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 落っこちた先は意外と明るかった。それは晴れの日の空の様な明るさじゃなく、マグマが煮えたぎっているかの様な真っ赤な人工の光。マグマは無いけど、全体的に汗ばんじゃう様な熱さで、周りはごつごつとした岩だらけ。落ちた時よく怪我しなかったよなぁ。遠くの方から、トントンカンカン音がする。


「ここ、入口。道が2つあるけど、繋がる先は一緒だから、1人でも十分楽しめると思うよ」


 適当に説明を付けて帰ろうとする少年の手をギュッと握る。少年が如何にも嫌そうな顔をしているけれど、知らんぷり。


「行くんなら、早くして」


 はぁい! 少年のお望み通り、私は彼の手を引きながら音の方へと走って行った。


 ・ ・ ・


 うわ、もっと熱い! 目の前には、真っ赤になった鉄を叩く、30~40くらいの数の真っ黒なバイキンみたいな子達。燃えたぎる様な熱さは、この子達が鉄を叩いているからだったのね。


「ボクも、こうやって叩いてた」


 そうなんだ、その割に細い体してるけど……。


「ご飯、生きてける最低限しか出なかったから」


 それは流石に可哀想。ここの人、一体何考えてるのかしら。それにしてもボク、このバイキンちゃんの中で1人?


「うん。人間で来たの、前例無かったみたいだから」


 へーそうなんだ。あそこの空間ってさ、やっぱり生死の境みたいなとこなんでしょ? ボク、今も生死をさまよってるってことなの?


「いや。もう、あっちの世界での存在は考えられない。戻るのに時間がかかりすぎたから」


 ボクも変わった子だよねぇ、まっすぐトンネル抜けようとしないなんてさ。


「そりゃあ、戻りたかったよ。でも……」


 でも?


「今、言う気分じゃ無い」


 困った子だね~。それじゃあもう少し進みましょうか。


「あ、駄目」


 1歩踏み出すと、1匹のバイキンと目があった。途端にバイキンは立ち上がり、悲鳴にもにた奇声を発した。声を聞いて奥の方からやってきたのは、此処にいるバイキン達のでっかいバージョンみたいなお方。仕切っている方かな?


「いずれこうなるとは思ってたけど、もはやとは」

「キキキクキケケケ!」


 なんかよく分からない言葉を発してる。そこそこの言語を知っている私でも全然わからない。まぁ、姿がバイキンの時点でそうなるか。適当にキクケを言ったら会話が通じるかしら?


 キッキキ、クク、ケー!!! 手を鳥の様にバタつかせながら、私はバイキンの親玉に言ってみた。


「キキーッ!?」

「……学者さん、嫌い」


 よく分からないけど、バイキンの親玉に1発ビンタをされた。変なこと言ってたのかなぁ。それとも適当に喋ったのばれちゃった? ビンタをされた後、親玉は片手を上げ、子分達を呼び寄せる。子分達がやってくると、皆で私と少年を持ち上げた。


「……あれ程戻ることを望んでいたのに、コッチに降りてくるとはな……馬鹿な男だ」


 普通に喋れるんかいっ!!!


「巨乳よ、何事も見た目やありきたりな考えに縛られていては、先になど進めないぞ。そう。そう言った当たり前の観点からずば抜けた私こそ、(しもべ)からリーダーへと昇進した私」


 そうねぇ。確かに今の考えは間違っていたわ。日本語、英語、中国語……エジプトの言語とか、使えるものは他にもあったはずよね。もし、次から知らない言語を喋る人がいたらどの言語で返そうかな……。


「……お前等、今すぐ蛇王様の元へ連れて行け!!」

「キキーッ!!」


 親玉の合図によって、私達は更に奥へと連れて行かれた。


 ・ ・ ・


 赤い食材ばかりの調理台、赤い服ばかりの服を作る所、仕切りの無い、赤い監獄って感じね。もう少しゆっくり見てたかったけど、どうやら向かう場所が違うみたいなので、一瞬で通りすぎてしまった。あ、今赤と白と黒のテレビあった。しかも普通に通販番組流れてた。結構過ごしやすそうじゃない?


「結構過ごしやすそう、とか思ってない?」


 あら、そんなに見えちゃった? いっやだぁ。やっらしい。


「……キモい。言っとくけど、テレビ見れるのは力のある人間だけだし、他に人間がいない中過ごしていくのは相当ツラいよ」


 確かにね。生活するなら、同じ生物との方が良いかもしれないわよね。そうじゃないって人もたまにいるけど。


「まぁ、学者さんも戻るなんて暫く無理だろうけど。そのまま此処にいて、本当の自分はいなくなっちゃうかもしれない」


 ふぅん? でも、そうはならないんじゃないかしら。


「どうして?」


 私は、絶対に帰らないといけない理由があるから。じゃ、駄目かしら?


「……どうだろう」


 今まで無関心そうだった少年が、ほくそ笑みながらこっちを見た。

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