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Worth  作者: XYM
フクロウ編
5/9

大勝利と大盤振る舞い

お説教で凹むも

開店が近づいて切り替わるスイッチ

前には数人の客

入場して狙い台が取れないのは痛い

しかし先に取られては仕方ないので

祈りながら入場した

幸い二台とも候補の台を取れた


「じゃあこれ、なんかあったら報告しろ

あとデータは確実に取れ」


そうして2万ほど預けてバラバラに座る

次々に埋まっていく台

店の中は一気に人口密度が跳ね上がる

ユウはメモ帳とペンとタバコを取り出し開始の音楽を待つ



パーパラッパパラパラ♪


開始の合図

一斉に回転し始めるリール

隣の声すら聴こえない爆音の中始まった

音楽に合わせ店員がマイクで煽る

そんなことは気にも留めずユウはただ前に集中する


しばらくすると周りにボーナスがつき始める

ユウは周りを伺いながらひたすら回した

程なく大当り、そのまま連チャン、調子が良い

ただ周りも出ているだけに疑心暗鬼にもなりつつ…


そして一時間、二時間と経過する

ユウはそれなりの出玉を得ていた

そこでひとつの確信に至る


…おそらく今日はこの機種が全台設定5か6

ならば!


席にメダルを残しコウタの元へ


「ああユウさん、悪くないけどダラダラ…」


聞いていない

コウタのメモに目を通しイマイチと判断


「これ、おしまい

流して俺のとこ来い」


「え!え?」


「早くしろ!」


そしてユウは自分の台に戻る

立っていた分を取り戻すかのように速度を上げる

…あとは何人が気付いているか


設定とは6段階で決められる台の性能である

単純に6が上で1が下、上にいくほど出るわけだ

毎日この設定をいじることで出玉にメリハリをもたせることが出来る

3あれば理論上はプラスになる台が多い

6に至っては勝率も勝てる額もかなり高い

ユウはこの機種が全台5か6と言った

機種ごとにさらに性能は違うが知識ある人が打てば必ず設定はわかる

つまりスロットで食うには5や6といった

高設定を掴むこと。

これが基本中の基本なのだ


コウタがユウにレシートを渡す

耳打ちで…空くのを待て。と言う

把握したコウタはフラフラと後ろを歩く


それから一時間くらい経った頃

ユウの隣が空いた

素早くタバコを置いてコウタを手招き

偶然にも隣だったのは運が良かった


高設定なのにエンジンの掛かりが遅い

そんなこともしばしばある

出ていなくても高設定とわかれば

最終的には出る

隣の人は見切れる実力が無かったのだ


そして2人はメダルを積み上げる

2箱…5箱…7箱…10箱

閉店の時間まで休みなく打ち続けた


そして終了


二台とコウタの最初の台

3つ合わせて18000枚の大勝ち

現金に直すと360000円

ユウはコウタに6万渡した

雇われのバイトにしては多かろう


さらにメシをおごることになった

コウタは何かを企んだ顔で言う


「今日は大盤振る舞いしましょう」


「なに?お前が金出すのか?」


「そこはユウ社長」


…正直でいい奴だな

ユウは少し考えた後で


「だがキャバクラは行けねーぞ?

俺スカウトやってるから入れない」


キャバクラにスカウトは入れない

ヘッドハンティングを避けるためだ

担当の店は埼玉にあったので距離的に無理


「えー?じゃあ風俗ですか?」


それなら担当の店には行けた

しかし恥ずかしいのだ

この前サービスされたばかりなので


「ひとつ候補がある

電話してやるけど高いんだ…」


「良いじゃないすかーたまにはー」


コウタも俺のバイト20回以上

確かにたまには良いかもしれない


「じゃあ電話してやる、待ってろ」


一度店の外で電話をかけた

コウタにはユウの声は聞こえない

期待に胸膨らみすぎて顔に出る

…高いっていうからソープだな

謎を解いた19歳は下半身の準備万端になった


「よし、行くか

ちょっと遠いからタクシーだ」


「はい!吉原っすね!」


「いや、銀座だ」


タクシーでコウタは質問攻めをした

ユウは着けばわかるしか言わない

少し気まずそうな顔して外の景色を見る

近づくにつれてコウタは緊張


到着、華やかな銀座とは少し離れた場所


「着いたよ…はい…待ってます」


電話でユウが迎えを呼ぶ

コウタは夜の銀座など初めてに近い

高級感ある街並みから離れていたが

それでも銀座は銀座


ユウーーーー!


ちょっと遠くからドレスの女が走ってきた

叫びながらユウの元に辿りつくなり抱きつく


「や、やめろ!なにしよるん」


「もうなかなか来ないから…

寂しかったんだぞっ!」


コウタはこんな顔(´Д` )


「ああ、これ後輩のコウタな」


「よろしくお願いします(´Д` )」


「なんでそんな腑抜けたツラに?」


「いや…美しすぎて(´Д` )

ユウさん羨ましくて(´Д` )」


ドレスの女はユウの右腕に抱きついたまま


「この子いい子だねー」


「いや、こいつはな…」

と言ったところで腿に膝蹴り

骨ばった女の膝は刺さる

そして女が


「ねーねー私たちどんな関係に見える?」


コウタはちょっと考えて


「えっと…彼女さんですか?(´Д` )」


ウフフっと笑う女

ユウも少し笑った感じで


「こいつは俺のねーちゃん」


コウタの顔が変わる(・□・;)


「あんまり遅いと怒られるからいこ?」


道をナビするユウの姉

その体はユウに密着し離れない

コウタには本当に姉弟?と疑問だった

辿り着いた先はやはり銀座と言える建物


CLUB WORTH


Worthは価値とかそんなイメージの意味

高飛車に感じる名前も銀座ならでは

そんな気がしてしまうのも都会マジック

オロオロしてるコウタの背中をどつくユウ


「緊張してるとかっこ悪いぞ!」


コウタは少しだけ顔に力を入れた

初めての高級クラブ

19歳大きな期待と気合を胸に

大人の世界に飛び込む春だった

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