どうしよう
授業が本格的に始まるといつも座学の時には黒崎さんが目に入ってきていた。嫌でも、そっちに目が向いてしまう。半分どうしたらいいんだろう・・・。
授業は集中して聞いているつもりなんだけど、全然頭に入ってこない。恋愛をするとこんな風になるのだろうか。それとも、僕だけだろうか。まぁ、世の中には恋愛と勉強を両立できる人もいるだろう。てことは、僕は両方を両立することができないダメな人か・・・。いや、そう決めつけるのもダメかな・・・。
授業の時は気がついたら、黒崎さんのほうを見つめていたという状況が長く続いていた。
「今日も梓のこと見てたよねぇ・・・。」
「・・・。」
放課後にはまた薗田さんにそう言うこと言われるんだ。
「本当に梓のこと好きなんだね・・・。梓のことここまで好きな人っていうのも初めてかもしれないわね。」
「えっ。どういう意味。あんなにカワイイ子他にも好きな人はいるんだろ。そう言ったのは薗田さんじゃないか。」
「どうだけど、みんなそんな感じじゃないんだって。ていうか、鳥峨家君は梓のどういうところが好きなわけ。」
「・・・。」
黙り込んだ。僕が梓のことを好きになった理由。それは第一印象がものすごく強かった。黒崎さんからは僕を包み込んでくれるような包容力を感じたのだ。僕は黒崎さんを自分のものにしたいけど、それ以外は何も望んでいない同然であった。だから、僕はどこが好きとかそういうことじゃなくて、黒崎さんの持っている雰囲気にほれたのだと思う。僕がそう言う前に薗田さんは自分なりに納得していた。心の中にでも入って来たのかなぁ・・・。
「まぁ、薗田さんが思っているとおりだよ。」
「はいはい。鳥峨家君もそう言うことは隠せないって思ったんだね。」
「・・・。」
「雰囲気ねぇ。雰囲気で好きだったら、梓をその気にさせるのが難しいよねぇ・・・。何かしてあげようか。」
「別にいいよ。」
「はいはい。分かったよ。自分でほれさせるつもりなんでしょ。頑張りなよ。」
「・・・。」
正直そんな自信なんかない。まず、何で相手に気付いてもらおうとするかだろ。学校に通ってるんだし勉強かなぁ・・・。でも、女子の成績を聞きだすっていうのには気が引けた。そういうもの言わない人が多いからなぁ。それに失礼だろう。勉強はまずない。じゃあ、運動家。運動ができれば少しは注目されるかもしれない。でも運動もない。まず、僕が運動音痴だ。完全にできないわけじゃないけど、普段からクラブとかに行っている人に比べれば、遅れをとりすぎている。
考えれば考えるほどわからない難所だった。
運動音痴かぁ・・・。