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泣きゲーRPGの世界に転生した私は廃人レベルのプレイヤー知識を活かし死の運命から推しの女キャラを救うために頑張って足掻こうと思います!三十三話:狂愛の闘争

馬車から飛び出した私は救うべき人の姿を見て声を張り上げると、サーベルを引き抜いた。


このイベントなら相手は裏切った親衛隊の女リーダーだったはず……確かに手強い相手だけど、あいつなら私はアイテムも使う間でもなく殺せる!。


そうすれば皆を守れる、もっと皆に必要としてもらえる!。


敵を探すべく視界を動かした私は、響き渡る轟音を聞き思わず間の抜けた声を漏らす。


「……へっ?……」


巨大な指が、私の体を掴み上げて……握り潰す。


体中から何かが砕ける音と、弾ける音が聞こえ……内側が破裂する悍ましい感覚に悲鳴を上げた。



「お”、あ”ぁぁぁぁあっ!!え”、う”ぅぅぅぅぅぅっ!!」


「エ、エリシアぁぁぁぁぁッ!!……」


メキメキメキ、ゴキッ!バキッ、グチュ、ゴプッ!ブヂュゥゥゥゥゥゥッ!。


上と、下から……まるで果汁を絞るように……体の中身が、絞り出される……。


掠れる視界の中で、巨大な光る眼球が見えた。


……アームド・トロール……なんで、こんな……こんな場所に……!?。


武装したその巨大なバケモノは、もっとゲームの終盤に出てくる筈のモンスターだ……。


そして、その巨大なバケモノを操るのは……。


「……エリシア?お前があのグリーン・ディクテイターを倒したコイツの教え子か……」


……何で、アンタが……此処に居るのよ!?。


アンタは……アンタはもっと遅くに出てくる筈なのに……なんで……。


「お前は特にコイツに可愛がられていたようだな……だとしたら、殺し甲斐がある……」


「や、やめて!お願い、お願い!その子だけは殺さないで!私を殺して、お願いだから!お願いだからアレッサ、私を殺してぇぇぇっ!……」


「アハハッ!今の状態で放してやっても手遅れよ!ズボンを尻から吐き出した自分の内臓で膨らませ、気道に押し潰された肺を詰まらせていずれ死ぬわ!そんな状態になったあの子を見たい?見せてあげてもいいけど!」


「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!……エリシアァァァァッ……」


……レオ……ナ……。


わた、し……また、死ぬの?……。


わけ、わかんない……こんな奴が相手だなんて、聞いてない……。


わから、ない……。



「さあ!そいつをレオナの目の前で握り潰して!なるべくグチャグチャになるようにねぇ!」


女の狂気が、そのバケモノを更に昂らせていく。


へたり込んだまま震えるレオナを見つめ、何かを言おうと唇を開いた瞬間……。



私の体は猛烈な力によって内側から弾けた。



------


掌を赤い液体と肉片で汚す巨人が上げる雄叫びと、女の発する狂気の笑いが同時に響く。


天を見上げたまま大きく口を開き笑う女は目を見開いたまま硬直するレオナを見ると、自身の欲を満たすその姿に顔を紅潮させ愉悦に酔い痴れる。


純白の気高い騎士の象徴であるロングパンツの股を失禁した尿の染みで汚すレオナは巨人の掲げる汚れた掌を見つめたまま、自身の孤独を埋めてくれた少女だった血とゼリー状の肉片を見つめ絶望に支配された。



「また、助けられなかった……また、お前のせいで死んだぁ……」


「……あ……あ……エリ……シア……」


「……お前は誰も救えない、お前を誰も救わない……お前は永遠に私を殺した罪に囚われて苦しみ続けろ!」


「……エリシア……やだ……やだ……いやあぁぁぁぁぁぁああっ!!一人にしないで、置いてかないでぇぇぇぇっ!!私を好きって言ってくれたのに……死なないでよぉぉぉぉぉぉっ!!……」


「……ふぅん、今度はあの小娘に依存してのね……本当にアンタって気色悪い!騎士でありながら剣を捧げるのは依存する存在の為、自分を好きでいてくれる相手の為!強くも何ともない、甘ったれた子供みたいな女騎士さんねぇ……」


「……ひ、うぅぅぅぅ……エリシア……エリシアぁぁっ……」


「とっても素敵な顔、素敵な姿……私が好きだった貴女はいつも騎士の模範として凛々しく美しかったのに、そんな貴女がズボンをおもらしで濡らして涙と鼻水を垂らして泣きじゃくってる……」


人としての尊厳もプライドも全てを奪われたレオナの悲痛な叫びを聞きながら、燃え上がるその欲望に従いアレッサは士官服の首元へダガーナイフの刃を宛がう。そして、分厚い生地を紙切れのように引き裂きながら爛れた感情を剥き出しにする。


「……あまりにも可愛くて興奮する姿だから……殺す前に犯してあげる……。嬉しいでしょ?昔、肉欲を向けてた女に抱かれて……嬉しいでしょ?嬉しいわよねぇ!?」


「……もう……やめ……て……」


「……やめない……もっともっと、お前を傷付けて泣かせる為なら私は何だってやる……体中の水分が涙になって排泄されるまでお前を苦しめ続けてやる!……ふふ、うふふふっ……さあ、レオナ……」


既に体を動かす気力すらも喪失した女騎士は、裂かれた衣類の隙間から白い肌に覆われた膨らみを覗かせ小刻みに体を震わせる。


荒々しく彼女を地面へ引き倒すと、吊り上げた唇の隙間から欲情に濡れた吐息を漏らし女は言った。



「……いい声で鳴いて私を悦ばせて……レオナ……」


絶望に覆われた光を宿さない瞳で自身を見上げる女の唇へ、アレッサは静かに顔を寄せる。


その時、悪意に満ちたキスを交わそうとする背中に向けて猛烈なスピードで迫る人影が現れた。


それは巨人の足元に浮かび上がる金色の光から飛び出し、勝利の咆哮を上げるトロールに勘付かれる事なく凌辱を与えようとするアレッサの元へ駆けた。


その殺意に気付いたアレッサは素早く身を起こすと、硬い鋼と魔石で覆われた左腕を掲げ素早く振るわれたそのサーベルによる一撃を防ぐ。


重い金属同士の衝突音が響く中、女は同じ髪の色をした相手の顔を睨み舌打ちをしながら吐き捨てるように言った。


「チッ……エンジェリック・タリスマンまで用意してたなんて随分と気合が入ってたのね……」


「うるさい!レオナから離れろ!私のレオナから……離れろぉぉぉぉぉぉっ!!」


「アンタのレオナ?コイツにちょっと依存されたぐらいでいい気になるな……コイツはもう私のモノよ……」


「黙れ!!だいたい、何でアンタが此処に!?本来ならリベーヌが来る筈でしょ!?どうなってんのよ!?」


「何でお前が本来の計画を知っている!?……まさか、リベーヌを殺したのはお前の仕業か!?」


火花を散らし与えられた新たな左腕で殺意に満ちた刃を跳ね除けると、後ろへと飛び下がり距離を離したアレッサは相手を警戒するように睨み付ける。


その視線を受け止めながら、エリシアは呆然と自分を見つめるレオナの肩を抱き寄せ言い放った。


「もう、大丈夫だから……レオナは私が守るから……!」


「……エリ……シア……」


「レオナは誰にも渡さない……絶対にあんな奴には渡さない!」


「……エリシア……エリシアァァァァッ!……」


力強いその言葉を聞き、レオナは一度砕け散った心に再び希望の光が灯されるのを感じた。


まるで割れたグラスの破片が歪に集まりもう一つの器を作り上げるように、ヒビだらけの愛を再構築した女騎士は再び立ち上がる。


その時、キィキィと音を立てる金属音がエリシアには聞こえた。


そして、彼女の周囲で世界が暗転する。



< さあ、人の子よ……選択の時です。大切な者を守るべく最善の選択を……最善の運命を……>

















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