生まれ変わって楽しい人生
「うん?」
私の目の前にはムチャクチャ可愛い女の子がたってる。
柔らかそうなウェーブのかかった薄茶色の髪。
緑色の瞳はおっきくて睫バサバサ!
可愛い~ぃ!何この子笑顔も可愛い!
腕を伸ばせばその子も私に腕を伸ばしてきた。
ゴン!
あり?女の子の指先が当たったんだけど、やたらと硬くて冷たいぞ?
恐る恐るもう一度手を伸ばせば、女の子も怯えた顔で私と同じ動作をする。
同じ鏡に映したように…ってこれ鏡だ!!
えっえっえ?ちゅー事は私…わ~!!なんじゃコリャ~。
私の手足がちっちゃいぞ!
そりゃそうかまだ5歳だからって……そうか私は今、別の人間なんだ。
私は今の私の記憶を思い出した。
いや、正確にはたった今忘れていた前世の記憶が蘇った。
恐らくあの魔物に私は殺されたんだろう。
幸せな最後とは言い難い前世の記憶。
「エラータ様こんな所にいらっしゃったのですね!家庭教師の先生がお待ちですよ」
私を探しに来た侍女の顔を見上げる。
彼女の名は「アン」すぐ逃走する私に手を焼いている。
「王女たる者、下々の者達から侮られる事のないよう勉学に励まなければ!」
いつもの彼女の口癖に私は微笑んだ。
「そうだね。充実した人生を送るために色々な事を学ばなければ」
目を丸くして呆気にとられているアンを置いて、私は家庭教師の先生が待つ部屋に急ぎ足で向かった。