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泣きゲーRPGの世界に転生した私は廃人レベルのプレイヤー知識を活かし死の運命から推しの女キャラを救うために頑張って足掻こうと思います!十三話:泥

「いやあぁぁぁぁぁあああああっ!!……あ……あぁぁぁあっ!!……」


隣から聞こえたティナの絶望に満ちた悲鳴が私の心を軋ませた。


マグマによって吞み込まれ、住んでいる人と建物を溶解させていくその地獄絵図の中には……ティナにとって心の支えになっていたあの場所もある。


ガードナー家の屋敷……ティナの生まれ育った、実家も……。


「……あ……あ……私の、私の……家……」


「ふひひひひっ!!溶けちゃったねぇ、あなたの全てだったあのボロ屋敷も……ドロドロのグチャグチャになって溶けちゃった!!」


「い、や……いやあぁぁぁぁぁぁぁっ!!……」


「これでもう、この世界になんて心残りはないでしょ?……ティナ、私のモノになってよ……ずっと、ずっと……あなたが好きだったんだから……」


あざ笑うように私を一瞥すると、嗚咽を漏らして泣きじゃくるティナの顎を持ち上げて……エルメスは恍惚とした表情で顔を寄せる。


……もう、見ていられなかった……怒りや腹立たしさではなくて、痛々しいまでに誰かからの愛に固執するエルメスを……もう、直視する事なんて出来なかった。



「……お願い……もう、やめて……エルメス……」


「ふふっ、エリシアァ?寂しがらなくてもいいわ……後からあなたの事もたっぷりと可愛がってあげるから……」


「……本当は友達になりたがってたのに……これ以上、無理してそんな力……使わないでよ!。本当に……世界を壊した悪い魔女になっちゃう……」


「私はもう魔女よ!!世界を力でねじ伏せて、欲しい物を自由に奪える絶対的な権力者!!誰もが私にひれ伏す、誰もが私に恐れ戦く!!……今の私なら----」


「そんな力が無くっても友達ぐらい作れるよ!!……ただ、心を開いて素直に自分の気持ちを吐き出してくれればいい!!弱い本音や悲しい気持ち、痛いと思った事を伝えてくれるだけで友達は自然と寄り添ってくれるものなの!!」


……お願い……気付いてよ、エルメス……!。


あなたは私に言ってくれた……諦めないって、私に救われた命だから諦めないって!。


目を見開いたまま呆然とするエルメスは、気が付けば血の涙ではなく透明な人の涙を……流していた……。


「私だって、同じだよ……友達に憧れてた……何でも話せる人が、欲しかった……。お母さんが病気で死んで、親戚を盥回しにされた私を引き取ったのは遠縁の顔も見た事ない人達だったの……表面上は親切にしてくれたけど、とても怖かった……本当は厄介者として見られてるんじゃないかって、迷惑を掛けてるんじゃないかって……本当の気持ちを知りたかったのに、知るのが怖くて……頭がどうにかなっちゃいそうだった!……」


「……エリ……シア……」


「学校でも、私……いつも無理やりニコニコ笑って……悲しい時も、腹が立った時も、本当に嬉しかった時も全部心に封じ込めて過ごしてた!!……嫌われたくない、変に思われたくない……一人ぼっちに……なりたくなかった……」


……そうやって、どんな事があってもニコニコ笑っている私は……逆に皆から浮いていた。


人の心に触れるのが怖くて、自分の本音を吐き出す事が恐ろしくて……いつも感情を殺して笑顔を貼り付けている私を皆は逆に気味悪がってた。


そうして、笑顔を貼り付けたまま成長した私は地獄みたいな会社の中でも自分の本音を一切表には出さずに過ごして……そして……。


「……怖がる必要なんて、なかった……自分の気持ちをただ、言葉にしてくれるだけで……よかったの……。それだけで、友達だから……大切な親友だから……きっと、分かって……くれる……!」


涙で視界がグチャグチャに歪み……それ以上は、言葉にはならなかった。


もっと強く彼女を諭す事が出来たらどれだけ良かっただろう……でも、私にはそれ以上の言葉が言えない……。


……そんな、胸の内を何もかも話せる相手なんて……それまでの私には、居なかったから……。



「……もう、やめよ?……エルメス……私の親友に、なってよ……」


「……エリシ……アァァッ……」


全身を締め上げていた力が緩む……。


これで……これで、いい……。


私は……私はね……例え、あなたがどれだけ悍ましい魔女であったとしても……。


あなたと、友達に-----。



「……い、や……あ、あ……あァァァァァッ!?……」


……エル……メス……?。


突如、エルメスの体から夜空の闇よりも濃い真っ黒な霧のような何かが噴き出し……彼女の姿を覆い尽くした……。



------


『本当に序盤に出てくるあのモブ、やな子だったよねぇ 』


『呆気なく死んで清々した!他の連中と纏めて死んでくれてスカッとしたよね!』



……やめ、ろ……やめろ……やめて……。


『あの命の軽さがサイコーだったよ!ほんとに無意味に死ぬからw』


『あのクズ三人組が死んでティナが生き残れば神ゲーだったのにねぇ 』


『悪趣味だけど世界観を死で伝えるスタイル、嫌いじゃないw』


『あのレズお嬢様三人組の薄い本とかもっと出ないかな?wさすがに序盤で死ぬし好感度ないからなぁw』



……やめ……て……見るな……私を、私を……。


『来月のイベントでは何と「ティアーズ・オブ・リーブラ」の序盤で死んだあの子達が魔物に酷い目に遭わされる本出しちゃいまーす!リョナ要素もあるからお気をつけて!ww』


『マジか!!通販予定とかあります!?あの三人がもっとグチャグチャにされるのを待ってました!ww』


『作者の異常な愛を受けてるww』



……私を……そんな目で……見るな……。



「……これで、もう……充分に分かったのではないですか?……」


「……わた、し……わた、しは……」


「……これが、虚構の世界を生み出した者達が貴女へと向ける……欲と悪意です……」


「……エリ……シア……」



目の前では、視界いっぱいに並んだエリシアが……その下卑た欲望に満ちた言葉や、悍ましい様子が描かれた絵を掲げ……私を嘲笑ってくる……。


……友達に……なりたいって……私、言ったのに……。


……親友に、なってくれって……言ったのに……。



『もっとあのレズお嬢様が汚されるのちょうだい!飢えてるんだ!』


『R-18Gのイラストばっかじゃんww皆の愛拗れすぎww』



……うそ……つき……


うそつき、うそつき、うそつき、うそつき、うそつき、うそつき、うそつき



死ね、死ね死ね死ね、死ね、死ね死ね死ね死ねシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ!!!!!!!



死んでしまえぇぇぇぇぇぇぇええあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!!















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