八雲くんと夏目くん その13。
八雲くんと夏目くん その13。
八雲 「夏目、『壁ドン』って知ってる?」
夏目くん「煩くして隣の部屋からドンドン叩かれるやつだな」
八雲 「ちがうよ! あ、いやちがくないけど、ちがうよ!」
夏目くん「どっちだよ」
八雲 「俺が聞いてるのは、今流行ってる方の壁ドン!」
夏目くん「流行ってる方、と言われてもな」
八雲 「壁を背にして立ってる女の子を、男が壁に手をついて女の子を囲うようにするシチュエーションのことだよ」
夏目くん「壁に手をつくから『壁ドン』か。よくできた言葉だな」
八雲 「女の子はこの状況にドキドキするんだって」
夏目くん「なんでだ?」
八雲 「男らしさを感じるみたいだよ」
夏目くん「それって好きなヤツだったらってことだよな。嫌いなヤツにされたら問題だよな」
八雲 「そりゃあ大問題だろ。ってか犯罪に近いだろ」
夏目くん「暴行罪、脅迫罪……そんなところか」
八雲 「うわぁ……」
夏目くん「男はそこを見極めて壁ドンにトライするんだな。見誤ったら犯罪者行き。なかなかのチャレンジャーじゃないか。まさに男らしい」
八雲 「いや、男らしいの意味の捉え方が違うから。そこじゃないから」
夏目くん「男と女では認識にけっこうな温度差がありそうだな。共感するのは難しそうだ」
八雲 「ほんとに!『壁』がつくだけに、壁が高いね!」
夏目くん「……」
八雲 「……」
夏目くん「とりあえず、もう一回言ってみてくれ」
八雲 「言わないよ! 夏目バカ!!」
かべー。
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