図々しいって言葉知ってる?
なんて男前なんだマティス・ビドロ。
理性という名の鎖を引き千切って襲いかかっちまいそう。
ウットリとマティスに見とれていた私は、強い視線に気付いてウンザリしながらそちらに視線を移した。
そういえばコイツ居たんだっけ。
何だよそのモノ言いたげな表情は。
誉めて貰いたいのかよ?
オマエ…流れ的に「いや戦場では無いこの試合の場では私の負けだ」ぐらい言うだろ普通。
何勝った気分でいるの?
空気読めよちょっとは!
コレだから引きこもりは…。
ジーニアスの駄目っ振りに腸が煮えくり返るけどムカついてる場合じゃ無い。
隊長クラスまで続けて負けたとあってはちょっと不味い事態だ。
このままじゃ国の軍備の質が劣ってるんじゃないかってヒソヒソされるぞ。
焚き付けたのが私だって軍備担当の大臣達にバレたらまた説教くらっちまう。
説教だけなら聞き流せば良いけど、奴らは私のこずかいを減らすという惨いワザを使ってくる。
どうしょう…。
何時も足りなくて結構苦労してるのにこの上減らされたら宝物庫を襲ってしまいそう。
あそこの警備はムチャクチャ厳重だしな。
また国宝盗んだら…ヤバいな。
何とか勝敗を曖昧にする方法を考えなきゃ……どうする?(汗)
救いは突然現れたアイツだった。
「面白そうな事やってますね」
何故か上機嫌なクールべが背後から声を掛けてきた。
コイツダァー!!!
「ジーニアス!ぜひ次はこのクールべと手合わせして下さい!」
「宰相と手合わせを?」
怪訝な顔のジーニアスは知るまい。
クールべが私のおねしょパンツを洗って出世した訳では無いと。
「隊長を務めるほど実力ある者を倒すとは感服しました。ぜひあなたの勇士をもっと見せて下さい」
白々しさを今更隠そうとも思わない。
さっさと「はい」と言え。
クールべをジロリと見た後ジーニアスは考え込むように黙り込んだ。
勿体ぶるな早く返事しろ。
「良いだろう。但し条件がある」
条件?厚かましい事いうの?
「次も勝ったら結婚の申し込みを受け入れてもらう」
あっっつかましいんじゃーー!!!!
ニコニコ笑いのクールべが間髪入れず応える。
「エラータ様はその条件を受け入れるそうです」
ちょっとまてやゴラァァァ!!!!!




