表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キライ姫  作者: たまねぎ
7/29

ぬるいパイ○と謎の物質

嫌だ!コイツと庭園を散策なんて!


なんて言って断ればいい?


①花粉アレルギーで庭に行くと涙と鼻水で大変な事になるんです。


②病弱なんで長時間ベッドを離れてはいけないと医者に言われてます。


③祖父の遺言で庭にいってはいけないと。


④占い師の予言で……。


どうする?どうする?


ぬるいパイリの君(勝手に命名)からお強請りされちゃってるよ!


なんで人嫌いの引きこもりが、私に案内させてお外に行こうとしてるの?


①実は獣レベルの女好き。動く雌(私)が居たので飛び付いた。後は庭園の人目につかない所でいただきます☆


②外の空気を吸わないと死んじゃう病気。


③祖父の遺言で、外国に出掛けたらその国の姫に庭を案内してもらわないと…。


④占い師の予言で…。


分析は後、まずは退避が先。


よし!無難なところで行っとくか!


「すみません、私花粉ア…」


「それは良い!是非ご案内しなさい」


「そうですとも!この城の自慢の庭園を御覧頂きたい!」


父上&重臣達がどこか疲れた顔で声を張り上げる。


なんで?


庭園が自慢なんて聞いた事無いよ?


いつの間にか父上達に取り囲まれ、逃げられ無い状況。


そうだ!困った時のクールべ!


イバネス国の頭脳と言われてる(らしい)男!


た・す・け・て・オネガイ!


すがった藁はニッコリと堂に入った営業スマイル。


「それは良い。エラータ様、是非ジーニアス王子を案内して差し上げて下さい」


い・・・や・・・だぁぁぁ!!!




そんな訳で私達は庭園を歩いてる。


私達って言っても私とぬるパイ(エロ言葉では無くジーニアス王子の事、縮めてみた)だけで無く護衛の騎士達も居る。


騎士達は距離を開けて付いて来てるのだ。


どうせならみんなでワイワイ喋りながら歩こうよ!


その方がずっと良い。


誰か横から突き刺さる視線の盾になっておくれ。


見てる見てる!横を歩くぬるパイが私の顔を穴の空きそうな程ガン見してる!


気持ち悪いよ!母上~!


助けて父上~、エバンス~、もうクールべは当てにしません!(怒)


ところで庭園を案内ってどうすりゃいいの?



「え~っと、ここが庭園です。ここに木が植わってますね。あっ、あちらにも☆」


それじゃ駄目なの?


私あんまり植物の事詳しくないんだけど。(涙)


さっきから無言で歩いてるけどなんか会話しなきゃいけない?



「え~と、あの、花とか好きなんですか?」


アホな質問だが他に思い付かないから仕方がない。


私の質問に不思議な色合いの瞳が少し見開かれる。


「そうだね…花や植物はいいね。時が流れても其処に在り続ける」


なんだそりゃ?


花や植物なんてすぐ枯れるじゃん。


「ア…、エラータは好きかい?」


「私ですか?嫌いじゃ無いですけど、出来たら食べられるヤツがいいですね」


「食べられる?」


キョトンとする王子から微妙に視線を外しながら答えた。


「夜中に小腹が空いた時とか食べられる植物が身近にあると便利でしょ?鑑賞用兼食糧になって」


一瞬唖然とした王子は腹を抱えて笑い出した。


「成る程!確かに便利だ!」


そんなに笑える話か?


ずいぶん笑いの沸点の低い男だ。


絶対コイツとは笑いのツボが違うな。


そういう奴とは仲良くなれない。


「エラータと居るととても楽しいな。滞在中はまたこうして二人で会話をしたい」



楽しいってあんた、さっきから私達何にも楽しい事やってないでしょ?


もしかして外の空気吸うと楽しい気分になれる体質?


私は楽しい気分どころか意識がもうろうとしてきた。


原因はこのぬるパイ王子ともうひとつ!


コレだよコレ!


あっちにもこっちにも撒かれて激臭を放ってる足下のコレ!


庭師の爺さん(よぼよぼ)が造り出す謎の肥料!


爺さん一子相伝とか言っちゃって、絶対誰にも作り方教えないらしい。


効果があるのか無いのか誰も気にしちゃいないけどそのあまりにえげつない香り故に材料について憶測が飛んでる。


いわく夜な夜な墓を掘り返して…とか、旅人が次々行方不明に…とか。


面白そうだから探ってみたんだけど……オェッ……爺さん絶対趣味でコレ造ってるよ。


あんな物材料にしてたら、そりゃ誰にも言えんわ!


まあ、犯罪では無いから放置………いやある意味犯罪か?


あの爺さんも、そろそろ鉄格子のある病院にでも放り込むか?


そんな事を足下を見ながら考えていたら、いきなり顎をとられた。


「約束してくれる?」


何時の間にか王子が息の触れそうな距離に近付いてる。


「また…一緒に歩いてくれるって約束して…」


キラキラと輝く程の美貌に意識を捕られて立ち上る激臭さえ気にならなくなった。


ふわふわとした気分で何だか自分が自分じゃないような………自分じゃなかったら、………誰?


「ジーニアス王子」


聞き慣れた声に我に返る。


ぞわん。


うぎゃ~!ぬるパイ近寄んなー!


「お国元から早馬が参りましたよ。何やら急ぎの御連絡が届いているようですが」


現れたクールべの言葉に王子は眉間にシワを寄せたが、「必ずまた」と言い残して庭園を去っていった。


「寄り添うお二人の姿は、一幅の絵画のようでした(棒読み)」


「寄り添ってねーよ!」


危ない所だった。


約束約束って何であんなにシツコイの?


引きこもってたから笑いに飢えてんの?


二度と奴とは関わらないようにしよう。

次回、わりとシリアス!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ