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LOVE AK  作者: 鳥峨家大希
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ナイトウォークラリーでの出来事

 林間学校1日目。夜にはナイトウォークラリーというものがある。どういうことをするのかというのはほとんどの人がやったことだと思うので、説明は省略しても構わないだろう。分かれ道などピンポイントの地図を見て、歩く。簡単にやることはこんなことだ。ただ、それが昼か夜かというだけである。

「梓。一番先頭あるいてね。班長。」

「・・・。」

早瀬(はやせ)さんと薗田(そのだ)さんは上機嫌にそう言う。けど、黒崎(くろさき)さんの顔つきがさっきからおかしく思えた。もしかして、お化けは苦手なのだろうか。正直僕も苦手な方だから、何とも言えないのだが・・・。

「もしかして、お化けでも出るって思ってるのか。」

佐奈蕗(さなぶき)がそう言った。

「ち・・・違うって。ただ、みんなをまとめられるかなぁって緊張してるだけで・・・。」

100パーセント怖いっていうの丸わかりです。へぇ、黒崎(くろさき)さんってこういうもの苦手なんだ。なんか意外。

「今でも、そんな心配してるわけ。進歩ないねぇ。」

「うるさい。い・・・行くよ。」

黒崎(くろさき)さん。無理しなくてもいいのに・・・。)

そう思いつつ、後ろを歩いていった。

 しばらく歩くと最初の分かれ道。

「えーと・・・。」

黒崎(くろさき)さんは持っている懐中電灯を地図に向けて、今どの位置にいるかということを確認する。

「こっちだね。」

「えっ。正しい道はこっちだよ。梓。怖さで考えることもくるってるの。」

「・・・。別に怖くないんだから、ただ間違えただけよ。あたしだって万能じゃないんだから。」

黒崎(くろさき)さんは顔を赤くして、そう言った。こんな一面もあるんだ。黒崎(くろさき)さんと一緒の班になって結構黒崎(くろさき)さんのことがわかる。

「ただ間違えただって。」

「ヒャクパ考えられてないじゃん。」

佐奈蕗(さなぶき)たちのそういう声を聞くとかわいそうな気もする。

 次のポイントまで歩いていくと僕はあることに気付いた。黒崎(くろさき)さんの足がガクガクふるえているのだ。さっきまでは気付いてあげられなかったけど、本当に耐えるので精一杯なのだということは分かる。

「えーと。こっちか。」

「梓。また間違えた。こっちだって。」

(・・・。もうこんな顔皆に見せられないよ・・・。)

黒崎(くろさき)さんが固まっている間に薗田(そのだ)さんが地図を取り上げて、早瀬(はやせ)さんが懐中電灯を持った。そして、我先にと歩いていく。その後ろに佐奈蕗(さなぶき)篠原(しのはる)が続いた。

黒崎(くろさき)さん大丈夫。」

「えっ。大丈夫だって。・・・安希たちの前じゃああいってるけど、本当はみんなの言うとおりメチャクチャ怖いんだ。どうもあのことを思い出しちゃってね。」

「あのこと・・・。」

「行こう。ちょっと皆と遅れとっちゃったし。」

僕は黒崎(くろさき)さんに「あのこと」は聞かないことにした。それが黒崎(くろさき)さんにとってすごく嫌な記憶になっているというのが後の言葉で分かったからだ。

「もう先にザカザカ歩いていくからはぐれちゃったじゃない。」

そう言う黒崎(くろさき)さんの声を聞いていると誰かに腕をつかまれた。とたんに声を出しそうになったのだけど、口を抑えられる。

「・・・。」

懐中電灯が足元を照らさなくなったことに気付いて、

鳥峨家(とりがや)君。・・・どこ。・・・どこ・・・ねぇ、どこ。」

半泣き状態の黒崎(くろさき)さんの声が聞こえてくる。

 それにゆっくりゆっくり早瀬(はやせ)さんと薗田(そのだ)さんが近づいて、

「お化けぇだぞぉ。」

「キャアァァァァァァァァァァ。」

2度目のごめんなさい。


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