですね」


 決めつけないでいただける? むしろアイドルなんだから、ファンからの愛にまみれちゃってるんだからねっ。


「次はー……」


 無視かよ。


「その髪型可愛いですねーツインテールですか? なんか巻いちゃってますけど。ロールですかね? それって自分でやってるんですか?」


 自分でだよ。他の人に任せるとたまにアレンジ入れようとする人いてさ。でも、やっぱアイドルはキャラクターとかも重要じゃん? この髪型あっての私でもあると思うの。まぁ下ろしても可愛いんだけど、他の子とカブるってのはやっぱコワいからさ。


「意外と考えてるんですね。でも、休日はさすがに違う髪型でしょう?」


 まぁね。休みの日まで他人に媚びたくないから。休みの日は友達と出かけたり、スマホいじったり。たまに本屋行って雑誌見たりもするかな。一応ファッションとかポーズとか参考に。


「スマホで何見てるんですか?」


 別に何でも良いじゃん。ゲームしたりお笑い見たりするよ。バラエティトークの参考にしたいから。まぁ、お笑い専門じゃないから笑うだけで全然参考に出来ないけどね。


「へぇ。勉強熱心なんですね。そう言うとこ、もっと出してけば良いのに」


 えー、出して仮に好感度上げたってさ、喋る力無かったらやっぱり飽きられちゃうんだよ。世の中に。だったら、一部でもガッチリファン掴んで、私を支持してくれてるファンの為にもなるべくみんなの想像している世界観は壊さない様にしないとねって思う。


「本気ですね~。……此処でだから聞きますけど、やっぱりこの先結婚とか考えてます? 考えてるとしたら、俳優やスポーツ選手と?」


 イケメン金持ち大大大好きだけど、別に一般人でも全然大丈夫だし。だって、私が結構稼いでるじゃん? 借金さえ無くって、相手が愛してくれたらフツーに幸せだと思うんだわ。


「聞けば聞くほど、始めとキャラ違って見えますね」


 アンタが本当のこと言えって言ったんでしょ! ああそれとね、私が売れ出してから売れない若手とかが寄ってくる様になったのよ。イケメン連れてさ。でもなんかそう言うの裏がアリアリでウザいじゃん? だからちょっと芸能界が嫌ってのもある。言っとくけど、全員が全員そう言う人ではないから、これ以上探るのはやめといてよね。


「探るなって、自分で言いだしたんですけどね」


 此処最近はずっと猫かぶってて、こんなに自分をさらけ出したの久々だったな。友達といても、変なことチクられたくないから余計なこと言わない様にしてたし。何だかスッキリした。


 丁度気持ちも落ち着いたところで、トンネルの先が見えてきた。ああ! 嬉しくってつい走った。


「あっと言う間でしたね。もう少しお話聞きたかったですが」


 他言しなかったらこれからも会って話してあげるよん。もし仮にアンタとの熱愛報道出たら、絶対お友達ですって言ってもらうからね。


「高くつきますよ?」


 いや~なおじ様。じゃ、とりあえずさよならっ!! ばいびーっ。


 笑顔でおじ様に手を振って、私達はトンネルを抜け出した。

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