八雲くんと夏目くん その1。
八雲くんと夏目くん その1。
八雲…自分のホームページで小説を投稿しようと思ってる男の子。
夏目くん…八雲のお友達。
八雲 「これ、今度投稿する小説。読んで」
夏目くん「ん」
【夏目くん、原稿用紙の束をすごい勢いでめくり上げる。】
八雲 「ちょ、ちょっとちょっと!! 読んでる? 本当に読んでる!?」
夏目くん「読んでる。速読してるから黙ってろ」
【八雲、お行儀よく待つ。そして紙が最後までめくり終わる。】
八雲 「……お、おもしろくなかった?」
夏目くん「聞いていいか?」
八雲 「う、うん。なに?」
夏目くん「なんで主人公の男は一人なのに、メインの女は6人も出てくるんだ? 一体どいつがヒロインなんだ?」
八雲 「み、みんなヒロインだよ!」
夏目くん「6人全員がヒロインだと? なんでそんなに必要なんだ」
八雲 「読者がどの子か気に入ってくれる子がいるかもしれないだろ」
夏目くん「数撃ちゃ当たる寸法か」
八雲 「そういう言い方やめてくんない?」
夏目くん「じゃあ、このやる気のない主人公はなぜこんなにも無駄にモテるんだ? どこにこの男の惹かれる要素がある?」
八雲 「無口でクールだけど、優しいところだよ!」
夏目くん「クールとやる気がないは違うぞ。こいつは常に後手後手で問題が起きてからじゃないと動かないじゃないか。ただの使えん男だぞ」
八雲 「問題が起きないと話が進まないだろ!しかもちゃんと解決してるし!」
夏目くん「いなくなったオカメインコを見つけた所か。そういえば、コイツ一発でインコの場所を探し当てたな。闇雲に走って一発で見つけるなんてエスパーか?」
八雲 「……っ!! 一生懸命名前読んで探したからすぐに見つかったんだよ!」
夏目くん「そんなもん飼い主のヒロインのえーと、なんか黒い髪の女がとっくにやってるだろ」
八雲 「サラちゃんだ!」
夏目くん「そうだ。そのサラチャンだ」
八雲 「サラサラ黒髪だからサラちゃんだよ!」
夏目くん「聞いてない。そもそもヒロインの違いが全然わからん」
八雲 「!!」
夏目くん「主人公はやる気がないわ、ヒロインたちの書き分けはできてないわ、話はご都合主義だわで、全くもって俺には理解できない」
八雲 「……つまり話は……」
夏目くん「つまらん」
がんばれ八雲くん!