滅亡の日
この小説は『ESCAPE TO THE SKY☆彡』という曲に影響されております。というか、モチーフにしております。
地球滅亡の日。結局、人類はなす術もなく迎えてしまった期日。
各国の首脳が所謂“宇宙人”に課せられた、理不尽な条件を飲むことができずに反発をし続けた結果。ほとんど無関係な私たちを巻き込む大事件へと発展した。
――これらの条件を飲んで降伏しなければ、地球を滅ぼします。
そんなやり取りが交わされていたことが、数日前に発表された。もちろん人々は大混乱。でも、意外と大事件すぎてすんなりと受け入れてしまえた。現実味が湧かなすぎて。
その日以来、残された人生を謳歌するために、やりたいことをやることが許された。学校はないし、仕事もない。やりたい人がやってるだけ。
それでも、ある程度の生活は成り立っていた。不自由がないわけじゃない。だから、不機嫌なのもそのせいじゃない。
不機嫌なのは、私のやりたいことが分からないし、一番の“願い”が叶わないからなのかもしれない――
「――また、会えなかった……」
ラストチャンスだった。地球滅亡の日にどうするか聞かれて、やりたいことがうまくできない私は、彼といたいって答えた。彼って言っても、恋人じゃない。私のただの片想い。
でも、彼は私のことが嫌いみたいで。「これ以上寄らないでくれるか? お前といっしょになんか死にたくない」って。
でも、他の願いよりも一番現実味がある願い……いや、唯一現実味がある願いだと思っていたから。諦めることなんて、できなくて。しつこいのは分かってる。――でも。
結局、願いは諦めるしかないって結論に至って。
やることがないから、他の人たちが何をやっているのかの観察をするしかなかった。
「……しゃっぁあ! 俺の勝ちだ!!」
「だぁぁぁああ! また負けたぁ……。ちくしょう、もう一回だ! もう一回!!」
右見れば、ゲームで対戦している男子たち。
「もう、最後ね」
「そう、だね」
左見れば、言葉では悲しげだがいちゃつくカップル。叶わないから、つい言いたくなることもある。リア充はぜろ。……自分もリア充になりたかったくせに、何て言う矛盾。
足早に公園を通りすぎれば、その先に丘がある。誰もいない、だだっ広い丘が。
最後の日、いつ滅亡が来てもおかしくない。それなのに、誰もいないここに来てしまった。
寂しくなるような、そんな丘に。
「……ってぇ、なんかいるし」
振り返ると彼がいた。偶然にしては出来すぎてるんじゃないかって思うほど。
何も言えずに、沈黙が続いた。
「……チッ」
彼がきびすを返して、どこかに行こうとした――その時。
グラリと視界が揺れた。
「きゃぁあ!?」
「うわぁ!?」
ついに始まった。丘から見える景色には、オレンジ色の閃光が混じっていた。空から降り注ぐ閃光が、町を変えていく。その度に丘が揺れる。
大きな揺れに、立っていることすら辛い。立っていられない。
また大きな揺れが私たちを襲った。その揺れで、足元が崩れ落ちる。
「――!」
体が落ちていく。
「――……くんっ!」
反射的に手を伸ばしてきた彼の腕は、私の腕をかすめて宙をつかむ。
太陽みたいだった彼の姿が消えていく。
「――……っ!」
彼の声が私の中に響いてる。走馬灯のように、私を囲む過去の記憶が走り去っていく。
記憶が駆け抜けていくなかで、一つにこの人生に対する評価がまとまっていく。
……私が求めたのは、こんな人生だった?
この先、何をしたいかだけ夢想して、夢を叶えるために努力してた? 目先のことしか考えてなかったんじゃないの?
こんな結末になったけど、才能がないって諦めてたんじゃない?
いつ死んでもいいように「面白かったって、笑って死ねるような人生を送る」なんて偉そうなこと言っといて、いざこうやって死ぬときになったら達成できてないじゃない。
後悔だけで、面白かったなんてお世辞でも言えない人生だったんじゃない?
これで……良かったのかな?
最後の日に彼を追いかけて。ギリギリでも夢を追いかけるべきだったんじゃないかな?
……だって、もしかしたら滅亡なんてデマで、夢から覚めて、滅亡しない可能性もあったんだから。その可能性にかけてみるべきだったんじゃないの?
「……こんなの、満足できる人生じゃない……!」
後悔しないって、宣言していたはずなのに。夢を忘れないって、宣言していたはずなのに。面白かったって笑うって、宣言していたはずなのに。
なんで、こんな人生選んだの――!
私の手が空中で、空振る。
「……え?」
私は落ちていなかった。確かに落ちてはいたけど、それはベッドからで、空を落ちてたわけじゃなかった。
「……夢?」
夢落ちなんて。物語りであると、萎えちゃうパターンじゃん。
そんなことを考えても、私の口元はにやけていた。
変な夢だったけど、大切なことを思い出せた気がする。
他人よりスタートラインに立つのが遅いなら、それをカバーするだけの努力が絶対的に必要。才能や運があったとしても、努力は絶対に必要なこと。だから――。
「――がんばらなきゃ。面白かったって笑って死ねるためにも、後悔しないためにも」
――夢を叶える。きっと、大丈夫。できるよね。努力があれば。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。作者のMuMayです!
前書きにも書いたとおり、『ESCAPE TO THE SKY☆彡』という曲をモチーフに書かせていただきました。自分の文章で書いた場合は、投稿可能でしたよね? ちょっと、心配してます(笑)
で、中身についてなのですが。私の人生の目標……というと、ちょっと大げさですが、そのようなものに関して、今の私の現状を書いてみた、というようなものです。目標自体、ある歌詞の一部だったりしますが、これを目標として生きるには私にあっているような気がします。
よく分からないオチになってしまったのが申し訳ない作品ですが、よろしければ評価を付けていってもらいたいです(何かを期待した目)