一目ぼれ
学校に通い始めて早5年かぁ。時が経つのは早いっていうけど、こんなにも早いものかなぁ・・・。と、僕の名前は鳥峨家大希。高島小学校の5年生に4月からなったのである。もうすぐ教室に入らなければならない。ちょっと遅刻しそうになっていたから、あわてていた。校舎の3階まで上がって、すぐにかじを切る。僕の教室は階段を上がって右に入ったらすぐに曲がらなければならない。
「イタッ。」
何かにぶつかった。壁ほど痛くなかったけど、いったい何にぶつかったのだろう。こっちも急いでいたから、前なんて全然見てなかった。
「イタタ・・・。」
「大丈夫。」
その声に目を開けた。
(えっ・・・。)
「大丈夫だよ。」
差し伸べてくれた手を素直に受け入れず立ち上がる。
「あんまり廊下走っちゃダメだよ。」
「・・・うん。」
こんなところまで釘打ちされるなんて。ちょっとものに当たりたい気分だけど、あんなにカワイイ子いたんだなぁ・・・。
さて、教室に入ってみると全然。むしろ間に合いすぎていた。まだまだ教室の中には人がそんなにいない。10分ぐらい前だっていうのにみんな寝ているのかなぁ・・・。って今寝ていたらアウトかぁ・・・。
「梓。」
クラスの女子が一人の女の子の名前を呼んだ。別に気にならないのだけど、さっきの女子のことが頭から離れなくて、ついそっちが気になった。
(あっ。)
心の中で声をあげた。呼ばれたのはさっきの女子ではないか。えっ。どうしよう。もしかして、あの女子ではないか。ていうことはもしかしたら、隣同士になる可能性だって否定できない。ああ。もし隣同士だったらどうしよう。勉強に全く手がつかなくなりそうだ。いや、待て待て。それはいろんな意味でヤバい。
「ねぇねぇ、あの男子だけどさぁ、顔女子みたいじゃない。」
友達の薗田安希が話しかけてくる。
「えっ。・・・あっ。あの子さっき階段のところでぶつかっちゃった子だ。」
「大丈夫。梓。ケガない。」
「大丈夫だよ。お互いしりもち着いたから。」
「・・・。ていうか、梓はまたお色気使ったわけ。」
「お色気ってどういう意味よ。」
「・・・。」
(なるほど。少なくとも梓はあの子に興味ないってことね・・・。)
薗田はその男子のことを興味ありげに見た。
さて、どうする。これは僕の一方的な妄想物語の本物。
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