泣きゲーRPGの世界に転生した私は廃人レベルのプレイヤー知識を活かし死の運命から推しの女キャラを救うために頑張って足掻こうと思います!三十九話:私が先に好きだったのに
……え、えっ?……。
けっ……こん……?。
引き攣った笑顔を浮かべ、思わず笑い声を漏らした。
じょ、冗談?……でも、冗談にしては……。
「あ、あは……あはは……ジャ、ジャン?……」
「……私は、本気です!……貴女との婚約が、私にとっては平和な世界を作っていく勇気になるんです!」
「ど、どういう事?……」
「……貴女が変わっていってしまうのを、私は防ぎたいから……世界が平和になれば貴女はこれ以上戦わなくてもよくなる!あんな風に笑いながら残酷な事をしなくてもよくなる世界を必ず私が作ります!貴女は失ってしまう事が怖いから、皆を守りたいんでしょう!?自分から離れていってしまう事が恐ろしいから力を奮うのでしょう!?」
「……ジャン……」
……どうして、私の心に空いた隙間を埋めるような事を……。
レオナを本気で愛そうと決めたのに、そんな真剣な眼差しで私を見つめて……そんな力強い声で言われたら……。
どうしたらいいか、分からなくなる……。
「レオナ!貴女はどうお考えですか!?……私はエリシアを救えるだけの、力があると認めてくれますか!?」
「え、えっ?……あの……」
「私は本気で彼女を愛しています!彼女を育て導いてきた貴女はエリシアのお母さんも同然です!……どうか、私達の婚約を認めてくれますか?……」
……レオナ……。
ねえ、レオナ……私は……私……。
どうしたら、いいの?……こんなに真っ直ぐに私の事を好きだと言ってくれて、救ってくれるなんて言われたら……。
断るなんて、できないよ……。
レオナ……貴女が、私を選んでくれるんだったら……私は……。
「……いいんじゃ、ないか……それでエリシアが幸せになるのなら……」
……え、えっ?……。
「……私は少し、この子に依存していた部分があった……そうした甘さは陛下の作り出す新しい世界には必要ない。むしろ私のような人間がしっかり前を向いて歩かなければ……世界は変われない……」
レ、レオ……ナ……?。
なん、で?……あんなに、あんなに好きだって……私が必要だって……言ってくれたのに……?。
後頭部を殴られたような感覚に陥り、呆然と私はレオナの顔を見つめた。
……彼女は、心底安心したような笑顔を……浮かべていた……。
「ありがとう……貴女にそう言って頂けると、本当に勇気付けられます……」
「……その子は、貴女もよく知る通りにとっても寂しがり屋で頑張りすぎてしまう子です……だから、しっかりと愛を向けてあげてください……」
「はい!……必ずエリシアを幸せにしてみせます!もう、戦いには巻き込みません!」
「……それが、一番……いいんです……」
……顔を俯かせ、下を向く彼女は……諦めたように、寂しそうに……笑っていた……。
引き止めて欲しかった、私を必要として欲しかった……だから、私は縋るような気持ちで彼女の名前を呼んだ……。
「レ、レオナ!……」
「……エリシア、お前は本当に……幸せ者だな……。こんなにも愛されて……」
「レオナ!私は----」
「だから、お前は……ちゃんと愛されるべきだ……普通に愛されるべきなんだ……」
……そん、な……
私達……愛し合ってるんじゃ……なかったの?……
「必ずエリシアを愛して幸せにします!……それでは、下の階にティナも居るので三人で----」
それ以上、私の耳には何も聞こえなくなっていた。
頭の中が真っ白になって、グラグラと視界が揺れた。
私の手を取って立ち上がったジャンが期待と気恥ずかしさに満ちた可愛らしい笑顔で呆然とする私を部屋の入口まで連れて行った。
……レオナは、どうやら部屋に残るつもりらしい……。
扉を開けて廊下へと連れ出された時に、ドアの閉まるその瞬間に……私はもう一度振り返ってレオナへ目線を向けた。
扉によって遮られる部屋の中で……笑みを浮かべながら泣いているレオナの顔が見えた……。




