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第15話 未来へ

 影なるものと、その主たる禍との激闘は、茜、御影、クロウの死闘によって終止符が打たれた。

 命を賭した戦いの果てに、ようやく平穏が訪れたかに思えた。

 しかし、茜にとっての戦いは、別の形で続いていた。

 「ねぇ、茜。そろそろ白状しなさいよ!」  「御影先輩と、どんな関係なの?」

 学校では相変わらず同級生たちに問い詰められ、冷やかされる日々が続いていた。  もちろん、御影との関係をすべて正直に話すわけにはいかない。

 だが、茜はすでに御影とともに血脈を継ぐ決意をしていた。そして、御影もまた、茜を何よりも大切にしてくれていた。

 しかし、日増しに激しさを増していく同級生たちの好奇心と執拗な追及に、ついに茜は折れた。

 「……実はね、私、御影先輩と……」

 その瞬間、教室は爆発したかのような黄色い歓声に包まれた。

 まるで嵐のような歓喜と驚愕の渦に巻き込まれ、茜は逃げ場を失った。

 こうして、茜と御影の交際は公然のものとなり、その噂は瞬く間に校内を駆け巡った。

 それからというもの、茜は同級生たちに取り囲まれ、質問攻めに遭う日々を過ごすこととなった。

 「いつから?」「どっちから告白したの?」「キスは?」「デートは?」——次々と繰り出される恋愛話の猛攻に、茜は完全に疲れ果てていた。

 放課後、ようやく解放された茜は、安息を求めて御影の神社へと足を運んだ。

 境内へ足を踏み入れると、待ち構えていたかのようにクロウが意味深な表情で迎える。

 しかも、妙に楽しげに。

 「いやぁ、茜。お前の学校生活は随分と賑やかになったようだな?」

 茜はため息をついた。

 「……クロウ、聞いてたの?」

 「当然だろう?神使の耳は鋭いのさ」

 一方、御影もまた、茜との話題に巻き込まれる形で疲れ果てていた。

 「……お前の同級生たち、すごいな」

 「本当にね……」

 互いにため息をつき、顔を見合わせる。

 それでも、御影は誠実であろうとした。

 彼はいつも通りの落ち着いた態度を崩さず、真摯に茜と向き合っていた。

 そんな彼の姿に、茜はますます心惹かれていくのだった。

 「——さて、それでは始めようか」

 クロウが真剣な表情に戻り、二人の前に立つ。  彼は静かに祝詞を唱え始めた。  それは、悠久の時を超えて八咫烏の加護を継ぐための儀式だった。

 「八咫烏の巫女とその守護者よ——  これより汝らは、血脈を継ぎ、未来を繋ぐ者となる。  古き神々の加護があらんことを——」

 祝詞の言葉が響く中、茜と御影はそっと手を重ねた。

 互いの手の温もりが、これからともに歩む未来を示しているかのようだった。

 「……これからも、そばにいてくれる?」

 茜がそっと問いかける。  御影は微笑みながら、彼女の手を優しく握り返した。

 「当然だ。お前を一人になんてさせないよ」

 茜は少し頬を染め、目を逸らしながら小さく頷いた。

 「……うん」

 そんな二人の様子を見て、クロウは楽しそうに笑った。

 「まったく、お前たちを見てると飽きないな」

 彼は空を仰ぎ、どこか懐かしそうに目を細める。

 こうして、茜と御影は正式に血脈を継ぎ、新たな未来へと歩み出した。

 これは、一つの終わりであり、そして新たな始まり。

   彼らの物語は、これからも続いていく——。


いつも「烏の残響 〜千年の宿命?そんなのぶった斬る!〜」をお読みくださり、ありがとうございました。

お楽しみいただけましたでしょうか?

一応、茜の物語は完結です。

この続編として「烏の残響 〜千年の血脈?そんなの愛してみれば大丈夫!〜」をノクターンノベルズにて連載していきます。

大学生になった茜がより活躍していく物語になっていますので、どうぞそちらも引き続きお楽しみいただければと思います。

どうぞ、よろしくお願いします!


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